④
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「どうしたんだい? 二人して顔を真っ赤にして……。風邪かな?」
すぐにも体温を測られたら、
誰かに見られていただろうかとか、そんなのは気にしている
「トラブルがありまして、濡れた制服を着替えたいのですが、ブルック公爵令息の身体に合う着替えはありますか?」
「大丈夫だよ。大きな物も用意されているからね」
保健医はテキパキと、タオルや着替えの準備をしていく。
生家は
タオルと着替えを受け取ったシライヤは、保健医と一緒にベッドがあるカーテンの中へ入った。
「どうしてびしょ濡れになったのかな?」
「……大した理由ではありません」
私を庇って女子生徒達に水をかけられたことを、言うつもりはないようだった。
事を
ブルック公爵は、シライヤの為に動いてくれはしないのだから。
「……そうかい? だが、相談したいことがあれば、いつでもおいで」
「ありがとうございます……」
「それと、少し目が
シライヤが寝不足?
私は気づけなかったが、保健医が言うなら、きっとそうだ。彼は面倒見がいい
カーテンを勝手に開ける訳にはいかず、ギリギリのところに立って、
「ブルック公爵令息、寝不足というのは本当ですか? 何か事情があるのでしたら、お話しください」
もしかしたら、ブルック公爵家で嫌がらせを受けて、
「実は……、父の仕事を手伝っているのだが、週末に貴女の家に行くのに、少し無理をしてしまって。だが、無事に終わらせることができたから、今日は十分に眠って、明日を楽しむつもりだ。だからどうか、心配しないでくれ」
カーテン
私との約束の為、寝不足になるくらい無理をしてくれた。罪悪感が先に立つが、
「身体を濡らして、更に寝不足となると、体調を
「ありがとうございます。そうさせていただきます」
その後、カーテンから出てきたのは保健医だけだった。
「あのっ、私も中に」
「君は、彼の婚約者かい?」
「いえ……、違います」
「では、いけないよ。心配なのは解るけれど、聞き分けてくれるね?」
「はい」
「それに、彼は横になった
確かに、カーテンの中からは物音一つしなくなった。それ程深く眠ってしまったのだろう。
こんな無茶をさせるつもりではなかった。それでも、彼の気持ちを知れたような気がして、嬉しかった。
シライヤ、期待してもいいですか?
この先歩む未来に、貴方が
シライヤのことが好きです。
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