第9話 教室のドア

こないだの、丸刈りの男子に言われたことが、気になる。

でも、なんとなくだがミズキのことが好きなのでは?と思っていた。

ミズキはやっぱりモテるんだなぁ…。

でも、なんでミズキは地味な私なんかと絡んでくれるんだろうと疑問に思いつつ。


放課後、ミズキと一緒に駅前にできたカフェに行こうと思い、ミズキのクラスへ行く。

うちの高校は基本的に他のクラスの生徒が他の教室に入ることは禁止されている。

ミズキのクラスに行くと、ちらっと丸刈り男子がいた。

こないだの男の子…?

まぁいいやと思い、そのまま気にせずミズキを呼ぼうとした。

が、話が盛り上がっているらしい。

その時、丸刈り男子がちらっと私を見た。

なんとも、嫌な予感がして教室のドアに隠れた。


「おまえさ〜、レズかよ」

「は?なんのこと?」


ミズキの声だ。


「アヤだっけ?他のクラスの。なんか、お前ら怪しくね?」

「何いってんの」


本当に、何いってんだろう。

僻んでいるようにしか聞こえない。

でも、私は隠れて聞いてしまっている罪悪感からなのか、心がドキドキしていた。


「…アヤは私になんて興味がないよ」


え…。

興味、あるよ…?

大好きだよ??

あなたの優しいところ、大好きだし、なんでそんな寂しそうに呟くの。


「あ、そいえばミズキに友達来てたぞ」

「え?」

「あ、ミズキ、おつかれ〜、いま来た!」

元気に言ったつもりが、悲しい声に聞こえる。

丸刈り男子は嫌な笑い方をした。


「今日、一緒に帰れる?」

「うん、帰れるよ」

「駅前にカフェできたんだって、行かない?」

「行く!じゃあね、丸刈り」


ミズキはそう言い残し、教室を後にした。

丸刈りと言われた男子は、複雑そうな顔をしていた。

でも、ミズキに名前ですら呼ばれない男子に対して、優越感しかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る