第28話 映画タイタニックとセリーヌ・ディオン

 今回は名作映画タイタニックを取り上げます。(ネタバレ注意)


 実際にあった客船沈没事故をベースにしており、男女の関係(特に男として)について考えさせられる名作です。また、セリーヌ・ディオンが病気にかかっていたことを今日知りました。彼女の復帰についての感動もありましたので取り上げました。

 ※セリーヌ・ディオンの件は一番最後に記載しています。


 タイタニック (1997年の映画)

 監督/脚本/製作 ジェームズ・キャメロン

 出演者 レオナルド・ディカプリオ、 ケイト・ウィンスレット

 主題歌 「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」セリーヌ・ディオン

 https://kakuyomu.jp/users/misugi2023/news/16818093080571296023


 概要

 1912年の処女航海中に氷山に衝突し、当時世界最悪の犠牲者を出したタイタニック号沈没事故をモデルに、地位も境遇も異なる一組の男女のラブストーリーを描いた映画です。巨額の製作費を投じ、タイタニックの様子は完全再現に近い出来となっています。本作はアバターに次ぎ史上二位の興行収入を収め、多くの称賛を受けました。アカデミー賞は11部門を受賞しています。

 ジャックとローズが船首で空を飛ぶように手を伸ばすシーンは感動的です。

 セリーヌ・ディオンが歌う主題歌は心に沁み、大ヒットしました。

『アバター』でも有名なジェームズ・キャメロン監督ですが、本作は特撮も何もかもが恋愛という主題のために費やされた、『恋愛大作』と言えるでしょう。


<あらすじ>


●プロローグ

 1912年に当時最大級の豪華客船タイタニック号が沈没してから84年後の1996年の洋上から物語が始まります。あるトレジャーハンターが、深海に沈むタイタニックから『碧洋のハート』らしきダイヤを身に着けた若い女性の絵を見つけました。この絵のモデルは沈没事故から奇跡的に生還し長い間生きてきた老女でした。

 その老女は調査船で、豪華客船で起こった知られざる話を静かに語り始めます。


 回想という形で物語は進みますが、実際に体験しているように感じます。プロットというか脚本の構成が素晴らしく、さすが大監督という感じです。


●タイタニックの出港

 1912年、イギリスから豪華客船タイタニックはニューヨークへと向けた処女航海へと出発しました。アメリカの名家の一人娘ローズは、望んでいない婚約者キャルと母と共に、アメリカ行きのタイタニックへと乗船します。一方で、画家を目指す貧しい青年のジャック・ドーソンは、賭けポーカーで『三等船室の乗船チケット』を手に入れ駆け込みで乗船します。

 デッキでジャックは、ローズの美しさに目を奪われます。ある夜、自らの不遇な運命に耐えきれなくなったローズは、夜の海に身投げしようとしたところをジャックに助けられます。芸術嗜好のローズはジャックが画家志望であることを知り意気投合します。お礼にとローズが招待した夕食の席で、キャルや母親は庶民のジャックに偏見を抱きますが、ジャックは物ともせず、「人生は贈り物だ」と自分の人生観を語ります。夕食後、ジャックはローズを三等客たちの賑やかなパーティーに連れて行き、2人は楽しいひと時を過ごします。ジャックとローズは身分や境遇をも越えて、互いに惹かれ合うようになり、貨物区画に積みこまれた自動車の中で一夜を共にします。


 ある意味、この前半が最高のシーンの連続かもしれません。少なくとも画家ジャックの人生の一瞬の輝きがここに凝縮されています。一人の女性を助け、愛し、描き、死んでいく。ジャックには不運ですが悔いの無い人生だったと思います。


●タイタニックの沈没

 しかし、航海から4日後の真夜中、タイタニックの針路に巨大な氷山が現れます。タイタニックは緊急回避を試みたものの氷山は船腹に衝突してしまいます。浸水が進み、徐々に船体が傾き始めたことから、タイタニックは沈没することが避けられなくなります。逃げ惑う者、なおも普段通りに過ごそうとする者、家族を助けようとする者、懸命に乗客を避難させようとする船員たち、絶望する客たちを集め、赦しと祝福を与え励ます神父、乗客を落ち着かせようと演奏を続ける楽師たち……。様々な人々が入り乱れます。

