第25話 報告、無線

「あー……調査隊城戸。今、会議室に入った。かなり血生臭い、腐敗が少し進んでやがる死体が8人」


『城戸、報告の前に、何故シャッテンを連れて勝手に入った?』


「無線が繋がらない以上、現場は経験者が指揮をとるもんだ。そういう話だろ」


『地下に何があるか分からない以上、全員が合流できた状態で入る、そういう話だ』


「へぇーへぇー悪かったな。説教はあとにしてくれ。こんなくっせぇところ長くいたくねぇよ」


『はぁ……続けろ』


「死体はどれもサイトに載るほど顔の知られた奴ら。東田取締役、西森副社長、佐那専務、藤條常務の面々……全員両腕を縛られ、イスに括り付けられ、最期は頭をバーンっ、1発」


『他に何か情報は?』


「スマホのひとつもねぇな……あぁ」


『どうした?』


「おいおいおい、生存者がいるぞ。床に寝そべって両腕を振り回してやがる」


『負傷しているのか?』


「擦り傷がいくつか、あー頭から出血。どうする、あいつら呼ぶか?」


『それは……やめた方がいい。小林が今彼女達とやり取りして時間を稼いでいる。情報を聞き出してくれ』


「おぉ、おいおいおい、あー救急隊だ。大丈夫、ですか?」

「たす、助け……げほぉっ、ごぅ……助か」

「今助けますので、落ち着いてください。深呼吸、息を整えて。ここで何が?」

「は、はっ、ぅぅすうう……はぁー……あ……分からない。いきなり押し込まれて」

「誰に?」

「開発部署の、責任者だった。才波、あいつはいかれてる!!」

「どうどう、ゆっくり話してください。警察に話さないといけないんでね、で、理由は?」

「そんなの……知らない」

「知らない? でもここにいる方々は、重役です。貴方もでしょう?」

「救急隊じゃないな、お前!」

「おーおー冷静じゃねぇの。吐け、こっちは才波をとっ捕まえたいんだよ。吐かねぇと喉掻っ切るぞ」


『城戸、刺激するな』


「ガードテクノロジーだな! お前らもグルだったんだろ? 裏で手を回して、都合の悪いことは全部っが、っぅかはぁっっ」

「……」


『城戸!!』


「心臓発作を起こして死んだ。俺は何もしてねぇよ」


『……くそ、馬鹿野郎』

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