第5話 あこがれ

ミズキさんのような方とは、人生において交わらないと思っていた。


私は、平々凡々で目立つことが嫌いで、静かに生きていきたいタイプ。

でも、ミズキさんはキラキラしていて、コミュニケーション能力が高い。

それに、私みたいな陰キャとも、壁を作らずに接してくれるタイプ。

真逆なのだ。

真逆だからこそ、私の出来ないコミュニケーションを取る事を、ミズキさんはすらすらとこなしていく姿は、正直にいうと羨ましかった。

私だって、人前で笑えるようになりたい、人前で緊張せずに話せるようになりたい。


そして、私なんかが「昨日交番に迷子を届けたのってミズキさんですか?」何て聞きに行ける関係性でもない。

第一、教室も違う。

それを聞くためだけに、ミズキさんの教室には、向かえない。


「そういえば明日は掃除当番だ…」


いつもゴミ捨てじゃんけんに負けてしまう。

ゴミ捨て場は、本校舎の少しはなれた場所にある、旧校舎だ。

2階から渡り廊下があり、旧校舎へ行くことが出来る

いつもいつも負ける。

でも、なかなか人の出入りも少ない、旧校舎へゴミ捨てに行くのは嫌いではなかった。

旧校舎は古い建物で、どこか趣を感じる。

もう、むしろ自分から立候補しようかな?

無慈悲な戦いを繰り広げず、私が行くことで穏便に済ます。

争い事は嫌いなのだ。


でも、そんな私が痴漢を摘発したのって、なぜだろう?

やはり、許せなかったからなのか…。

放っておいた方が、絶対にやけどはしないのに、首を突っ込んでしまった。

父譲りの正義感、かな?


シャーペンをくるくる回しながら、そんなことを考えていたが、答えが出なさそうだし、眠たいから、寝る。


最近、悪夢で目覚めることが多いので今日こそ、いい夢が見たい。

虫が苦手なのだが、お腹から黒い虫が沸いて出る夢を見たことがあった。

今までで一番気持ち悪いゆめだった。


…疲れてるのかな?

それなら、睡眠時間増やすしかないな。

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