死生観

宰田ルミ

死生観

死にたいわけじゃない、でも生きていたくもない


そんなことを漠然と考えるようになったのは大学受験に失敗し、そこから親のすねをかじりながら生活し始めた時だ


私が高校を卒業した時点で父はもう還暦を超えていて、いつまでもこの生活が出来るわけじゃないと思いながらもずるずるときてしまった


私は人を好きにならないアセクシャルであり、このままいけば孤独まっしぐらだ


よほどのことがない限り親のほうが先に死ぬ


両親が死んだらどう生きればいいのかわからない


自分だけを養う気力もなければ、誰かに頼れる人脈もなく、だったら今のうちに死んだほうが楽なのでは?


自殺は怖い、痛いのも苦しいのも嫌だ


不幸な事故や災害で亡くなった人たちをニュースで見るたび、羨ましいと感じる自分がいる


自分ではどうにもならない理由で死ねたら


そんなことを考えてしまう自分は嫌いだ

好きになったこともないが


生きたいと願う人たちに命を差し出せるならそうしたい


毒にも薬にもならない私という人間は、今日も日本の何処かで生きている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死生観 宰田ルミ @chuukiti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る