僕の仕事はダンジョン配信アシスタント?
山田みかん
第1話 変わらない日常
『ダンジョン』というゲームや小説の中でしか存在しなかった物が、現実世界に現れてから─────早、三十年。
当初の人々は驚愕し、それは世界がひっくり返るほどの大事件だった。
地球に現れた未知なるダンジョンに世界の人々は恐れ、恐怖を抱いた。
────が、それも今は昔の話。
ダンジョン内には見たこともないモンスターで溢れ、世界最先端の武器や、既存の銃火器などは全く何の役に立たなかった。
しかし人の興味は知らない世界に夢中になり、一般人のダンジョンへの侵入を防ぐ事は出来なかった。
そこはゲームや本の中の物語のように剣と魔法で殴り合う世界であり、犠牲者の数も無視できないほど膨れ上がったが、その犠牲と引き替えに様々な資源が手に入る事が知られ、さらに開発され新しい技術が誕生する。
─────慣れというものは怖いもので、恐怖の対象は今や娯楽の対象だ。
そしてダンジョン冒険者という、新しい職業も確立された。
さらにダンジョン探索用に開発されたカメラ付きドローンを使い、ダンジョン攻略をする姿をライブ配信する配信者なる者が世界中で流行り始め、人気の配信者は並みの有名人より認知度が高かった。
世界各地で現れたダンジョンには、国ごとに独特のルールが存在した。
なかでも独特過ぎると世界中から揶揄されたのは、日本に現れたダンジョンであった。
基本「善人」「入れる場所が限定される」と噂される「日本ダンジョン」。
世界規模で見れば「地味」と言われ、映えない、取れ高がないと言われる─────が。
「みんな──!みってる~?」
「いっくよ─────!」
「応援してね~♡」
:待ってた!
:今日もかわいい
:リアタイ初
:おめ
他国とは違う道のりを歩んだ日本産ダンジョンは、ガラパゴスと揶揄されながらも「そういうもの」として独自の道を突き進み、探索者ラッシュの熱も冷めた頃。
日本のダンジョンは「善い子しか入れない。お天道様が見ている」と学校で子供達に教えるまでに至る。
さらに、ガラパゴスと言われるゆえんが
:新衣装いい
:お布施だ飛ばせ飛ばせ
:絵の何が良いんだか
:ウッザッ
:ふ、わかんないかwww
:草w
:汚ねぇおっさんより、かわエエ子のほうがええやろ
:いえる www
某国のダンジョン配信者を暗に指して、およその国では抜群の人気だろうがこの国は違う。
あちらの国では「俺達ヒーロー」「ツエえだろ!」「筋肉最高!」で視聴率爆上がりだろうが、この国では「むさい」「おっさんきえろ」「きたねぇんだよ」で終わってしまう。
どちらが良いのかは、好みの問題。─────永遠に結論のでないテーマである。
ようは「いやならこっち見んな」である。
僕の仕事はダンジョン配信アシスタント? 山田みかん @mican0329
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。僕の仕事はダンジョン配信アシスタント?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。