第4話 母の予知夢

 私は天武浄化庁に強制送還されていた。

大広間には祖母、白髪じじぃの久遠、学業を教える水音、氷帝家からは蒼人の父、長男が集まっていた。


「陽炎家、風磨家まで噂が広がってしまった。彼らもこの場にはせ参ずるとの申し出があったが、今は控えていただきましたよ。押せるのが大変でしたが。」

 と氷帝の長男、りんが言う。


「卯月・・・、視る力の出現はいつだ。まさか雅の予知夢か。」

「雅は咲がお腹にいるころに予知した。生まれる子の力は各家系のバランスを壊すだけでなく、反勢力にとっても摘み取らなくてはならないもの。その一方で、咲を手に入れることができれば、勢力図が変わる。」


「視る力と予知夢。あとは移動か。これは水音が教えたのか?」

と、久遠が水音氏を見た。

「教えていません。ただ、どの能力にも礎となる、力の使い方を教えただけです。」

「移動に関しては、神大家の血の者に反応する、祠の力に引き寄せらただけだろう。出現の仕方がめちゃくちゃだった。」

と祖母が説明を加えた。


「あの、あのへどろは何ですか? 祖母に襲い掛かりました。」

「簡単に言うと、僕らの敵対組織。冥府結社。冥府結社は卯月さんの結界に攻撃してきた。おそらく、君を見つけたのだと思う。この件はまた話すよ。」

 蒼人が私の話しを止めた。


 「君、咲ちゃんだね。」

 会議後、ぼんやりしていた私に声をかけてきたのは蒼人の父だった。

 「雅のおもかげがあるね。」

 「母を知っているんですか?」

 私は母の友人をひとりも知らない。

 「雅には助けられたことがある。いまでも感謝しているんだよ。いつかゆっくり雅の話しを君に教えよう。」

 彼はそういうと、長男とともに会議室を出て行った。


 

 

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