今日はホームパーティー

 異世界での戦いから2週間後、






 AM11:30ごろ。


 その人物がイレーナ、景、広希に囲まれながら景の出した問題に答えていた。






 戦士とは、あの世界で魔道を使用して戦う人物の敬称であり、彼らはには水、火などのテーマがあり、自身にある魔導力のコードを詠唱して出力し、カードのような形をしたデバイスや剣や槍の形をした兵器に変換させて戦う。




 魔道を兵器に変換された状態だとその生物は銃や刃物では痛みこそ受けるものの出血しなくなる。




 今あの世界では生存球計、セフィラが破滅がまじかに迫っているサインを出していて、世界中でその原因を探っている。




 しかし、国家の間で遺跡や資源の利権争いなども絡み、表面上しかうまくいっていない。


 あの世界には2人の創造主がいてその力を頭脳、右腕、左腕、心臓、脚に分けて


 先史遺跡に封印してある。




(たしか、後は防衛線のあとサラとエーディンに聞いたあれだ……)


 新連邦の闇の皇帝や消滅した街などが関係したのではないかと噂されているが決定的な証拠はまだ見つかっていない、望美の詳細について、破滅を防ぐため、学業の合間を縫ってあの世界の探査をしていたことしかわかっていない。




 トン


 海輝はシャーペンを机に置く。


「こんな感じかな?」


 そう小さい声で言葉を発し視線を上げる。




 スッ


 景がその紙を取り海輝が描いた答えを読む


 そして口を開く




「まあ、こんなところだね、今のところは合格でいいよ……」


「ふーよかった」


 海輝に向けてのテストだった、あっちの世界をどれだけ知りつくしているかの




 この2週間、あっちの世界に関する本を読んで基礎的なことは学習していた。


 今日はその理解度を試すため彼にテストをしていた。




 また、基本的なプロトスペルや剣術も特訓を受け最低限使っても倒れない術式と


 まともな戦い方を教わった、流石に一回帰らせてもらったが、まずホームパーティーの買い出しといきなり去ってしまった春果への説明のために……




 また、一番大変だったのが春果への説得だった。


 あの日後、始めて彼女と会った時。


 「何あれ、どういう事なの?」


 当然のことだった、彼女からすれば学校の屋上に変なドアが出現した揚句に、海輝がそこに入ってそのドアが消えてしまったのだから……




 (仕方ない、本当の事を話すか……) 


 海輝はごまかしは通じないと考え本当の事を話した、異世界の事を……


 すると






「はぁ?頭大丈夫?」








 信じていない様子、当り前ではあるが。


「まあ、そうだよな……」


 しかし彼が何度も説得すると、春果もそのそぶりから嘘ではないと察する。




「わかったわよ!つまりそのみんなの記憶から消えた望美って子を探しにい世界ってところに行くってことね……また行くんでしょ、死なないでね、それだけよ」




「え、それだけ?」


 てっきり止めると思っていた海輝はその答えに驚く。


「だって止めたって無駄でしょ、あんたそういうことになると見境なく突っ込んでいくタイプだから」




「わかった、その……本当にごめん」


「いいわ、いってらっしゃい!!」


 そして心配させたお詫びにケーキバイキングをおごり、彼女の大好きな大ヒット神ゲーの五八(仮)をプレゼントとして渡すことで何とか許してもらったのである。




「じゃ、食事でもするか……」




 そう、彼の勉強が終わった後、宮殿のイレーナ、景の2人の部屋を使ってホームパーティーをする約束となっていた。




 広希が昼食の準備に取り掛かろうとしたその時。






「そういえば、大事なこと聞いていないんだけど」


 海輝が3人に聞いてみる




「何だ?」


 広希が言葉を返す。




「俺のテーマって何?」


 海輝が気になっていたこと、それが自分のテーマだった、あの威力の強い大技


 自分のテーマがどんなものなのか、それが分からなかったので聞いてみたが




 広希はすぐに言い返す。


「わからん、あれだけじゃ」




「え?」


 思わずきょとんとした表情になる海輝。




「普通、テーマってのは術式を覚えていく段階で徐々に自覚していくことが多い、たとえば物を凍らせる力を持っている人が実は氷ではなく温度に干渉する力だったり、物を浮かす力の持ち主が実は重力に干渉力だったりってこともある、あれだけじゃ、魔術に関する力だとは思うが、それ以外はまだ良くわからん」




 広希の説明に納得する海輝。


「それに魔術は使えてもテーマの力が開花せずそのままって人のほうが多数なんだ、テーマが使えるようになるには強い精神力や魔力がいる、まずは自分の魔術を強くしないことには始まらない」




