ビレイラ3番街
「わ、わかった」
それに驚く海輝。
その時、以前聞いたような声が聞こえる。
「誰だ?今の術式は?」
「お帰り広君、何でここってわかったの?」
「って広希?何でここに?」
海輝が思わず口に出す、森垣広希、海輝のクラスメイトで成績もよく誰からも好かれるタイプに人物だった。
海輝のほうを向く、そして尋ねる。
「あの術を使ったのか?」
あの術が何なのか、直感的に理解する海輝。
「ああ……」
彼のほうを見る、何か悪いことをしたような表情で
「何故許可した?」
イレーナの方向を向く。
そしてイレーナは彼がどうしてこの世界に来たのか、その目的を説明した。
「望美の手紙でここに来たってことか……」
彼はそう囁く
「いいよ、俺もそいつを追っている、簡単に言う」
「この世界は破滅の危機を迎えている、そこに望美がかかわっている」
海輝はその言葉に驚愕する
「はっきり言って命懸けだ、死ぬことも十分に考えられる、」
命懸け
一瞬戸惑いを見せる海輝、でも、
(ここで逃げ出したら本当のダメ人間だ……)
(俺は、ここで戦う!!)
そして決意する。
「こっちこそ、一緒に戦わせてくれ!!」
疲弊しきった体で、力いっぱい叫び彼は宣言した
そして次の日、海輝達は宮殿の目の前に立っていた
この宮殿を見て真っ先に抱いた感想、大きい、あちらこちらに金や銀が見せつけるように張り付けてあって豪華そうだった。
イレーナが説明し始める。
「これがこの国の政府、その中心の建物の、聖ミルチェア=アストラ宮殿です」
「これが……」
顔をあげ、その宮殿をまじまじと見る。
その豪華さに彼は驚いた。
周囲には壮大な造園が広がっている。
その中央には薄い黄色で出来たレンガの城壁に壮麗な印象を持つ宮殿がそびえていた。
もし現代に会ったら間違いなく文化遺産になっていただろう。
そして彼らは宮殿の中に入る。
「おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ」
使用人と思われるメイドの服を着た人たちが彼らに頭を下げ、挨拶をしていく。
中も豪華にできていて豪華絢爛なまるで貴族の城のような印象だった
そして10分ほど歩くと──
「この奥にこの国の王子と皇帝がいる、お前の表彰もあるからあいさつ、よろしくな」
広希のその言葉に海輝は緊張し、生唾を飲んだ。
キィィィィィィィィ
イレーナがその両開きの豪華なドアを押して開ける。
ドアを開け、そこに入ると……
そこには二人の男女がいた
「まず、この国の王族ラングーラム家の後継ぎの息子、エマナ・ラングーラムだ」
広希が紹介する
「あなたが新入りですね、名前は?」
王子にしては軽いラフな服装をしていて髪は茶色、背は広希より少し小さいくらい。
王国の後継ぎ息子、その肩書に驚く。
「洋泉海輝です」
「それが君の名前か、よろしく」
「聞いたよ、魔獣を一撃で仕留めたんだってね」
「わかった、だったら広希君と行動するのがいいよ、後これ」
スッ
そう言って彼は海輝に勲章を渡す
「あ、ありがとうございます……」
そしてもう一人は
「景!何でいるんだよ!」
肩までかかった青い髪で小柄な体型の女の子で海輝のクラスメイトの安川景だった
「ああ、私は広君と行動していて顔を合わせるように広君から言われたからだよ~」
聞いてみると景はいつも広希と行動していたらしい……
夕方
北部、ビレイラ3番街
中央公園
先ほどのランクが高いそうな人がいた場所とは異なり、庶民的で一般層の人がたくさん歩いていた。
出店なんかが建ち並んでいてそこには目がぎらついた商人らしき人がちらほらいて賑やかな印象をしていた。
そのなかに海輝は立っていた、そしてここで待ち合わせしていた人物が現れる。
「海君、待った?」
「イレーナさん、ってその両手!!」
イレーナの呼びかけに反応する海輝、両手にはパフェが握ってあった。
「イレーナって読んでください、さんはりませんから」
「ここのパフェおいしいんです、一緒に食べませんか?」
そう言うと海輝はイレーナの右手にあったパフェを受け取る。
公園のベンチに2人は座る。
そのパフェは生地の上に生クリームが山のように乗っかっており、クリームには3センチほどに刻んであるキウイとアップルがいくつか置いてあった。
「うん、いつ食べてもおいしい~」
そう喜びながらイレーナは食べる、一方海輝も。
(うん、おいしい!!)
異世界に来て疲れを見せていた彼はそのパフェをすぐにたいらげた。
食べ終わるとイレーナが話し始める。
「ここに来てもらったのは、望美さんの事です……」
「えっ」
その言葉に海輝は表情が真剣になる。
そして一冊の本を出し始める。
そこには色々な内容が記述してあった。
「彼女は私も追っています、今はすべてを理解する必要はありません、ここを見てもらえますか?」
「彼女と精霊がかかわっている……」
そこにはそう記してあった
「恐らく、精霊がかかわっているんだと思います、少し前に出会ったことはあります、気配でわかりました、彼女には精霊がいるんだって」
「精霊とは、この世界を作った創造主の力が宿っている守り神のようなものです」
「精霊には膨大なる魔力があります、その力があればおそらく時間軸に影響させるくらいの事は出来ます、海君の意見をまとめるとそれが一番可能性が高いと思います」
「それに彼女の記憶があっちの世界の人の記憶から消えていた……これはただの人間になんて出来ません、この世界で何かが起こっているんです、精霊が動いているような何かが……」
「だから、一緒に行動しましょう!!私たちも目的は一緒なんで!!」
その言葉に海輝は決める
「わかった、一緒に行動させてくれ」
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