第2話
4月の初め放課後、 友人と呼べるような相手など なく、周りのクラスメイトはもうグループ化して いて僕の入る隙などなく、 あぁまたこうなっちゃ ったかと諦めを零して帰宅しようと靴箱まで来た 時、女の子の声が聞こえた。 ここ、男子校なの に。
「あの、すみませんカサキ?って人知りませんか? この学校にいるって聞いて来たんですけど...」
久しぶりに聞いた名前で頭が一瞬止まった。
だってその名前は数年前までゲーム内で使ってた ハンドルネームだったから。
「い、いや聞いたことないなカサキなんて名前。」
気づいたら勝手に口がそう返事をしていた。
本能的だったのかもしれない。
今ここで、肯定したらまずいと。
「そう、ですか......」
女の子は悲しい顔をして下を向いてしまった。
何か言っているような気もするが声が小さく、よ く聞き取れなかった。
「それより君、ここ男子校なんだけど…なんで君 みたいな子がここにいるの? 見つかったらまずい と思うからはやく帰りなよ。この事は内緒にする からさ。」
はやく、僕の前から居なくなってくれ。
初めてあったはずなのに、こいつはそんな気が しない... 吐き気がしてくる。
それに今ならまだランキングイベントに間に合うんだからさ、さっさと消えるかそこどけよ。 「そ、そうですね! すみません、私ったら。 最近近くに引越してきたんですけど一刻も早くここに来たくて...」
ここ男子校なのに???
本日2回目。
「は、はぁ。」
そこまであいたい想い人でもこの学校に居るのだ ろうか、まぁ恋愛なんて意味の無い行為をなんで するのか僕には甚だ疑問でしかないけど。
「また、来ます。 あ、お兄さん。お名前なんて言 うんですか? 次来る時に案内役にでもしてもらお うかと思うんで教えてください。」
今なんつった??こいつ、舐め腐ってんだろ。
怒りしかわいてこない。
「川崎雅人だよ。」
だけどここで怒っても引き伸ばすことになるだけ だから抑えて名前を教えた。
「へぇ...ありがとうございます! それじゃ、 また 来ますね。 川崎雅人さん。」
そう言ってそいつは僕の前からようやくいなくな
った。
「川崎雅人ね。 覚えた...」
あの反応は... 当たりだ。
ダメ元で来たから手当り次第話しかけてみようと
思ってたけど一人目で当たりを引くなんて運がい
い。
復讐を誓った女は艶かしい顔で笑う。
いや、お姉ちゃんが導いてくれてるのかも。
アイツを...殺せって。
彼女にはそれ以外、 見えない。
はぁ...ねぇお姉ちゃん、 待っててね。
もうすぐアイツを殺して、 私、 お姉ちゃんのとこ
ろにいくからね。
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