Episode.11...Air's rock !

「綺麗だ」私は言った。純白な七分袖に包まれた由真の可憐な女性の艶やかな衣装に魅了される。

 そこで、汗をかき、息を荒げ、私は目が覚めた。どうして、こんな映像が脳内のScreenへと映し出されたのだろうか。

 彼女は、去っていった。それが、きっと、私に気づかぬ内に心の中に傷跡を残していたのかも知れない。

『Air Cloud Spotっていい名前ね。Skyplaneの溜まり場ってことでしょ?あたし、それ学校の皆に教えてあげよう。』

 私の心にぽっかりと穴が空き、その中に彼の女性らしい声が再生された。私は悪に沸いて縁を切ると抜け殻のようになった。放心と言うか、解脱というか、力と言う力を全て失った感覚だ。

 影送りという遊びを知っているだろうか。ちいちゃんの影送りというお話であった。

 瞬間、轟音が鳴り響く。飛行機が飛翔するGOSignだ。飛行機の動力が空に迸る勇姿を眺める。彼は飛んでいくのだろう。

 矢沢に連絡した。どうしたら良いのか、ありのままを。

 『お前は、鵲をどうしたいんだ?』

 『それが分からなくって困っているんだ!』

 『分からないなら、教えなくちゃならねえな。お前さん、きっと由真に幻想を懐き、熱を持ち過ぎたんだよ。頭を冷やせ。そうしたら、お前さん、きっと分かってくるだろうさ。料理でも作って病気でも無いなら食え。精神の病なんて、熱や幻想のせいなんだぞ。分かるか?』

 それは知らなかった。

 『分かった。頭を切り替えよう』

 彼女は、Air Cloud spotから旅立つのかもしれない、将来は社会貢献活動とPCのクリエイティブな活動をする、という夢を持っている。

 私は―――鵲の友達という肩書を捨てて、そろそろ私の道を探さなくてはならない。

 私の道は、天外魔境だと思う。魔物の巣窟だろう。きっと。

 それを数学や物理や化学と言った純粋無垢な魔法のLogical Stickを使ってこじ開けなくちゃならない。

 さあ、暖めよう。私の中の空に閉じ込めておいた光達よ。

 呼応して、くれるかい……?

 私の将来に―――

 「君は気を付けた方が良い。小説を描くと言う事は、君は人間をよりよく知らないと描けないよ。僕みたいに知らない人間が思わず描いて良いもんじゃない。その点君は表面上をなぞり過ぎたね、僕も人間はあまり知らない方だけれども、君の薄っぺらい人間観には劣るよ」そう言って奥から現れたのは編集者の片品さん。

 「どうも、ご親切に」達郎は会釈した。「君は人間にはなれないんだろうなと思う。多分いうなれば、四次元界の魔導師ウィザード

 多分この人は知っているんだろう、本当に生きるという人間の強い在り方を。

 「貴方は私のことどう思いますか?」達郎は言った。「出版社に伝手があるんですがね、私の事を書籍化したいと言うと思いますか?」

 「君は自分で自分を試そうとしている内は、自分以上の者になれない、気を付けておくことだな。何かを試そうとするには他者の力を試してみればいい、きっとよく実力の差が分かるはずだ」片品さんは言って、車で帰って行った。

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