エルフの村
エルフの村
セレファイス
エルフの村として知られるこの村
ここには共和国からの脱走兵や収容所から逃げてきたという人たちが難民となって押し寄せていた。
そこまで規模の広くないこの村にこの人たち全員が生活するスペースなどなかった。
その影響でメインルートの道端には家もない奴隷の人々が座り込んでいた。
その街は今まで彼らが通ってきた街と比べるとこじんまりとした小さな規模の町でどちらかというと田舎町の村に近かった。
街は石垣で出来た家屋が建ち並んでいてこじんまりとした雰囲気だった。
その奴隷の人たちを後目に4人は大通りを歩く。
「でも、どうすればいいんだ?」
海輝が疑問を投げかける。
「心当たりがある、ちょっと来てくれ」
(まて、確かここにはあいつがいたはずだ)
広希は知り合いの存在を思い出し、そこへ向かう。
大通りから道を外れ、住宅街に入っていった。
歩く道は次第に細くなり、歩く人やエルフも少なくなっていく。
そして住宅街に入ってから5分ほど歩いた時2階建ての家を見つけて
「ここだ、ちょっと交渉してくる」
広希はそう言って交渉を始める
そして5分くらい過ぎた時
「どうでした?」
イレーナが話しかける、結果は?
「ちょうど一部屋空いてるって、そこでよければいいって」
彼がそう答える。
「やったぁ」
景が思わす囁く。
そして4人はその家へ向かっていく。
そこは2階建ての石垣で出来た新しくはないが荒れ果てた様子もない家。
「おじゃまします、って!」
海輝が玄関でそう挨拶をするとそこに立っているエルフに気付く。
「先日はどうも……」
そこに立っていたのは先日、森の中で俺達に情報を教えてくれたエルフだった。
「アレス・ハビエルと申します」
「よろしくお願いします」
イレーナがあいさつをする。
5人は家に上がり、与えられた部屋に荷物を置く。
タッ
奥から誰かやってくる。
「よう広希!」
「おう、勇人、久しぶりだな」
広希が言葉を返す、懐かしさを感じながら
「そうだ、遠藤勇人だ、彼は昔俺と行動していたんだ」
3人に彼を紹介する。
「へへっよろしくな」
明るい表情であいさつをする。
その時、外から大きな声で彼を呼ぶ音
「おーーい、勇人―――」
ドキッ
思わず表情と体をこわばらせる勇人。
「おじゃましまーす、勇人―どこだーー」
家に入ってもなお勇人を呼ぶ。
「こ、こ、こ、こっちだ!!」
真っ赤な顔になり、返事をする。
「…」
そのやりとりを見て何かを感じる広希。
ダッ
ドアを開ける音。
「よう勇人、ってそちらは?」
そこにいたのは、いかにも女騎士って感じで金髪をして高身長な女性。
「ここ、こちらららは」
勇人は顔を真っ赤にして視線を下に向けながら4人を紹介する。
「そうか、私はマルセロ・カーニャ、よろしくな」
「それと」
カッ
「え、ちょっと」
カーニャは突然自分のおでこと勇人のおでこを合わせる。
「勇人、風邪でもあるのか?最近顔が真っ赤だぞ?」
とても心配そうな声で話しかける。
スッ
「い、いやいやいやいあやそそそそんなことないって!!」
彼は顔を真っ赤にしておでこから話す。
「どうした?そんな取り乱して…」
カーニャは取り乱した勇人に心配そうな表情で話しかける。
「あーそういうことか……」
ちらっ
そう言うと広希は似た者同士を見つけたような表情で海輝を見つめる。
「何が言いたいんだよ?言いたいことはわかるが」
彼はすぐに言葉を返す、彼の視線の意味を何となく理解して
4人の居場所を確保し、他の兵士たちの居場所も確保した大輝達は街のはずれでトレーニングを行っていた。今回は勇人とカーニャも交えて。
まずは広希の指導のもと、カーニャとイレーナが戦っていたのだが
ドン
イレーナの体が吹き飛ぶ。
10分ほどで勝負はついた、カーニャの勝利という形で
確かの彼女も実力者だったが、それ以上にイレーナが戦い方に迷いを感じていたこともあった。
倒れこんでいるイレーナに広希が話しかける。
「やっぱ防御術、お前には合わない」
「むぅ、やっぱりそうですか……」
ため息をした後、イレーナは悟ったような表情で言葉を返す。
話はユトランド公国にいた時
「何?防御術を使いたい?」
トレーニング中にイレーナが相談する。
(イレーナの性格と戦い方を考えるとあまり)
彼女の能力は自分の未来が見える力、後ろ向きになれば圧倒される未来が彼女には見えてしまい、ますます彼女の脳裏に攻撃を受ける姿が見えてしまい、気持が後ろ向きになる。
だから常に攻撃をし、気持ちを前向きにする必要がある。
守りに入るより攻め続けたほうが彼女にとっては良いのだが
分かった、教えるよ……
広希は考えた、下手に否定して彼女の心にしこりを残すよりはやらせてみてそこで考えさせようと。
そして今に至る。
「やっぱり防御術、使わないほうがいい、合わない、戦い方が後ろ向きになる」
広希が進言する。
見ていた彼にはわかる、いつもと違う戦い方に戸惑っていたのも確かだが、何よりイレーナが前に出ることをいつもよりためらっていた。
「わかりました、使わないほうがいいですよね……」
しょんぼりしながら答える。
「お前は守りを固めるより攻撃に出たほうが似合ってるよ、そのほうが攻撃的な性格がよく出ているというか」
「いたたたたたた」
イレーナが広希の左ほほをつねる、思わず叫ぶ広希。
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