第14話 【鴉】

カラスはいつも1人だった。

学校の裏庭で蹴飛ばされる毎昼。家に帰ってもお母さんは別れた父親のことを忘れようと、、、他の男の大人とデェトしている。

それはカラスにとってはいいことだと思った。カラスの母親はいつからか半狂乱だった。原因はカラスではないのにカラスのせいだった。父親がペニスを小さいお尻に入れようとしていたのだ。カラスの。それが発覚してから、、、母はおかしくなった。愛していた夫が愛している息子に色恋もせずにSEXだけ強要したのだ。。

カラスはある年齢になって段々と自分の父親が異常だったと気づいた。

別れた母は心底心配してくれたんだとは思う。けれど未来が見えない方だから。。元気代も電熱費も水道代も食事代もタダでは生きていけない。そこがわからない乙女だったから悪い男に捕まってばかりだ。おばさんと呼べるような年になったらお終い。

俺は売り出された。

心を痛めていた母はもう存在しなかった。

お前は見目がいい。

性的なバーにでも売ってきておくれ。その体。



俺は母を捨てた。


ホモバーで毎日代金を仕送りしていると、、、ある鴉の濡れ場色の髪色した男性がこちらに話しかけてきた。

『今朝の新聞見たかい?それかニュース。』

はあ?と曖昧に返した。唐突な内容ではないが見知らぬ男性だ。そして彼はイタズラ成功したような顔で。。新聞を見せてきた。

新聞を広げてみせたその内容は、児童ポルノで捕まった自分の元父親だった。身内はいなかったことにされている。

『いいこと。。教えてあげる。ボクが身内の内容バラさずにこの外道に用があって殺したんだ。おっと、、、まだ死んでないっけ。いずれ死ぬよ。刑務所のボクの信者の手にかかってね。。ふふふ。』

俺はというと、新聞の記事と目の前の男性を交互に見比べた。何度も。

『ねえ。。ボクをーーいやーー私を気にせず父親と呼んでごらん?楽にしてあげるよ?』

心臓が強く蠢いた。

自分は人生の分かれ道に立たされている。直感的に感じた。

「厚かましくも父親になってください。くださるなら、、、お名前を聞いてもよろしいですか?」

『ああ!名前!君のは【鴉】にしよう!私の髪色と同じだ!私はんーまだ考え中?どんなのがかっこいいと思う?』


いささか拍子抜けした俺のタイミングを見計らって彼は微笑んだ。

『おいで、、、息子よ。』両手を広げて待っている。

カラスは両手に堕ちた。

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向こう岸まで何mile【隼と燕】 aviane @LiLiaviane1987

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