 そんな中、『碧洋のハート』をポケットに入れられたジャックが、窃盗の疑いをかけられて警備室に手錠で繋がれてしまい、浸水が迫る中で脱出することができず絶体絶命に陥ります。救命ボートには女性と子供の搭乗が優先されますが、ローズは取り残されたジャックを探そうと船に残り、ジャックを間一髪で助け出します。


 ローズの献身的な動きがメインにはなりますが、他の客や船員達の素晴らしい最後の姿勢に目を見張ります。非常時にはどうせならこのような姿勢で犠牲になりたいと思いました。下の方、登場人物のところで具体的な事例をあげます。


●パニックの中での脱出劇

 タイタニックが沈み始めた中、救命ボートは乗客全員を救うには到底足らず、しかも一等船室の乗客を優先して乗せて離れていきます。大多数の乗客・乗員を残したまま、船は傾いて沈み始め、尾の端に逃げ延びていたジャックたちもタイタニックと共に海中へ落ちていきます。なんとか海面に浮上した2人でしたが、ジャックはローズを壊れたドア枠の上に乗せて力尽きてしまいます。

 ローズは悲しみにくれながらも、ジャックとの約束を守り生き残るべく、気力を振り絞って警笛を鳴らし、無事救命ボートに救われて一命をとりとめます。

 助けられたローズは、「ローズ・ドーソン」とジャックの姓を名乗り、生きていきます。その後、女優となり、カルバートという男性と結婚し、子供を二人産み育て、ジャックへの想いを心に秘めながら懸命にその後の人生を生き抜きました。


 ジャックくん。悲しいが、これも人生。


●エピローグ

 全てを語り終えた老女ローズは、隠し持っていた想い出の『碧洋のハート』を海に投げ入れます。その後は眠りにつき、タイタニック船内の時計がある大階段を白いウェディングドレスを着た若い頃のローズがジャックの元に行き、周りで亡くなった人物が祝福の拍手をしているシーンで終わります。


 夢で二人は結ばれるのですね。それとも天国でのシーンかな?


<登場人物>

●ジャック・ドーソン(演:レオナルド・ディカプリオ)

 本作の主人公。画家として成することを志し、世界中を旅する若者である。彼の画力はローズのお墨付きであり、金庫から発見されたローズのヌードデッサンはジャックが描いた物。経験豊富で人の心を見抜き、一等の社交界の客からも気に入られる器量があります。


 貧しい階級でありながら、絵を描く事で生業をたてようとするジャック。気持ちは上流階級に決して負けない、こんな男になりたいですね。 


●ローズ・デウィット・ブケイター(演:ケイト・ウィンスレット)

 本作のヒロイン。家が破産寸前のため母に言われるがままに政略結婚を強要され、自身にとってのタイタニック号は奴隷船同然でした。決められた人生に絶望する最中、船尾から飛び降り自殺を試みようとしたところを、真剣に止めてくれたジャックと出会い、次第に惹かれていきます。当時無名だったパブロ・ピカソやクロード・モネの才能を見抜く慧眼の持ち主であり、ジークムント・フロイトの研究を知っているなど博学です。タイタニック沈没後は女優となり、カルバートという男性と結婚し、子供を二人産み育て、ジャックへの想いを心に秘めながら懸命にその後の人生を生きました。


 絶望から救ってくれたジャックの最後の願いを聞いて立派に子供を育て上げるローズ。彼女もさすがです。最後に『碧洋のハート』をタイタニックと同様に沈めるローズ。海底に永遠に眠るジャックに届いたでしょうか?


