世界の闇を貫く閃光
ふらつきながら何とか立っていたイレーナ。
全身が痛い、でももういい、勝負はついたのだから
「バカな、私が負けるだと?」
唖然とした表情で倒れたままベイルが口に出す。
「何故だ、私は悪と戦ってきた、どんな些細な悪も許さず、厳しく裁き、粛清してきた
そのために全てをつぎ込み特殊警察も作った、
なのになぜ私は選ばれなかった!!」
今までの自分の努力は何だったのか、そう無念の思いに浸るベイルが叫ぶ。
「どんな些細な悪も許さず、厳しく裁き、粛清してきた
だからあなたは選ばれなかったんですよ」
反論するイレーナ。
アウベスが縄で国王を縛る。
「さあ、償いの時間だ、今度はお前が、国民にやってきたように裁かれる番だ」
そう言いながらベイルを縛りつけ、歩かせる。
(じゃあ、私も戻りましょうか……)
イレーナも遺跡から戻ろうとするが
フラッ
タッ
すでに戦いで消耗しきっていた彼女は立ち上がった瞬間体をふらつかせ、座り込んでしまう。
「俺でよければ肩、貸そうか?」
力を出し切った後の強い脱力感、自分もそれを経験していた海輝、肩を貸す。
何かを意識して恥ずかしそうな表情で。
「あ、ありがとう、その……お願いします」
ほんのり顔を赤くしながらお願いするイレーナ。
スッ
海輝に肩を借りて、立ち上がるイレーナ。
3人は遺跡を出て、教会へ向かった。
一方 宮殿では戦士たちが前例にない魔獣を相手に絶望的な戦いを繰り広げていた。
「ぐわあああああああああ」
また一人戦士が倒れる。
決して彼らが弱すぎるのではない。
数が多すぎるのだ。
「魔獣ショゴス60体、聞いたこともないぞ」
善戦していたホベルトも口を漏らす。
(やはり、あれを使うしかないのか……)
今まで通常の姿で戦ってきた広希、しかし、あまりに多すぎる敵、犠牲になる味方の数に覚悟を決める。
「おいホベルト」
あの力を使う事を
(あまり人前で見せたくはなかったんだがな……)
「騎士たちを全員引かせろ、後は俺一人でやる!!」
そう叫ぶと、宮殿の階段を上り始める、空中にいる魔獣を一網打尽にするために。
「わかったよ、じゃあ伝えてくる」
(あの力、使うってことか)
彼の意図を理解したホベルト、広希の指示を伝えるためこの場を後にする。
屋上
そこに広希はいた。視界には空を舞う魔獣の姿、まだ50体は残っているようだ。
彼の脳裏には焼きついている、俺に助けを求める声、今も後悔している、彼らに手を差し伸べられなかったこと。
そして囁く、その後に誓ったこと
「もう……あんな悲劇は繰り返させない!!」
ブォォォォォォォォ
彼の存在に気付いたショゴス、その数10体、それらが襲いかかってくる。
スッ
彼がデバイスを手に取る、いつも戦う時には決して見せないあのデバイス。
悠久なる輝きの力、今解き放ち世界の闇を貫く閃光となれ!!
クレアティオ・オブ・パーセム・オルビス
Creatio of pacem orbis
ショゴスが襲いかかる
機根されし力解放し、世界の道筋を切り開く力、限界を超え突き抜けろ!!
エアレイド・オブ・ライトニングブラスト
彼が叫ぶ。自分の感情全てを込めて
(届けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ)
ドォォォォォン
大きな爆発音が鳴り響く。
ショゴス達が次々と消滅していく。
広希は周りを確認する、残りのショゴスがどれくらいいるか確認するために。
(残りのショゴスは……後6体)
それを見ていたアウベス声を漏らす。
「50体以上のショゴスを一瞬で……」
他の騎士たちからも声が
「すげえ、俺達は1体片付けるのにあれだけ苦労したのに」
ブァァァァァァ
残りのショゴス達が一斉に襲ってくる。
「これだけだったら、いける」
我が力、求める者の報身となり
輝きを超える速さ、降臨せよ!!
フラッシュ・オブ・リベルタ・ライトニングフォース
ドォォォォン
彼が口上を唱えると天から雷が降り、広希に直撃する。
ブォォォォォォォ
ショゴス達が一斉に襲っていく。
そしてその拳で攻撃を仕掛けていく。
しかし
スッスッ
彼は攻撃をかわしていく。それも空中で何度も瞬間移動を繰り返しながら
そまるでショゴス達の攻撃がスローモーションになっているかのような早さだった。
ズバッズバッ
そして背後に回り次々にショゴスたちに攻撃を仕掛けていく。
ブァァァァァァ
悲鳴を上げながら彼らの体が消滅していく。
(彼らはエネルギーが尽きると体が消滅する、もう終わりだ!!)
そう考えながら至近距離で攻撃を続ける、そして
ブァァァァァァァァァァァ
ブォォォォォォォ
最後の1体が攻撃を仕掛けてくる。
スッ
それをかわす。
(これが最後!!)
ズバァァァァ
最後のショゴスに1撃を加える。
ブァァァァァ
断末魔の叫びを上げながら最後のショゴスが消滅する。
(何とか終わった……)
魔力を大幅に消耗した広希、そう思いながら地上に降り立つ。
(後はミシェウの所に行かなきゃ)
消耗しきった体を動かし教会へ戻ろうとすると目の前に景が現れる。
「景、何か情報はつかめたのか?」
広希がそう問いかける。
(ハスキーの人たちに何があったか、それを調べてもらうために景と明日香は別行動にさせていたんだが…)
「うん」
景がうなずく。そして2人の調べで分かったことをしゃべり出す。
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