「わかった」


 うなずく海輝。




「あのぅ……広君」


 いつもとは違う、上目使い、そしておねだりをする表情。


 その珍しいその表情に少し顔を真っ赤にして答える広希。




「何?」


「その……TKGは?」




「ああ──あれか」




 彼女は欲していた、前回こっちに来た時、朝食べたあれ。


 その時の彼女の驚きを思い出し、察する景。


「ああ、卵かけごはんね」




「私、我慢できない!!もちろんあのタレも!!」




 顔を真っ赤にして欲しそうにおねだりをする、普段の彼女から想像できないような表情。


 それを知らない海輝。


「どういう事なの?」




 景が説明し出す。


「以前彼女、こっちに来たんだよ、その時に朝食べた(T)卵(K)かけ(G)ごはんにハマっちゃったみたいでさ、それも高知で買ってきたあのうどんや「ぬろりや」のたれを使ったね」




「あ、ぬろりやってのは土佐にあるうどん屋のことね」




 そこに現れる広希。


「これだろ、持ってきたぞ」




「ぁぁぁ……」


 ぬろりやのたれ、それを見てまるで宝物を発見したような至高の表情を見せるイレーナ。


「この世の天国のような風景が今ここに」


 至高の表情。


「でも今お昼ご飯でしょ、他におかずは?」


 景が答える


「それは海君に頼んだはず」




 彼がかばんから持ち出す。


「これ、どうだ?北海道に行ったとき買ってきたんだけど」


 彼が買ってきたもの、それは


「なになに?ブロッコリーさんのスープカレー?」




 そう、以前北海道で買ってきた時の土産だった




「これに野菜なんかを入れればいいんじゃないか?」


 海輝が提案し出す




「スープカレーねぇ」


 すると景がそっぽを向いて微妙な表情をしだす


「カレー嫌いか?」


 それに気付いた海輝。




「まずくはないんだけどさー、私としてはやっぱ下にご飯が欲しいんだよ」




 景、必死の説明、どこか落ち込んだ表情。


「カレーライスが好きなんだよ私は……」


「そういうのわかる」


 同調する広希。


「でも、卵かけごはんがあるんだしちょうどいいや、作ろう」




 持ってきた野菜(キノコ、ナス、ブロッコリー)をフライパンに並べ、炒める。




 広希、少し時間を置いてフライパンを手に取る


「あっつい!!!」


 慌てて手を離す。




「当り前だよ、このフライパン、鍋の部分と直接つながってるんだって」


「あ、ほら、鍋つかみ」


 ひょいっ


「ありがと」


 広希は慌てて鍋つかみを手に装備する。




 フライパンを返そうとする。




 カンカン




 うまく返せない。




 広希のそのしぐさを見て3人は確信する。




「お前料理やってないだろ」


 突っ込む海輝。




「やったことあるよ」


 即座に反論する。普段の表情を崩さない彼が珍しく顔を真っ赤にして…


 やったことある動きじゃねえよ。


「これは手首を使うんだ」




 海輝、フライパンを手に取る。


 スッスッ


 手首のスナップを利かせて何事もなかったようにフライパンを返す。




「え、お前料理できるの?」


 広希が言い返す。


「いや、このくらい出来るよ、やっぱ料理作ってないでしょ」


 海輝が反論する。




 イレーナも口をはさむ。


「私もフライパンをこっちの世界で手に入れてあっちの世界で料理した身だから言います」




 ドヤ顔になり宣言する。


「やっぱり料理したことありませんね!!」






「ないよ」


「ふーん」


 海輝、景の見下すような眼。


 景が質問する。


「女の子と料理とかする時どうすんの?」


 ちらっ


 一瞬イレーナを見る広希、今までにないくらい赤面しながら説明する。


「俺は、どちらかというと作って欲しい派なんだよ、こう、俺は部屋で仕事をして、出来たよって言って、部屋から出てきて、一緒に食べる感じで……そうだろ、海輝?」




 とっさに話を振られて困惑する海輝。


「俺は、一緒に作りたい、買い物する時も、この具材がいいかな、とか会話をするのが楽しいんじゃないかなって思ったりしてる」


 同調するイレーナ


「ああ、それいいですよね、そういうの楽しそう」


「そう、共同作品だよ」




 さらに同調する景。




 しばらくして料理が完成する。


「これは、おいしそうだ」




「いただきます」




 4人が作った料理、卵かけごはんとスープカレーを食べ始める。


「TKGおいしい!!タレもやっぱりこれですよね!!」


 卵かけごはんと口にしたイレーナ、満面の笑みを見せる。


「スープカレー、意外とおいしい、具材とうまくマッチしてるし」




「おいしい、でもやっぱりライス、ご飯」


 景、卵かけごはんの卵がかかってない部分をスープカレーに入れる。


 それを見た海輝。


「別に、いいけどさ」


「あらかじめ卵がかかってない部分を作っていたんだよ」




 海輝の言葉。


「そんなにご飯がないとだめなの?」


「おいしいよ、おいしいけどさ、やっぱり私はご飯がないとだめなんだよ……」




 そして4人は食事の集中し始める。


「広君、広君」


 イレーナが話しかける。




「何?」


「次はどうするの?」




広希は答え始める


「あ、それは明日エマナから通達があるはずだ……そこからだな」

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