第12話 プール①
「ねえ、ちょっと2人で話さない?」
部活中に森崎さんにそう言われた。
「べ、別にいいけど…」
こ、この展開はもしかして森崎さん、僕に気があるのか?
いや、そんなはずがない。森崎さんには林田がいるんだし。
「じゃあ今日放課後にマックで一緒に話そう」
そうして僕は森崎さんと一緒にマックに行くことになった。
用事があるからと言って佐藤さんと別れたあと僕はマックに行った。
マックにつくともう森崎さんがいた。
「で、話って何?」
僕は席につくと森崎さんに聞いた。
「夏休みに私と林田くんと佐藤さんと山本くんで一緒にプールにいかない?」
そういうことか。良かった。僕に気があって話をしたいって言ったわけではないようだ。
「いいけど、邪魔じゃない?」
「どういうこと?」
「大丈夫だよ。林田くんも私も大人数で行ったほうが楽しいと思ってるし」
「佐藤さんにはもうこの話はしたの?」
「いや〜誘って行くって言ってくれたんだけどね、佐藤さんに山本くんも誘ってって言ったら恥ずかしいから自分からは誘えないって言って…それで私が山本くんに直接誘ったって訳なんたよ」
ん、なにか視線を感じるぞ………
僕がふと後ろを振り返るとそこにはこっちを睨みつける林田がいた。
これは完全に勘違いされてるな。
「ちょっとトイレに行ってくる」
そう言って僕は席をたった。
そしてトイレに行くふりをして林田の方に向かった。
「他人の彼女に手を出すなんて、親友だと思ってたのに最低だな」
林田に会うとそう言われた。
そこまで強く言わなくてもいいじゃないかと思ったが、それほど森崎さんのことを思ってるってことだな。
「誤解なんだって。
森崎さんに夏休みにプールに行こうって誘われてたんだ。林田も行くんでしょ?」
「そういうことか。さっきは強く言ってごめん」
「誤解させるようなことをしたこっちにも負があるよ。ごめん」
僕らは仲直りしてその後3人でいつプールに行くか話し合った。
ーーー
「2学期も今日で最後になり、明日から夏休みですね…………
〜20分後〜
夏休みは息抜きもしながら部活動や勉強に全力で取り組んでください」
「校長先生、ありがとうございました。これで2学期終業式をおわります」
長い長い校長先生の話もおわりやっと夏休みがやってきた。
「校長の話長すぎるだろ。ほんと、どうにかしてくれないのかな」
終業式がおわり体育館から出る途中にそう僕は林田に話しかけた。
「そんなことより明日のプール楽しみだね」
それ僕の話をぶった切って言うことか。まあ僕も楽しみだけど……
「明日は駅に8時30分に集合で合ってるんだよね」
「合ってるよ」
林田と話していると
「お前たち2人でプールに行くのか。いいなあ~俺も女の子の水着見に行きたいな〜」
同じクラスの大野が話しかけてきた。
大野は僕らのことを男子中学生だと思ってるのか?まあ、1年しか離れてないけど…
「違うよ。それに2人じゃないし」
「誰かと一緒に行くの?」
「佐藤さんと森崎さんと一緒に行く」
「そういえばお前たち彼女持ちだったな。ダブルデートか……いいなあ。俺も輝かしい高校生活を送ってみたいよ」
「僕と佐藤さんは付き合ってないよ」
「そうだったのか。てっきり付き合ってるものだと思ってた。でも放課後にマック寄ったりするような仲なんだろ」
確かに、たまにマック寄ったりするけど、断じて付き合っているわけではないんだあ。残念ながら…
「そういえば山本、前に森崎さんと一緒にマック行ったんだよね」
そう林田が言った。
いや、このタイミングで言うと絶対勘違いするだろ。
「え、、いや、それには理由があって………」
「まさか、佐藤さんといい感じなのに彼氏持ちの女子に二股をかけようとしたのか。山本、いいやつだと思ってたのに……」
大野は失望したようにそう言った。
ほら、やっぱり勘違いした。
この後、林田と同じような説明をしてなんとか誤解を解いた。
‐‐‐
〜翌日〜
僕が駅につくと林田がいた。
「今日のプール楽しみだね」
「いや~可愛い女の子いるかな?」
「お前には森崎さんがいるだ…………」
「林田くん、ちょっと話聞かせてくれるかな?」
誰かがそう言ったので僕は後ろを振り返った。
そこには森崎さんと佐藤さんがいた。
「いや、、これは、その、、、男子同士の話の流れでついなんとなくいっただけで、決して僕の本心ではないです」
「ほんとに?まあ、せっかくプールに行くのに気まずい空気で行くのもあれだから許してあげる。だけど次おんなじようなことがあったら……」
「わかってます」
なんとか林田は許してもらえたようだ。
「はあ、殺されると思った…」
林田はそう僕に小声でつぶやいて電車に乗り込んだ。
僕もそれに続いて電車に乗った。
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次話に続く
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