強さの秘密

翌日の朝


景、海輝、モルトケ、幸乃の4人は農業の労働者に変装して作業していた。




モルトケの話によると、ここの木の実が何かおかしいらしい。




4人は今日の作業、木の土壌に肥料をまく作業をしていながら会話していた。




「やはり何かおかしいね」


まず肥料を似て景は違和感に気付く。




「なにが?」


どこがおかしいかわからない海輝、景に質問する。


「これは私の世界の肥料ではない……」


それを聞いていたモルトケ、彼の質問に答える。




「そうね、これ化学肥料っていうやつね」


幸乃が答える。




ここではなぜか化学肥料を使用している、それも俺達の世界から持ち込んで




こっちの物価は俺達の世界の物価の10分の1ほどしかない、それなのにこの林だけに大量の化学肥料を使っていればコストだけが跳ね上がる。


そして、この辺りで育てている木にしか使っていなくて他の畑や木で栽培している植物には使っていない。




つまりこの木で育てている木の実は相当な値段で取引されているというのが二人の説だった。




景が作業しながら疑問点を訪ねる。


「でもこんな木、図鑑には載ってなかったよ」




「栽培できるような木なら図鑑くらいには載ってるはずよね、そこなのよ!!」


それに答える幸乃。


「つまりこれはみんなに公表できない植物かもしれないってことよ!!」




その時、ここの管理者から4人に叫び声が聞こえる。


「おい、肥料が足りないぞ、もっと多くまいてくれ!!」






(かかったわね、このためにわざとそこだけ肥料を少なくまいていたのよ)


狙い通り注意を受ける4人、そこに幸乃が問いかける。




「これじゃあだめなの?」


それに管理者が答える。


「ああ、この木は大量に肥料をまかないと栄養不足で枯れるんだ!!この2倍くらいは撒いてくれ!!」




ざっざっ




その声にこたえるように4人は肥料をまいていく。


(木自体は普通の木みたい、ってことはあの大量の養分は木の実に行っているってことね)




「きな臭い木ね、調べないとね……」


幸乃がそう結論付けた




一方イレーナと広希は兵士に変装して街の警備を行っていた。




そして街では奴隷たちが反乱を起こしていた。


そして一般兵とともに反乱を止める仕事をしていた。




そしてその中でとある違和感。




「ちょっと、強くないか?」


奴隷たちに怪我をさせないように剣を裁きながらイレーナに話しかける。




「え?どういう事ですか?」


それに聞き返すイレーナ。




「周りの兵士のことだ、全体的に他の国の騎士より力が強い、でもどこか力が使い慣れていないように感じるんだ」


これが広希が感じた違和感だった。




「ちょっと、後で聞いてみよう」


イレーナにそう話しかける。


「わかりました……」


イレーナが言葉を返す。




そして反乱はいったん鎮圧し、兵士たちは食事の時間を迎える。




「すいません、ちょっといいですか?」


「はい」


にっこりした作り笑いを浮かべ、広希は兵士の集団に話しかける。




「さっきの反乱の時、あなたたちの戦闘の場面見てました、あなたたちの戦いとっても強いって」


「─まあな」


ほめちぎる広希に少し照れた顔を見せる兵士。




「それで、教えてほしいんですよね、あなたたちの強さの秘密…絶対に口外しません、だからお願いします!!」


兵士に強さの秘密を教えてほしいとせがむ広希。


(いつ見てもうまいなぁ、こうやって取り入って情報をつかむの)


そう思いながら横目で彼のことを考えるイレーナ。




「……わかったよ、ちょっと裏道に来い」


何か意味ありげなことを言い出す兵士。


「わかりました」


そして笑った表情を保ったまま返事をする。




裏道


「……強さの秘密、教えてやってもいい、だが条件がある」


そして兵士の表情は険しくなり、口を開き始める。




「俺はジウトン、絶対に口外はするな……したら、覚悟しておけ!」




「はい、わかりました」


その言葉を聞いた広希、待っていたかのように笑みを浮かべて答える。




裏道に入り、他からは見えない場所に移動するジウトンと広希とイレーナ。


そして兵士がポケットから約束の物を取り出す。




「これが正体だ……」


2人は彼の手の上にあるものを見る。




それは4cmほどの大きさの瓶壺、その中に透明な液体が入っていた。


(この液体にどんな秘密が、身体強化とか)


イレーナが想像する。




「見入っているね嬢ちゃん、これを使うと魔力がケタ違いに使えるようになってさ」


ニコニコ機嫌がよくなりながらジウトンが話し始める。




ゴクゴク


そして栓を空け、その液体を口にし始める。




「売ってる場所、あとで教えてやるよ、夕方にしか売っていないんでな」


上機嫌で語り始める。


「わかりました、そろそろ休憩が終わりますね、後でよろしくお願いします」


広希がそう返す、そして午後の戦いへと彼らは戻っていく。






午後もやることは同じだった。


暴動を起こした民衆の鎮圧。




この野郎!!!




怒りを兵士たちにぶつける民衆たち。




ドン!!


広希とイレーナはそれをかわしながら、急所をあえて外して民衆たちに反撃していく。




「仕事だし、やらなくちゃいけないってわかってる、でも一般の人たちに剣を向けなくちゃいけないっていい気分じゃないな」


イレーナに話しかける広希。


「そりゃそうですよ、罪悪感でいっぱいにしながら戦っていますよ……」




それに言葉を返す広希。


「さっきから指揮官の姿が見えない、ちょっとやりたいことがある、ついてきてくれるか?」


「あ、はい」


即答で返事をするイレーナ。




一端戦場を抜け、指揮官の所へ移動する2人。

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