Episode.6...June pride.
一夜明けた。
静寂な夜が落ちた。
静けさで満たされた僕の部屋。
そこで本を開く。
街灯はもう明るみ、白く冷たい印象を受ける夜の静けさは終わり、朝の鳥たちの囀りを聞きながら、有限の時とすら思えない朝を迎える。
朝は詩的だ。何故ならば、ヘーゲルによれば自己意識は目が覚める。
例えば朝に他人がkissをする。その瞬間に他者による自己意識は、代償と行為の中間項とは、まだ形の否定と肯定円環の理を意味する。すなわち、他人は貴男に好きだという幻想を見せる。Illusionは現実となり、思想を持ち自律する存在とかす。それが自己意識。
残酷な朝は、まだ、夏の迸る暑さも比較的収まっており、彼女はどうしているだろうかと想いを馳せる―――どこへ行き、何を観て感じ、過ごしているのだろうか―――将来も宝珠のようなままであり続ける、半永久的な輝きを失わなかった貴女に会えるだろうか―――?
美しい者が住んでいるだろうと噂されるくらい透き通った、海の奥底の人魚のような夢を見たからだ。でも、実際は単純に鴎由真ではなかった。別の代替となった人となる日も近い。愛し愛される人が誰かの代替?それは血の繋がること自体がFashionであり、仮想マシンの並列化するためにどのマシンを装着するのか選択肢は全て数学的に言えば並び替えであることに近い概念だからだ。
幻想のようなくらい美しい湖のほとりで水面に佇む幽霊のような、そのくらい信じられないくらいの美女がいた。しかし、私の好みというだけの話かもしれない。でも、そのくらい綺麗なようにも感じた。
でも、幻だった。
あの女性にしたい、とは思わなかった。単純に、あの女性の名前が知りたかったのだ。出会った人の名前くらい知りたかったのに、と残念だったけれど仕方のない話だと達郎は考える。
『あの女性は―――?』達郎は言った。
『今はまだ、明かせません。私はあなたに会いたい』その女性が言った。
『どうして、教えてくれない。私は、多分貴女が―――』達郎は言った。
『絶対違います。一生掛けても誰とも付き合うことはありません。それだけは言っておきます』その女性が言った。『私は視界を失った邪悪な魔女。魔女裁判にあったのよ』
『どういう事?魔女の存在―――?』
『この星は太陽よりも強い電磁波の存在が確認されているわ。その電磁波によってあたしたちは赤外線を浴び、熱を帯びている。熱は浮かされ、恋を呼ぶ。しかし、その恋愛をすること自体貴男の国では多分ほぼ難しいものとなるでしょう。だから諦めるのです。魔女ではないと貴男は言うかもしれない。しかし魔性の化身はいつまでも消えない』
なんと意味深な夢があるのだろうか。自分も勉強で頭を使いすぎたのかな、と考え、これからは何も考えないような入力作業みたいな仕事に就こうかな、くらいに考える。でも入力の速度なんてどうでもいいし、単純作業は、好みでない。であれば、何か創造的な仕事―――?
パンフレット作成でもしようか。そうだ。単純な作業で創造的な仕事ができる仕事にしよう。
そう心に誓った。
きっと彼女は私の部屋には来ないことは知っているが、しかし。彼女は、まだ私の家にいる。朝食も食べたいと言い始めたからだ。
『少しは自重をする気はないのか、お前』
『だって美味いじゃん。アンタの母の料理』
「そうか・・・・・・あの時」
彼女はそんな理由を言って帰るのを引き止めたのだろうか、と思い私は、笑顔が綻んだ。そうして、昨日のAir Cloud Spot...でのFlightを思い出せる。感情的に成りすぎた、半ば強引にRadioや、Movieを見て少し自身でも戸惑ってしまったけれど、あそこまで自身は彼女のことを真剣に想っていたんだろうか。
「いや、違うだろうな。そうか・・・・・・仕方ない」
彼女もまた本気ではないことは知っている。彼女のFlightというのは一時的な発作から来る思春期によくありがちなPatternだろうか。いや違う。彼女の目は真剣だった。
彼女の本気のうっとりとした眼。
しかしその瞬間、その瞳は、両手でこすり合わせ、痛みと戦っている。
「何?コレ」由真は言った。
「どういうこと?」
「あたし狼なフリをしただけなのに、仮想的なあたしが現実化したのかしら、あたしは誰かに恋をしている」
しかし、それを逸らさざるを得ない。彼女はきっと、私だったから許せたのだろうか。そうではないはずだ。であれば何故?
