タッグバトル

「捕まえろ、内乱罪だ」


「あ、はい」


 広希の声にイレーナがロープを取り出し、主人の体と両腕を縛る。




 ロープで縛った2人を外に出す。


「まさかこんなことになっていたとは」




「は、はい、これが彼らの侵略の手口なんですね……」


 まさかこの街に敵に味方する者がいたとは、イレーナはそんなことを考えながら驚きを隠せずにいる。


「これから、どうしますか?」


 自信満々に広希が言葉を返す


「次の手は、考えてある」




「ほう、何ですと?」


 景が質問する。




「俺とイレーナはこのことを他の兵士や指揮官にも伝えてそれからさらに他の家も家宅捜索」


「それと、景、海輝、話がある、この二人を軍の本部に持って行け、そしたら頼みがある」




 彼が作戦を説明する。


「んんん、また彼の介護をすればいいのね……」


 景、作戦を聞きどこか複雑な表情。


「まあ、これも必要なんだ、いま一方的に防戦状態だからな。これが出来るのはお前しかない、そうだろ?」


 しばし時間が流れる。


「─わかったよ、やるよ」






 海輝と景、約束通り敵が侵入している門の近くの城壁の上へ




「とりあえず着いたよー」


 敵に見つからないよう、うまく城壁に身を隠す。


「出来るだけ敵から見えないようにね」


「じゃあ後ろに下がるから」




 景、作戦遂行のために後ろへ下がっていく。


「わかった」


 それに答える海輝、心の準備を整える。




(まだ来て半日だから仕方ないけど、こんな形でしか役に立ててないな…)


 そう思いながらマジカルデバイスをつかむ。


「もういいよー、早くあれを打ってよ!!」


 遠くの後方から景の叫び声。




(またあれを打つのか……)


 握りこぶしで覚悟を決める。そして


「わかった、今から打つ、しっかり援護してくれ!!」


 景に向かって叫ぶ、確認の声


「わかったー」


 それに対する答え、その言葉に覚悟を決める。




 大いなる創星の力、ここに示し大いなる世界の王の力・解き放て


 ヘルヴィム・シューティングブライト・創天のスターリウス






 門の外、そこに敵兵は集中している、1人でも多く街の中へ侵入させるために。


 だから広希は説明した、そこに術式を打てばいいと




 ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン




 彼の放つ術式が爆発する。爆発音とともに悲鳴がこだまする。


 やはり吹き飛ぶ彼の体。着地寸前、彼の体を抑える景。


「おかえり」


「ただいま」


 会話を交わす2人。


「任務完了、かな?」




 うっと




「肩、貸してくれ」


 1人で立ち上がれず、助けを求める。


「あいよ」


 肩を貸し、2人は立ち上がる。




 よろよろと歩きだし、宮殿へ帰って行った。




 一方イレーナと広希


 戦いの最前線にいた。


 戦いによって半壊した建物も出てきている中、住民は避難し激戦が繰り広げられていた。




 広希が話しかける。


「じゃあ、行くか」


 それに答えるイレーナ


「はい」


 2人がデバイスを手に持つ、そして




 時空を超える力、秘めたる魂覚醒し舞いあがれ!!


 アストログラフ・ソウル・スターライト・ランス




 集いし願い、新たなる希望の力集い、無限の力解き放て!!


 荘厳のカイパーベルト・オブ・バハムート・ソード




 2人が武器を手に持つ。


 そして敵に立ち向かっていく。




 時空を束ねる力、光となりてその強さ、躍動せよ


 マッサリア・マーズ・エクスプレス




 イレーナが唱える詠唱、その詠唱に槍が答えて攻撃が炸裂する。




 次々に敵を倒していく。


「そっちはどうだ?」


 イレーナに話しかける。


「片付きそうですよ、そっちはどうですか」


 問い返す。


「大丈夫だ?」




 確認のため辺りを見回す。周りには倒していった兵士の姿。


「だいぶ片付いたな、別の所へ行くか?」


「あ、はい」


 2人が敵を一掃し、次の場所に移ろうとしたその時。




「 果 た し て 、 そ う 思 う か ? 」 




 2人の背後から誰かの声、瞬時に後ろを振り向く。


「だれだ?」


「さっきから君たち二人の剣さばきを見ていた、素晴らしい」


「何の用だ?」


 手に持っている銃を2人に向ける。




 褐色の肌、黒髪、長身の美人。


「別に、ただ貴様らは敵だというだけだ、仕事上のな?」




 イレーナが思い出す。


「噂では聞いています、銃使いの傭兵、ジェルジンスキーと名乗っているそうですね」


「高い作戦成功率を誇り、並の傭兵相手なら15人ほどなら同時に相手をしても圧倒できる実力を持つという……」




「私たちの情報網をなめるな、お前らの目的が我らと相対することくらい理解している」




「私一人ではない」




 フッ


 2人の背後から何かが聞こえる。間髪をいれずに後ろを振り向く。


 時間は朝焼け、この世界の太陽に当たる恒星グリーゼをバックに誰かが向かってくる。




 ギターの音色を響かせながら




「なんだ?あれは……」


 それを見た広希、思い出す。


「北部に遠征した時噂では聞いていた、戦場でギターを弾きながら選ばれし強者の前に現れるという人物」




 そしてその人物がしゃべり出す


「強者が俺を呼んでいる、まるで宙に浮かんだ水が下に落下するがごとく」




「人は我が強さに屈し、こう呼ぶ」




「シャルルと……」




 広希が何か思い出したように話しだす


「シャルル、ジェルジンスキー、確かバンデイラスという組織の1員だったな」




「皆が恐れる強者、人々は我を……シャルルと呼ぶ!!」


 シャルルは背は海輝くらい、ボーイッシュな印象で髪型だけみると男の子みたいだった。


 しかしスタイルは良く服装は胸元が見える服を着ておりすぐに女の子だとわかった。




 バンデイラス、その組織の名にイレーナも思い出す。


「バンデイラス、聞いたことある」




 広希が2人に提案する。


「能書きは結構だ、2対2で戦って立ち上がれなくなったほうが負けだ、行こう!!」




 同調するジェルジンスキー。


「話が早い、どの道そうするつもりだったからな」




 4人が構える。


 スッ


 そして立ち向かっていく

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