扉の先の異世界
「俺はお前を忘れはしない、世界中の誰もが忘れても……」
そして彼は、ドアを空ける。
キィィィ
──ドアが開く。
彼の視界は真っ白──
ドアの向こうの世界
そして視界が開ける
その姿に目を見開かせ、彼は言葉を失う。
灰色の空、建物のようなものは抹茶色でどこか不自然に曲がっている。
不気味、怖い、そんな感情が彼の頭の中を覆い尽くしていた。
裏路地のようなところにいるのだと彼は察し恐る恐る歩く。
5メートルほど先に大通りがある、行ってみる。
すると
「うわああああああああああああああああああああ」
彼が脊髄反射的に叫ぶ
彼の視界に入る者、それは見たこともない灰色と紫のエイリアンのような外見をした生き物だった。
「Ինչ է, այդ մարդը?」
その生物は聞いたこともない言語で彼に話しかけてくる。
「そうだった…この世界の言葉、しらねーよ俺!!!」
彼はとっさに叫ぶ
それに彼が自分の服を見てみる、すると。
(何でこんな服着てるんだ、さっきまで制服だったはずなのに……)
自分の服も見たことのないような白い服、針金で固めたようなマント
周りが彼を一斉に見る、指のようなものを差して、そして語りかけてくる。
「Այն հագուստ երբեք չեմ տեսել, Մի ցանկացած երկրում կամ ծագման?」
「Չեք ուզում, ավելի լավ է զանգահարել այդ երեխային: Քույր տիեզերական անգամ?」
「うわあああああああああ」
聞いたことない言葉に彼は恐怖し叫び声を上げながら逃げ出した。
逃げるあてなんかないのはすでに彼の思考から消えていた
海輝は1分くらいたって振り向く。
「Որտեղ եք գալիս. Այն գտնվում է դրսից.」
話しかけてくる周りの声、わからない言葉、彼の心は恐怖で埋め尽くされていた。
「Այն է, որ մյուս կողմում ծովը.」
すると二つの黒い生物が指をさして生物がこっちを見て追いかけてくる。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
彼は慌てて逃げる。
気付いたら裏路地に逃げていた
そしてそこを左に曲がる。
「うそ……」
そこはまさかの行き止まりだった。
彼は後ろを振り向く。
「Ես եղել եմ այնտեղ:」
「Այնպես որ, շնորհակալություն」
その生物がこっちへ迫ってくる、海輝には逃げようがなかった。
「Այժմ ես պիտի տամ քեզ ավելի հեշտ է」
その生物は白色をしていて、白い物体が彼の頭をつかむ。
「Այժմ դուք կարող է ճանաչել լեզուն」
謎の呪文。
言葉は理解できない。
(え?)
しかし彼は感じていた
今までとは違う、何か温かい感覚がすると……
──そして体が光り出す。
そして、彼女は言い放つ
「 も う 、 大 丈 夫 で す よ ……」
「え?」
それもそうだった、今までよくわからない言葉しかわからないのに急に日本語が聞こえたのだから
そして彼が顔を上げる。
頭を抱きかかえていたのは白い髪の少女だった。
周りを見る、確かに俺達の世界とは見た目違うが周りには昔にありそうな建物が並んでいた。
肩くらいまでのセミロングで白い髪、背は俺より少し高いくらいでスタイルもいい。
正直、一瞬ドキッとした。
隣には少し小さい背で前髪で目を隠している人見知りそうな子
「始めまして、私がイレーナと申します、隣にいるのがサラです」
「とりあえず、落ち着きのある場所で話しましょう」
そう言ってイレーナは海輝を連れて歩き始める
そこは灰色の大理石のような石で規則的に舗装されていてその道が高級感を醸し出していた、歩いている人々も純白のワンピースや黒いスーツ姿など、この国ではクラスの高い人なんだろうという事を彼は感じた。
建物も高級そうな建物だった。
その中を歩いてしばらくすると先頭を歩いていたイレーナが立ち止まる。
「ここです、入ってみましょう」
中は喫茶店という感じで小奇麗な内装でバーが存在し棚にはワインの瓶が並ぶようにそろっていた、客は5人くらいでこの時間は好いている様子、3人は窓側の4人席を選び席についた。
「私のお気に入りの喫茶店なんです、よかったらごちそうしますよ」
「ありがとうございます、じゃあどうしようか……」
イレーナの頬笑みにドキッとする海輝。
「じゃあ、このパンにハーブティーをお願いできますか?」
「わたし、アイスティー」
