第9話 水着

このお話は山本目線の部分と佐藤さん目線の部分があります。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


◆山本目線◆


佐藤さんたちが水着を見に行ったので僕たちも水着を見に行くことになった。


「僕は水着を買わないから林田のやつを一緒に見よう」

「えっ、買わないの?また去年みたいに学校の水着で行くの?それをやめといたほうがいいよ」

「なんで?いいじゃん」

「そんなんだから佐藤さんに告白できないんだよ」

「えっ、べ、別に佐藤さんのことが好きなわけじゃないし」

さすがに認めるのは恥ずかしかったので、僕は否定した。

「ふーん、本当に?まあいっか、とりあえず学校の水着はやめといたほうがいいよ」

そう言われたので僕は新しい水着を買うことにした。


僕たちは水着売り場に着いた。

水着売り場は夏前なのでとても広く賑わっている。

「林田は去年新しい水着を買ってたのに何で今年も買い替えるの?」

そう僕が聞くと林田は少し恥ずかしそうに

「森崎さんにいつも新しい自分を見せたくて」

と答えた。

僕は「リア充アピールか!」とすこしイラ立ちつつも、羨ましい気持ちになった。

「ヘー、モリサキサントジュンチョウナンダ」

「そんなに嫉妬しちゃって。そんなに佐藤さんのことが好きなんだー」

「違うわ!!」

そんな事を言いながら僕たちは水着を買った。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

◆佐藤さん目線◆

私達は涼くんと別れて森崎さんと水着を買いに行くことになった。

本当は寮くんと一緒に水着を選びたかったけど、言い出す勇気が出なかったなぁ。

ほんと、私はいつも大事なところで勇気が出ないな……

「もしかして山本くんと一緒に水着を見ようと思ってた?」

「うん。でも、言い出す勇気が出なくて…もし森崎さんが一緒に見に行こうって言ってくれなかったら水着を買えないところだったよ。ありがとう」

「そうなんだ。私も去年林田と一緒に水着を見に行ったけど、言い出すまで2時間かかっちゃったよ」

「去年買ったのに何で今年も買うの?」

急に森崎さんが恥ずかしそうにモジモジしだした。

林田くんに可愛くないって言われたのかな?

いや、この反応は、、、

も、もしかして、胸が成長したのか?

「ちょっとサイズが小さくなっちゃって」

「胸が?」

私は森崎さんの耳元でささやいた。

「うん」

「いいなあ。私なんて全然胸がないのに…」

私は胸が小さいのがコンプレックスだ。

「でも山本くんは小さいのが好きだって言ってたって林田が言ってたよ」

「ほんと?」

私はとても嬉しくなった。


「この水着はどう?」

森崎さんが突然そう言って、水着を見せてきた。

森崎さんが見せてきた水着はビキニタイプの水着だった。

「こういうのはまだ早いかな。これとかかわいいかな?」

そう言って私はワンピースタイプの水着を見せた。

「そんなんじゃ山本くんをおとせないよ。男の子は露出の多いのが好きなんだよ」

「そうなんだ。うーん、でもちょっと恥ずかしいな」

「山本くんをおとしたいってところを否定しないんだね。やっぱり山本くんのことが好きなんだ」

しまった。

どうしたら涼くんに好きになってもらうかを考えるのに夢中で気付かなかった。

「うん」

私はコクリとうなずきながらそう言った。

恥ずかしかったけど、一緒に好きな人のことを話せる人ができて嬉しかった。


でもどうしよう。この水着を買うべきか?

しかし、こんな水着を着てて、涼くんにはしたない女だと思われないかな?

涼くんも男の子だからこういうのが好きなのかな?

せっかく森崎さんがおすすめしてくれたし、やっぱりこれにしようかな。

「この水着にするよ」

そう私は森崎さんに言って、その水着を買った。


水着を買い終えた私達は涼くんたちと合流して帰り始めた。

帰りながら私はいつも、涼くんに私のことが好きになってもらえるように行動してるけど今日は結構攻めた行動に出てみようと思った。

「そういえばもうすぐ期末テストだね。涼くんは勉強進んでる?」

涼くんは急に焦りだして額をかいた。

「えーと、、、全然進んでない…どうしよう」

「じゃあ来週、涼くんの家で一緒に勉強しようよ」

「えっ、、、でも…」

「そうしないとテストで悲惨な結果になるよ」

「じゃあそうしよう」

そうして私達は涼くんの家で一緒に勉強することになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る