第4話
『あ〜ん……むぐむぐ……』
結ちゃんが美味しそうに僕の作ったハンバーグを食べている姿を見ると僕も幸せな気分になった。やっぱり美味しいものを食べるのは幸せだよね……。
その後も食事を続けていったのだが、途中で結ちゃんがある提案をしてきたことで事態は更に悪化してしまった。
『ねぇお兄ちゃん』
「ん?なに?」
『私もお兄ちゃんに何か作ってあげたい!』
「……へ!?」
予想外の言葉に僕は思わず固まってしまった。
いやいやいや!無理だって!結ちゃんに料理なんてさせたら絶対失敗するでしょ!?
「いやいや……流石にそれは……」
『ダメ?』
上目遣いで見つめてくる彼女に対して僕はNOとは言えなかった。
「……わかったよ」
『やった!』
嬉しそうな声を上げると、結ちゃんは立ち上がってキッチンに向かった。そして数分後、テーブルの上には美味しそうなオムライスが並べられていた。
「……えっと……これは?」
『私が作ったんだよ!』
自信満々な様子の彼女を見て僕は苦笑した後、スプーンを手に取った。そして一口食べると……思わず涙が出そうになった。それくらい美味しかったのだ。
「凄く美味しいよ!ありがとう結ちゃん!」
僕は満面の笑みを浮かべながら彼女に感謝の言葉を伝えた。それを聞いた彼女もまた嬉しそうに微笑んだ後、自分の分のオムライスを口に運んだ。
『うん!やっぱりお兄ちゃんが作った料理の方が美味しいね!』
「そんなことないよ……。でも、結ちゃんが作ってくれたオムライスも凄く美味しい」
僕は苦笑しながら答えた。実際、どちらが上とか下とかそういう問題ではないと思うし……。ただ素直に嬉しかったんだ。僕の作った料理をこんなにも喜んでくれる人がいるなんて……。
だから僕は心の底から思ったんだ。彼女のためにも美味しい料理を作ってあげたいなって……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それからしばらくして、僕らは一緒に後片付けをしていたのだが、そこで突然結ちゃんが抱きついてきた。
「わっ!?どうしたの?」
『えへへ♪なんでもないよ!』
彼女は悪戯っぽく笑うとそのまま僕に抱き着いたまま離れようとしなかった。まあ、別にいいんだけどさぁ……。そんなことを思っていると、今度は彼女が突然とんでもないことを言い出した。
『ねぇお兄ちゃん……』
「ん?なに?」
『一緒にお風呂入ろ?』
「……はい?」
一瞬何を言われたのか分からなかったけど、すぐに理解して慌てた。
「いやいやいや!何言ってるの!?流石にダメだよ!」
僕は慌てて拒否したが、それでも彼女は諦めようとしなかった。
結局押し切られる形で一緒にお風呂に入ることになったのだが……やっぱりこれは色々とまずい気が……。
でも結ちゃんは全く気にした様子もなく僕の前に座っていた。そしてそのまま僕の身体に触れてきた。
『お兄ちゃんの身体って大きいよね……』
そう言いながら彼女は僕の胸やお腹を撫で回してくる。それがくすぐったくて身を捩ったが、それでも彼女は手を止めようとはしなかった。むしろどんどんエスカレートしていく始末だ……。
「結ちゃん!ちょっとストップ!」
『ええぇ?やだよ』
「やだよじゃありません!」
『ちぇ』
(ちぇってなによ)
と思いつつ、なんとか結ちゃんを引き剥がすことに成功すると僕は急いで湯船の中に逃げ込んだ。
すると彼女は不満げに唇を尖らせていたが、やがて諦めたのか大人しくお風呂に浸かり始めた。
「もう……急にどうしたの?」
『別に〜?ただお兄ちゃんに甘えたくなっただけ』
(そんな理由かい!)
心の中でツッコミを入れながら僕はため息をつくしかなかった。それからしばらく沈黙が続いたのだが、不意に彼女が口を開いた。
『ねぇお兄ちゃん……』
「ん?なに?」
『お兄ちゃんは私のこと好き?』
「……好きだよ」
お風呂の後
お布団に入ると彼女も入ってくる。
『お兄ちゃん今日は一緒に寝よ』
「はい?」
『たまにはお兄ちゃん分を補給したいの』
また、訳の分からないことを。
『いいでしょ?』
「分かったよ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日の朝、目を覚ますと結ちゃんが僕の顔を覗き込んでいた。
「おはよう、お兄ちゃん」
「……おはよう」
眠たい目を擦りながら返事をすると彼女はニッコリと笑った。
「よく眠れた?」
僕は無言のまま首を縦にふると、結ちゃんは満足げな表情を浮かべて立ち上がった。そしてそのまま部屋から出て行ってしまう。しばらくして戻ってきた彼女の手には着替えらしきものが握られていた。
どうやら昨日と同じ服を着るわけにはいかないと判断したらしい……。まあ、確かにそうだよね……。
着替えしたあと、僕は小説の続きを執筆することにした。
しかし、そこで突然結ちゃんが僕を呼び止めた。
「ねぇお兄ちゃん……」
「……ん?」
振り返ると彼女は恥ずかしそうにモジモジしていた。一体どうしたんだろう?首を傾げていると彼女は小さな声で言った。
「……一緒に学校行かない?」
え……一緒に登校するってこと?
まさか、そんなことを言い出すとは思わなくて一瞬戸惑ったけど、すぐに頷いた。
「いいよ」
すると彼女は嬉しそうな表情を浮かべて僕の腕に抱き着いてきた。
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