「わかりました」
そして彼女が2人の注文を聞いて店長にメニューを頼む、頼む物、イレーナがココア、放課後から何も食べていないので小腹がすいていた海輝がパンとスープとハーブティー、サラがアイスティー
すると店長の小太りしたおばちゃんが申し訳なさそうに両手を口元で合わせながらしゃべり出す
「ごめんね、イレーナちゃん、いまハーブが届かないの、そのほかなら出せるんだけどいいかな?」
海輝が答える
「ああ、すいません、じゃあ紅茶でお願いします」
「それならわかるわ、わかったわかった」
店長はそう言って調理を始めた
「この世界へようこそ、怖かったでしょう……私と話せるまで」
「認識できないんですよ。ふつうは……」
イレーナの言葉に彼は驚く。
「え?」
「最初、この世界に来た時、私たちの姿と言葉、認識できなかったでしょう」
イレーナが彼を見て問いかける。
「確かにそうだった」
彼が確認する、何の言葉かわからなかった、おまけに周りは人間じゃないような生き物にしか見えなかった……
「まず、姿に関しては脳が拒絶反応しているみたいなんです」
イレーナが上を向いて右手の人差し指を自身のほっぺに当てながら説明し出す。
「何で?」
聞き返す海輝。
「わかりません。調査中です」
「言語は?」
さっきは通じなかった言葉が今は普通に通じている。何でそうなのか聞いてみたところ
「それがイレーナの力なの」
腕を組み始めながらサラが答える。
「え?」
「わたし、異なる言語や世界をつなぐことができるんです」
イレーナが説明する、その言葉に驚く。
「どういう事なの?」
サラが解説し始める。
「色々な次元の生物たちをつなぐのに必要な術式や能力を持っていて、こう呼ばれているんだ」
「時空のお姉さんって周りからは言われています」
「変なあだ名ですね、私の術式で私たちの世界の言葉や声、姿があなた達の世界の住人に認識できるようにしているんです」
「そういう力が、私にはつていたんです」
そして3人に飲み物と料理が出される、アイスティー、ココア、ハーブティー、そしてライムギでできたパンに野菜とラムの入ったジャガイモのポタージュが出された。
「いただきます」
海輝が料理を口にする、すると……
「おいしい」
思わずその言葉が口に出る、パンにはバターが練り込んでいて味も香りも豊かだった、ポタージュもそれぞれの具材の味とスープの味が絡み合っていた、
紅茶はややオレンジ色で少し渋みがありコクも香りも程良かった。
そして3人が食事を終えると海輝が話しだす
「そう言えば、天北望美って人を知ってる?」
そう、彼は彼女の手紙に導かれてここに来た、そしてこの世界に来たのだった
するとイレーナは複雑そうな顔をし始める
「それは、少ししてからにしてください、一気に教えても理解しずらいでしょうし……必ず説明はしますから──」
「わ、わかった」
渋々彼は納得する。
「まずは、これです」
スッ
サラが自分のカバンから透き通っていて紫色になっている手のひらサイズの水晶を取り出す
「それは?」
海輝の質問にサラが答える
「魔力の測定器みたいなものです、海輝さんの魔力を図りたいから……」
スッ
そう言うとサラはその水晶を海輝に渡す
「両手で握ったまま水晶に念じてください、心の底から力を出すように、なんなら強い思いを込めるといいと思います」
イレーナがそう発言すると海輝はその通り水晶を握る、そして思いを込め始める
(強い想い、念じる……だったら望美、早くお前を救いたい、助けたい!!!)
そして彼は心の中でそれを念じ始める、すると──
ガッシャャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン
なんと水晶が割れてしまう──
「す、す、すいません!!」
慌てて謝りながら割れた水晶をイレーナ、サラと一緒に拾う
5分ほどで割れた水晶の破片を3人は拾い終える
「素晴らしいです、初めてみました!!」
イレーナによると強い魔力の持ち主が精いっぱい力を込めるとそういった事があるとのこと、よほど強い魔力がある持ち主で無いと起こらないらしい……
「俺が、強い魔力を?」
その言葉に照れる海輝。
「うんそう、ちょっと見てみるね」
そうサラがしゃべるといきなり彼女の両手に本が現れる。
「あ、サラちゃんの力です、他人の力を本に記す力です」
「海君の能力は──と、え?」
本の内容を読んでみる、その内容に思わず驚きの声が出る
イレーナも本を見る。
「す、すごい、これなら……」
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