分からない。女性というのは謎である。きっと。
「いけない。君はしてはならないことをしている。断罪すべきは僕ではない。君の存在だ」
「邪悪な化身な訳ね、あたしは。恋愛と言う概念は達郎君とあたしを取り込んだ自己意識には似合わない。自律した存在として動かないといけない訳ね?」
「そう、何故女性的に生まれたのかそこを解明する責任はない。性的な女性的意識までは理性によって代替処理されないといけない。僕はとても男性に近づきすぎたんだろう。だから女性的になろうと自己意識が動いてしまった」
「いけない。そこまで意識を目覚めさせてはならない。また瞳や全身を焦がすことになる。この星の電磁波によって、きっと貴男は焼かれていくことになるでしょう」
「避けないといけない。何故ならば、僕に許された社会は本来僕が生きていくために最低限の保障しかしない社会にしか属することが出来ない。戒律が定められているためだ。よって恋愛は出来ない」
そんなことを考えながら、うとうととした目覚めから顔を洗い、目が覚めると、朝食の準備に取り掛かった。
おなじみの蒸し林檎は作らない。今度は学生時代から作ったのは、回鍋肉とPasta。Pastaを作った。旬の野菜を水洗い。そして、カリフラワーを入れてみた。1つのAccentになるだろう。そして、Cabbageを少々、Tomatoは大きいSizeのものを薄くSliceして色どりに。春に食べるべきなのだろうが、鯖の残りにOnionとBlack Pepperを掛け、Cheese Onion ToastにTomatoを盛った。昼食の出来上がりだが、如何せん、和食と洋食の組み合わせでかみ合わせが悪いかと思い半ば悪気に昼食を出すと、以外に高評価で危ないところだった。母が久々口にした言葉は何かと思えば。
「また、勝手に料理したー、いい加減にして欲しいわー」
「なんだそれは。別に良いじゃないか」
「アンタが弁当買うって言うから」
「料理すると言うと一々煩くするから、嘘ついたんじゃないか」
「また人のせいにする」
「事実じゃない」
「煩くしてない。もうあたし今後から何も言わない」
どういう意味かしつこく問いたかったが、どうでもいいので辞めた。
「鵲さんはどうなの?黙って食ってるけど」
「Good job!」鴎氏はそう発言するなり、親指を立てた。何の真似だろうか。アニメにそんなシーンがあったような気もするが覚えていない。
「あぶねー、マジ朝食和食と洋食のMixだから不安だった」
「Bad job!」鵲氏はそう発言するなり、親指を下げた。それは意味が違うぞ、おい。
とにかく、昼食を食べた後、鵲氏はAir Cloud Spot...から降りた丘のlodgeで読書会を行った。今日はちなみにUOMOとスピン、ギョーム・ミョッソの夜の少女。土曜と日曜日は休日である。週休二日制ってところか。
「じゃあね!」朝日を浴びる彼女の姿はどことなく、あどけない表情をしていた。その姿を、私はスマホで撮った。
彼女の私服姿なんて未だかつて見たことなかったからだった。
「何すんの?それ」
「付き合った記念日」
「なにそれ、女々しい」
「雄々しいな、お前」
「煩いわね、サバサバしてるだけよ私」そう言って、目尻を下に下げて、Winkをする。その姿も写真に撮った。
「この写真魔」
「痴漢魔みたいに言うな」
「似たようなもんでしょ、後で男の子のやることなんて。やらしー」
「しねーわ、ばーか。記念に撮影しただけじゃい」
「そう。バイバイ。―――楽しかったわ」
「それなら良かった」
そんな春みたいなどこにでもあるくらいの会話に馴染んでいくのもまた一興かも知れないと思うのだ。
精神の安定も得られ、非常に私的な少女と共に、Linkし楽しいと感じている。
『バイバイ。二度と会うことは無いでしょう、貴方が男性として女性的に起こった恋愛の意識は消えないといけない
『―――そうなの?』
『多分、気づいているでしょうけれども、恋愛を消す魔法があるってことを。それを使った所為でしょうね』
『何それ?』
『自己認知をすること。自分が居ないと自我が保てないと認識すること。自我を保てば自己意識が働き恋愛は起きない』
『であれば、君の責任だね、由真』
夢は醒めた。
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