第9話 パートナー

 地下2階、初めてだらけの世界のもっと深い場所に踏み込んだ気がする。

 重たい扉の向こう側にガラスのケースに保管された銃がたくさんあって『武器保管庫』『射撃訓練場』の表札が目に入った。

 フィクション作品やニュースでしか見たことがないものばかりで、私じゃ本物か玩具かの見分けもできない。

 いくつかの3段ロッカーに社員の名前が連なる。

 

「これからは射撃訓練を中心に行う。ガードテクノロジー社の社員も暴走に巻き込まれて多数の被害が及び、要人の護衛と避難、調査に割るのもやっとのことだ。APRの殲滅ができるのは我々しかいない」


 大きな背中は後ろに手を組み歩く。


「APR殲滅チームは俺と小林、救護班1、実行班3の計6人で形成された小さなチームだ。実行班はもちろん君たち」


 ガラスケースが開く。


「ナハト、こっちに来い」

「はい!」


 明るい返事が地下に響いた。


「これから君が扱う武器だ。軽量化されたSMGサブマシンガン。弾薬は入っていないが、装填されているものと思え。トリガーに触れず、銃口を誰にも向けず持て」

「え、は、はい……うぁほんとに軽い、結構小さい、サブマシンガン?」

「詳細はあとで話す、戻れ。次にシャッテン」

「はい」


 ナハトはどう扱えばいいのかも分からない武器を恐る恐る持ちながら、戻ってきた。

 なんだか小さいし、独特な形、こんなのでAPRを壊せるのかな。


「ボルトアクション方式のライフル銃。しばらくは後方でサポートを任せる。ナハトと同じく気を付けて持て。次、ブリッツ」

「は、はい」


 シャッテンが両手に抱えたライフル銃。筒状のレンズみたいなのが上についている。なんだかとても細長い。

 小走りで近づいていくと、永嶋司令はケースから銃を取り出す。


「ブリッツ……君を守ってくれる大切な相棒となる武器だ。大切に扱え、探しているものを見つける手助けにもなるだろう」

「ありがとうございます」


 私の手に、思っていたより重みがあるハンドガン、だったかな、玩具だって言われたら信じてしまう見た目。

 他を知らないから、何とも言えないけど……多分握る部分は、少し前後に長いような気がする。


「よし、これから銃器の取り扱いについて説明する。あくまでも意図しない事故を防ぐ為の安全な取り扱いだ。それから各武器の銃弾、装填方法、点検方法、そして射撃だ。しっかり頭に叩き込め」

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