3話 深まる仲
①
長い休日だった。やっとシライヤに会える。
いやそれより、今はとにかく早く会いたい。
胸の高鳴りを
「あー。本当に来た。校舎裏に通ってるって
確か名は、ピエール・ロワイ
「ロワイ伯爵令息、ごきげんよう。私、友人と約束がございますの。お話でしたら、また今度……」
「噂によると、あのシライヤ・ブルックだろ? やめとけよ、あんな生まれの解らないようなヤツ。シンシア
勝手に
シライヤのことがなくても、彼はありえないのだ。成績が下の下で、エディと順位を争うレベル。
これでは、領地経営の
私の中で早々に候補から落ちたのだが、相手は伯爵令息。できれば
とはいえ今の彼を見る限り、そんな願いは期待できないようだった。
「ブルック
こんなことで時間を取られ、シライヤと過ごす時間が減っては大変だ。少々
「まさか、シライヤ・ブルックを婚約者にするつもりかよ? 公爵家で
「道を空けていただけるかしら。ロワイ伯爵令息」
「つれないこと言うなよ。いくら金を持ってたって、社交界に出る機会が少ないルドラン
ふいにピエールの手が
「止めてください、ロワイ伯爵令息。女性の
「なんだ? お高くとまって。女が当主になるからって、
今度は明確な意思を持って、私へと手が伸ばされる。
こんな男に触れられるなんてごめんだが、
大声をあげるか、貴族令嬢らしくはないが走って逃げ去るか。
考えていると、私とピエールの間に大きな背が割って入った。
この大きな背中は……。
「ルドラン子爵令嬢が
私にかけてくれる声とは
あんなに可愛らしいと思っていたシライヤが、こうして私を護ろうとしてくれる時は、なんて
「う、わ。こ、こいつ。こんな、背、高かったか?」
そう、シライヤは背が高いのだ。いつも遠巻きにされて、彼がよく
「
「ありがとうございます。ブルック公爵令息に助けていただいたので、大丈夫です」
「ふん……。
今のシライヤは正しくヒーローだ。そして、悪役令息はピエールだろう。
「お前なんかが貴族クラスに通うなんて
「……」
私を護ろうとしてくれた時とは違い、シライヤは力なく俯いた。
長い前髪の
「勢いが良かったのは、初めだけか? 情けない男め」
言い返されないと
「物語の主人公になれるとでも思ったのか? お前なんて
これ以上は
シライヤの前へ出るようにして、悪役令嬢としてデザインされたこの顔を十分に生かした
「ブルック公爵令息を隅に置くだなんてとんでもない。才能と力量と知識を
「な……っ」
私に睨み付けられて少し
「俺の方がいいに決まってるだろ! こいつは……」
「考えるまでもなく、勉学はブルック公爵令息の方が
「だ、だからっ! こいつは家族に愛されない子なんだ! 家族に愛されている俺とは違う!」
「ブルック公爵令息の
言葉を一度区切って、シライヤへまっすぐ身体を向けた。俯いていた顔はいつの間にか前を向いていて、私を
「愛は、私が差し上げます。
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