●キャル:キャルドン・ホックリー(演:ビリー・ゼイン)

 ローズの婚約者。アメリカの鉄鋼王の御曹司。金や物で人を動かそうとします。ローズに歪んだ愛情を抱き、ローズを飾り物のように扱います。事故の後に他の女性と結婚し、親の多額の遺産を相続するも1929年の世界恐慌で破産して自殺してしまいます。

 ノーコメントです。演技は上手でした。


●マーガレット・“モリー”・ブラウン(演:キャシー・ベイツ)

 タイタニックの一等船客の1人で、新興成金。貧乏人であるジャックが上流階級のディナーに出席する際に、彼女は息子の礼服を貸し出したり食事のマナーを耳打ちしたりしてジャックを陰から支えます。タイタニック沈没の時に救命ボート上で救助のため引き返すよう主張した乗客は彼女だけでした。1996年のローズが彼女を「後に不沈のモリー・ブラウンと呼ばれる」と説明しています。


 この人が3人目の主役ですね。実在の人物と言う所がにくいです。

 私が女性なら、こういう女性になりたいですね。成金+優しい(笑)


●トーマス・アンドリューズ(演:ヴィクター・ガーバー)

 タイタニック号の設計主任。航海中も船の細かい所にまで注意しており氷山衝突後タイタニックの末路を誰よりも早く察知していた。定員に達しないうちに救命ボートを出してしまう乗組員を注意したり、乗客に脱出を促すなど、思いやりがあり、ローズが心を許している人物です。

 最後は、本事故を悔いながら通りかかったローズに自身の救命胴衣を渡し、船と運命を共にしました。

 

 エンジニアたるもの、かくあるべきでしょう。しかし氷山に当たるとは、なんという不運。


●ウィリアム・マードック

 タイタニック号の一等航海士。女性と子供を優先的に救命ボートに乗せて、最後まで誠実に乗客避難を行っていました。


 このあたりが日本人(男性)も見習うべきところですね。


●ジョセフ・ボックスホール

 タイタニック号の四等航海士。ボートを指揮しているシーンでは船が沈没する際に漕いでいる乗客に対してもっと早く漕ぐように叫びましだ。ボートを戻す提案をしたものの、乗っていた乗客に拒否されます。カルパチア号に救助され乗り移った時は船長に対して、多数の乗客が船とともに沈んで犠牲になったことを泣き叫んで訴えました。


 彼はよくやったと思います。陰のヒーローの一人ですね。


●ハロルド・ロウ

 タイタニック号の五等航海士。沈没後、他の救命ボートが乗客の救助を躊躇する中、14号ボートを率いて海に投げ出された乗員・乗客たちを救うために戻ったことにより、ローズの救助に繋がりました。


 やはり最初のペンギンじゃないですけど、誰かが踏み出す勇気が必要なんです。

事故でも事件でも。そしてそれは成人男性であるべき。


●ジョン・ジェイコブ・アスター4世

 一等船客で船内で一番の大富豪。不動産の売買で富を拡大させる。妻をボートに乗せた後、船内に残り最期を迎えます。


 これも見習いたいですね。私も老後はかくあるべき。


●ベンジャミン・グッゲンハイム

 鉱山業の実業家。沈没時「紳士たるもの死ぬ時も品格を失いたくない」と述べ、わざわざ夜会服に着替えブランデーを飲みながら、秘書とともに最期を迎えます。脱出する客室係に「自分が臆病であったが為に船に取り残される女性がいてはならない」と語っていました。


 やりすぎの感はあるが、さすが英国紳士といったところか。


●ウォレス・ハートリー

 タイタニックの楽師団のバンドマスター兼ヴァイオリニスト。タイタニック沈没時メンバーとともに乗客のパニックを抑えるために仲間とともに演奏を行います。作中では、船の沈没が加速化する中、沈没寸前まで賛美歌『主よ御許に近づかん』を演奏しました。


 これも良かった。音楽家の心意気ですね。それから映画は音楽が非常に重要な役割を果たしています。私的には映画の良し悪しの1/3は音楽だと感じます。


●イジドー・ストラウス

 一等船客の老夫婦の夫。当時世界最大の百貨店のメイシーズの経営者。沈没時救命ボートに妻だけを乗せようとしますが、妻は決して夫と離れないと覚悟を決めたことで、妻とともに客室ベッドで最期を迎えます。


