アイアース編

昔の彼は

「戦闘だ!!敵が攻めてきたぞ!!」


 その叫び声とともに、敵軍との乱戦が始める。




「準備しろ、俺達も行くぞ!!」


 広希の叫びとともに3人を戦闘に入る。




 カン!!カン!!


 海輝は乱戦の中を戦う。




(すごい、剣が軽く感じる、特訓の成果かな?)


 そう感じながら敵兵を倒していく。


 そして




 天竜の力、力となり解放せよ!!


 スペルビア・オブ・バースト!!




 ドォォォォォン


 初めて放つプロトスキル、敵兵の体が吹き飛ぶ。




「海君、強くなりましたね」


 それを見ていたイレーナ思わず本音が出る。


「まあ、何度もぶっ倒れたからね……」


 景が今までの彼を思い出す。




 何度も何度も倒れかける彼の姿、でも広希は手を出さずに見守る


「ゆっくりでもいい!!最後までやるんだ!!」


 そう叫びながら


 そして最後までやり切って少しずつ体力が強くなっていく彼の姿を




 4人は大量の敵兵に善戦する。




 ドン!!


「しまった!!」


 広希に遠距離からの奇襲




 魔力を使った銃の奇襲、この前もあった


 そう確信した彼は叫ぶ。




「ジェルジンスキー、お前だろ!!俺が相手をしてやる!!」


 そう言い放ち、3人に他の敵兵を近づけさせないことを指示する。




 スッ


 両者が近づく。




 カン!!カン!!


 接近戦の音が鳴り響く。




 スッ


 広希が1撃を加えようとする。




 すると彼女は右に体を旋回し攻撃をかわす。




 そして語り始める。


「昔とは大違いだな、他人な感情も考えず生意気な口調でいつも孤立し、そして旧元帥の栄光をつぶした張本人さんとは大違いだな……」




「こいつ」


 広希の表情が変わる。




「どういう事なんだ?」


 ここにいる中で唯一彼のことを知らない海輝が思わず口にする。




「ああ、知らないのか、じゃあ答えてやるよ」


 大輝の質問に彼女が答えようとしたその時




 タッ


 有無を言わさず広希が突っ込んでくる




 カン!!カン!!


 そのまま接近戦になる。




(こいつ、相当研究しつくしているな、俺が言われたくないことも)




「何かうれしいね、俺のことを研究しているってのは、それだけ俺のことを見ていてくれてるってことだからな…」


 広希は笑みを浮かべながら話しかける。




「ははっ、礼には及ばないよ、相手を研究し、もっとも有効ね戦略で戦う。それが私のやり方でね、それでも貴様ほどの相手だと有効な戦略は取り切れていない……さすがだ」


 彼女もほほ笑みを浮かべながら言葉を返す。




「だから、俺も全力でお前をねじ伏せる」




 天竜の力、力となり解放せよ!!


 スペルビア・オブ・バースト!!




 プロトスペルを彼女に解き放つ。




 天鳥の光、守護の力となり拡散せよ!!


 アクセディア・オブ・シャインフレア!!




(その程度なら私だって十分防げる、何かあるな)




 そしてにやりと笑いだす広希


(よし、引っかかった!!)




 悠久なる輝きの力、今解き放ち世界の闇を貫く閃光となれ!!


 クレアティオ・オブ・パーセム・オルビス




 ドォォォォォォォン




 とてつもない爆発音が鳴り響く




 タッ


 彼女は右側に飛び込むように攻撃をかわし間一髪で攻撃をかわす。




(─危ない)




 ドン!!


 しかし交わした瞬間、彼女の体に打撃攻撃が加えられる




 ドン!!


 広希が彼女を蹴飛ばす音が聞こえる。




(何度か戦ったからわかるがお前はかわすときいつも右側によける癖がある、相手を意識しすぎて自分のことがおろそかになっているな)




 そして彼女の胸ぐらをつかみ


(攻撃を読まれるのなら、かわせない位置から打ち込めばいい!!)




 機根されし力解放し、世界の道筋を切り開く力、限界を超え突き抜けろ!!


 エアレイド・オブ・ライトニングブラスト




 ドォォォォォォン!!




 再び大きな爆発音が走る。




(どうなった?)


 海輝達も思わず視線をそっちに向ける。




 タッ




 広希はひざを曲げる。


(大技のスペルを二発、やはり体に来るな)




 煙が晴れていく




 ピュン!!ピュン!!




 前方からの彼女の攻撃。


 サッ!!




 体を左へ投げ出し、何とか回避する。


 攻撃の先へ視線を送る。




「流石だよ、メタを張っても、それを力づくで突破するとはね」


 そこにはボロボロになった彼女の姿。




(まあ、彼を他の兵士と闘わせなかっただけでも良しとするか)




「また会おう!!」


 スッ




 彼女は去っていく。




 その後も4人は善戦を続け、何とかこの場所を守り切る。






 守り切った4人。


 ハァっ


「見透かされていたようですね」


 戦いを終えたイレーナ、ため息がこぼれる。




「いや、ここまでタイミングいく奇襲をするってことは、わかってたんだ、今日ここに俺達が来るってことが」


 広希が予測する、恐らくこっちの兵士が情報を横流ししていたのだと。




「たぶん、相手のスパイがいたんだろうね……」


 景もそう考えていた




 タッ


 海輝の後ろに誰かが来る音。




 スッ


 4人がそっちに視線を送る。


「大丈夫です、敵ではありませんよ」


 彼女はどこかおびえたようなそぶりをしていた。






(あれは、エルフ)


 そこにはエルフの人が負傷したこっちの兵士に肩を貸している姿があった。


 金髪で透き通ったような瞳、長い耳。聞いたことがある。




「負傷したようなので、拾ってきました」


 彼女が4人に向かって話しかける。




「あ、ありがとう……」


 礼を言う海輝、すると




「ちょっと待ってもらっていいかな?」


 広希が話しかける。




 びくっ


 おびえたように反応するエルフ。


「申し訳ありません、そう長くは……」




「大丈夫、すぐ終わるから」


 手を振り、笑いの表情を見せながら言葉を返す。




 そして彼の聞き込み調査が始まった。

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