あんたはまだ

 翌朝




 ホテルに帰還した4人は朝まで眠っていた。


 そこにイレーナと広希が起きて話をまとめようとするが……




「もー、どういう事よ、納得いかないわ!!」




 不満を口にする幸乃


 理由は昨日の深夜に資料をひそかに奪いこの芳養に帰ってきた海輝、景、幸乃、モルトケの4人、部屋に入るとすでに帰って寝ていた広希とイレーナが起きて話し合いが始まったことからだった。




「おかえりなさい」


 イレーナが起きて4人に話し始める。




「ただいま、資料手に入れてきたよ」


 4人は持ち去ってきた資料をイレーナと広希に見せる。




「そっちも成功したみたいだな」




「もう夜も遅い、資料は明日にしよう、幸乃も泊まってったらどうだ?」


 広希が資料を見て一言、そして深夜だという事を考慮し、資料をみるのは明日にするよう提案する。




「まあそうね」


 半ば納得する幸乃、しかしとあることに気付く。




「ベット、争奪戦になるわよね……」


「そ、そういえば」




 イレーナもそれに気付く。


 幸い掛け布団は余分にあり、ベットにありつけない2人はそれにはくるまれるが


「じゃんけん!!」




 そう叫ぶ景。


「たしかに、それが1番公平だ!ベットの2人も立て!!」


 グーの手を上げながら同調する海輝。




「えーー」


 すでにベットにいるイレーナ、不満の声を上げる。




「そうよ、公平にじゃんけん、行くわよ!!!」


 幸乃がそう声を出す。




 そして寝床をかけたじゃんけんの結果




「嘘、負けた……」


 最初に負けたのはイレーナ。




「さ、最悪だ」


 もう一人負けたのが海輝この二人がベットにありつけず、床に布団をかけて寝ることが決定。




 そして6人は遅めの朝を迎えるが……




「ツインルームの4人使用ってどういう事よ!!」


 高々に不満の声を荒げる幸乃。




 彼女はベットこそは手に入れたが4番目、最初から部屋にあったベットではなくホテルが慌てて用意したベット、どういうわけか寝心地が悪い。




「沈むのよこのベットおまけにベットの骨格の木が当たるのよ」


 彼女は感じていた、寝心地が悪い




「昨日までそこで寝ていたのは俺だ、それはわかるよ……」


 海輝が会話に入り出す、そして反論する。




「けどベッドに寝れたんだからまだいいだろ」




「良くないわよ!!私ね、七恒星なのよ、教会からはその国で一番豪華なホテルのツインルームを1人で使用を許されている女なのよ」


 不満たらたらの表情




 その言葉に怒り出す幸乃。


「それが、この中では、6人でこんなホテルに泊まらされて挙句」


 彼女に反論は続く。




「それも!!全員で話し合った結果、恐らく最も寝心地の悪いベットに私を寝かせる始末!!!」




「あー我慢できない!!」


 彼女の露骨に不機嫌な顔。




「もうわかったよ、次合流する時はもっとましなホテルに泊まろうな……」


 半ば笑いながら彼女の怒りをなだめる広希。




「それと、資料、読み始めるぞ」


 そして話題を切り替え、持ち去ってきた資料を読み始める。




 そして30分ぐらいしただろうか、資料を一通り読み終えた6人は要点をおさらいする。






 まずこの国が極秘に開発している新薬サリエル乃開発研究所は西方向に存在する山、ベルブ山の火口付近で行っていること。




 北部同盟の盟主、ソンム共和国やアイアース共和国とも資料提携という形でかかわっていること。


 しかし実態は不当な条約で一方的な負担を押し付けられていること。


 そしてその負担で国に負荷がかかっていること。


 そのために国全体に無理が生じ、鉱山開発、有害物質の垂れ流しが続いていること。


 その製造過程で大量の産業廃棄物を川に流失していること。






 まとめを見て幸乃が一言。


「大国に不平等な負担を押し付けられて犠牲になる人たち、モルトケ、自分の故郷をこんな扱いにされてどう思う?」




 その言葉にただ一言、しかし強い感情、強い意志を込めて彼が言葉を発する。




「許さん!!」




「そりゃそうだよな」


 海輝がその言葉に同調する。




「じゃあ、今から作戦を説明する」


 広希が会話に入り、作戦が説明される。




 そして30分後。




「え?俺が?」


 作戦の説明を聞いて思わず驚く海輝。




「何驚いているんだよ」


 それに対して広希は淡々とした表情でつっこむ。




「だって、俺がこんなこと、出来るのかなって……」


 作戦に不安がる海輝、彼の中には、この前更衣室で捕まったことが脳裏によぎっていた、いつも活躍している彼らと違い、まだ俺は何も出来ていない、足を引っ張るんじゃないかと不安で仕方がなかった。




(確かこの前捕まったんだったな……)


 それを思い出した広希、彼の気持ちを前に持ってかせるために言葉を発する。




「出来る、お前だってそれなりにやることはやってきたんだ、それにどうすればお前でも作戦通りできるようになるか、成長具合を鑑みて考えてる、今のお前なら出来ると踏んでそれを任せている、だから自信を持って作戦に臨んでくれ!!」




 それにフォローするイレーナ


「そうですよ、失敗なら私だってありましたよ、何度だってあって、でもこうしているんですから……」




 幸乃が海輝を指を差し自身をつけようとする。


「あんたはまだオマケの存在なのよ、こんだけ作戦を考えているていったってどこかでうまくいかないことぐらい想定しているわけよ。だから安心して取り組みなさい!!」






 その言葉に少し自信を取り戻す海輝。


「わかった、じゃあやってみるよ、今の全力で……」

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