 この妻はとても夫を愛していたんですね。

 ローズもそうですが女性の愛はとても深い。


●アイダ・ストラウス

 一等船客の老夫婦の婦人。沈没時救命ボートに夫が乗れないのを知り、夫とともに最期を迎えることを決めて、客室のベッドで夫に抱かれながら最期を迎えます。


 同上ですね。何人もいるんですね。


●フレデリック・フリート

 氷山を発見した見張り番。劇中では臭いで氷山がわかると豪語していましたが、ジャックとローズのキスに気を取られて氷山発見が遅れました。


 唯一、彼は笑えるけど笑えません。仕事をちゃんとしないと!


●ジョセフ・ベル

 機関長。部下の機関士や機関助士たちに指示を下す姿や、部下たちとともに最後まで脱出せずに電気を供給する姿が描かれました。


 こちらも作業者の鏡ですね。陰でこのような人達が我々を支えてくれていることを忘れてはいけませんね。


※ ある説では亡くなった男性は1339人、女性114人、子供56人だったと指摘し、男性が自己犠牲を払って愛の模範を示したとしています。同じく「女性、子供を優先的にボートに乗せるように」と言った男性達の英雄的なエピソードがあります。


 繰り返しになりますが、女性と子供がどれだけ大切かということです。



■■■■■ セリーヌ・ディオン ■■■■■


 歌手セリーヌ・ディオン(56)が、自身のドキュメンタリー上映会でスティッフパーソン症候群(SPS)である事を公表して以来初めてのレッドカーペットに登場しました。


 2022年に筋肉に影響を及ぼす神経障害のスティッフパーソン症候群と診断され、歌手活動休止を余儀なくされています。アマゾンプライム・ビデオの新作『アイ・アム セリーヌ・ディオン ~病との戦いの中で~』のニューヨーク・プレミアで、涙ながらに家族とファンに感謝の意を表しました。


 亡き夫ルネ・アンジェリルとの間に息子ルネ=シャルル(23)と双子のネルソンとエディ(13)を持つセリーヌは語りました。


 「もちろん、素晴らしい子供たちからの日々の愛とサポートがなければ、私はここにいません」

「ありがとう、ルネ=シャルル。ありがとう、ネルソン。ありがとう、エディ。本当にありがとう」


 ここ数年で最大の観衆を前にしたというセリーヌは、主治医のアマンダ・ピケ医師とドキュメンタリー映画監督のアイリーン・テイラー・ブロツキーにも感謝の言葉を述べ、さらに続けました。

「この映画『アイ・アム セリーヌ・ディオン ~病との戦いの中で~』では、私が本を読んだり、自分の病気について学んだりする中で、皆さんは私の物語を聴くことになるでしょう」

「私は自分をリンゴに例えました。自分自身にこう言ったのです。『ファンのみんなのために光るリンゴがないのなら、もう並んで待ってほしくない』って」「数日前、1人のファンからのメッセージを見ました。『私たちはリンゴのためにここにいるんじゃない。真実のためにここにいるのです』と」


 涙を浮かべて語るセリーヌに息子のルネ=シャルルがステージにティッシュを持って来ると、「私の人生に友人たちがいてくれて、信じられないほど幸運です」「私の旅の一部となってくれた皆さんに心から感謝します。この映画は、皆さん一人ひとりへのラブレターです」「またすぐに皆さんにお会いできることを願っています」と話しました。


 くしくも、タイタニックと同様、愛する者を失ったセリーヌが今度は自身の病気に打ちのめされます。しかし医療者や子供達や友人やファンに支えられてセリーヌは病気と闘ってきました。彼女の人生はまだ続きます。

 まさに「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」です。



(2024.7.6)


 <出典>

 ・タイタニック (1997年の映画) - Wikipedia

 ・https://news.yahoo.co.jp/articles/d2b86c90f9829b53a6f6b8f982b3061a4196ba89

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