第3話 人助け
私は正直、勉強が得意ではない。
だから、他で徳を積めたらなって思っているタイプ。
電車では、ご老人に席を譲る。
雨が降っていた時に困っていた女性に自分の傘を渡した。
「バカなので、風邪引かないから大丈夫です!」って、言いながら走って家まで帰ったこともある。
案の定、母には怒られたが風邪は引かなかった(喜んでいいのかグレーゾーン)
そして、今も。
「うわぁああん!!」
「泣かなくて大丈夫だよ。お姉さんがお母さんに会えるような場所につれてってあげる」
学校が終わり、駅から家までの道のりを歩いていると、超絶泣いている男の子を見つけた。
声をかけると、「お母さんとはぐれてしまった」と泣きながら言った。
私はとりあえず、近くの交番に行こうと思い、男の子の手を引いて歩くことにした。
交番に着くと、男性警察官1人と、女性が1人いた。
もしかして…。
「ママ!?」
「光太郎ちゃん!!
無事で良かった!!」
男の子をギュッと抱き締めると、私を見た。
「ありがとうございました!!…その制服は、雨音学園高校かな?」
「はい、アメコウです」
「本当にありがとうございました。なんてお礼をしたらいいか…」
「そんな、当たり前のことをしただけですから、お礼なんていりません」
手を横に振った私。
隣に立っていた男性警察官が話を進めた。
「私からもお礼をいう、ありがとう」
「いえいえ」
「今時、若い子の正義感も捨てたものじゃないな!本当に感謝します」
「いえいえ、そんな堅苦しくしないで下さいよ。では、私はこのままお家に帰ります」
「バイバ~イ!」
あんなに泣いていた男の子が、笑顔で手を振ってくれた。
やっぱり、人助けって素敵だな。
アヤが、私にしてくれたように、私も困ってる人を助けたいと強く思うようになっていた。
困っていたら、手をさしのべる。
簡単そうで、意外と勇気のいる行動。
アヤが気持ち悪いおじさんに対抗できたのって、なんでだろうか?
やっぱり、正義感が働いたからか。
私じゃなくても、アヤなら助けてるよね、きっと。
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