Episode.4...樽.
-由真 side -
小さく細かな流れを要する川の表面から、鱒が跳ねるのを我々は見ていた。
釣りの最中だったのだが、Virusによって生命の危機にさらされていた世間において我々は生命とは何なのか哲学に興じるようになった。
「生命と死とは何なのか、分かるかね?―――Aida」Switzerland出身のDanielが問いを目の前の川に向かって投げかける。隣には、女性のItaly出身のAidaに届いたようだ。
「Fashionかな。死ぬのも生きるのも同じくらい悪くないし、当然生きている内の間は好きな事していられるんだし、私にとってFashionって洋服という定義に縛られたGothicじゃなくって、ありとあらゆる意味でのFashion。色んな活動を取り替えて楽しむし、最高に今生きていて楽しい。それが生じゃないかな?死って割と楽しい生き方したんだし、死んでしまっても楽しくやろうかなと思う、死後の世界というかそんなOccultを信じる訳じゃないけれども、Buddhaismの輪廻転生という在り方自体は共感できる。単に楽観的思考を定義してしまえば、我々だって死をそこまで恐怖に感じることもないのではないかな、と感じるから」
「大変興味深い」Danielがcheeseを齧る。「私は多分もっと現実視した在り方を提供すべきだと考えている」
「例えばどんな?」
「やる気のないRealisticな僕をどこまでFantasyな空想家と一緒に世の中を渡っていけるのか、を問わないといけない。君はFashionというけれども、君の世界は空想で満ちているかね?」
「ええ、比較的目の前にあなたがいることといい空想であればどれだけ良かったか」
「それは残念なBlackjokeだね。Businessの提供といい、しなくてはならない身にもなってくれ。どこから案件を依頼されるのか、一々探索しないといけない。それは困難な作業だし、仕入れるためには下らない困りごとや争いに巻き込まれないといけない、大変身勝手な仕事だ。それでも君は空想出来ている。その理由は?」
「あたしに恋をしている」
「それは悪くない。ただし恋をするのは依頼人でなく仕事だ」Danielは言った。「じゃあ、これでつまらない説教は終わりだ。釣りをしよう。Pastaは君が作ってくれたのかね?」
「いや、宅配だね」
「では君が食べると良い」Aidaに言った。「君の作った料理であれば、お腹が風船のように膨らんでしまう」
「それは面白そうね、今後からあたしが作るよ」
「では今後から不味い方のcheeseの愛好家にならないといけないようだね、残念だ。僕は君に仕事を用意しよう」
「何?」
「君を訴えよう、デブになってしまった、と」
「量は控えめでOkay?」
「頼むからそうしてくれ」
「Okay.」
会話は終わった。
それは、これからの我々の将来を暗示するかのように、生き生きと斜陽の光によって丸々と太った身体が照らしていく。
そう、我々は天秤の紋章を受け継いだどこにでもありふれた事実を白日の下曝け出そうと論証することを生業としており、たまに厄介な口煩い弁護人や裁判官を相手だって論じるために外へ出かけないといけない。
日本に似た面積のGermanyの大学を経てItalyで弁護士事務所に入所したのだ。
それでは何故、そんな由真がこんなところで森の別荘のcaféにいるのか。何故現代artで造られた自然と数学的建築物に魅せられた建造物の外、木製の床で敷き詰められた木の柵にぶら下がったHammockの上で眠っていたのか。
「Mr.sYuma[由真].君はAidaと一緒に組んでくれ」所長のDanielが、言った。DanielとYumaとAidaは、Italyの地方の弁護士だった。「今回の案件は、探偵をしている大文字陽朗氏、ジェリコ氏の弁護だ。彼らはカリフォルニアで散々マフィア紛いの手口で、あらゆる事件を解決してきた輩だが、中々ずる賢いカラスみたいな奴らだ。気を付けてくれ、こちらまで生きた肉体毎丸々と啄まれるぞ」Danielは言った。「彼らは失態を犯している。月野未子と言う半人を守ろうと、かの有名なイラストレーターを殺処分したことが警察にとうとう分かってしまったのだ。正当防衛で、保釈金を払うとは言っているが、裁判ではその措置で済ませるように」
由真は疑問を抱いた。
そんなどうしようもない案件しか任せられないのか、Artの国であるItalyでそんな遠隔地のCaliforniaの事件を処置するのも解せない。いたたまれなくなった由真は、上司の命令にしか従えない今の所内の現状に嫌気が差し、辞職することにした。
「すみませんが、そんな闇に携わることはできません、ここを辞めさせて頂きます」由真は言った。
「じゃあ、仕方ないようだね」Danielは言った。
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