③
*****
それから、私達は明日も会おうと約束をして、それを何度も
話が合うのだ。勉強の話はもちろん、領地経営の話を振っても、難なくついてくる。聞けば、公爵家の書類仕事を手伝っているという。
ますます、
父と母のように、支え合える
いつも上着を貸して貰う訳にはいかないので、敷く為の布を持参するようになったが、
「貴女にしてあげられることがなくなってしまって、少し
ある時は、シライヤのクラスの授業が遅れ、
会う
もっと会いたい。明日も会いたい。
できればずっと、こうして話をしていたい。
「ブルック公爵令息、毎日お
「まさか! 迷惑なんて絶対にありえない! ……貴女の方は、俺なんかと毎日話して、つまらなくないのか?」
急に自信をなくしたように
「それこそ、ありえません! 足りないくらいです!」
驚いた顔を向けるシライヤの手を取りたい。しかし、婚約関係でもない以上、それはきっと許されない。
「貴方と話せることが、とても楽しいのです。今日はなんの話をしよう、明日は何を話せるだろう。朝起きる度に、今日も貴方と話せると考えて、心が温かくなるのです」
「令嬢……、距離が、少し……」
「これからも会ってくださると、約束していただけますか?」
もう一歩詰め寄ると、シライヤの背が学園の
「……っ、……っ」
言葉を詰まらせるシライヤの顔は、みるみる赤く染まっていく。前髪で表情が見えづらいのが、
「わ、解った。約束する」
「良かった」
ホッとして身を引くと、シライヤは胸を押さえて息を
「
「いや、明日は……。休みだが」
「
******
確か、休日というのは、もっと楽しい日ではなかっただろうか。
「はぁ~~~~~」
長い長いため息をつき、ベッドの上に突っ
シライヤは、
毎日校舎裏で会う約束をしてくれたからといって、シライヤが私に好感を持っているとは限らない。
彼の場合、
「そうだ! シライヤは、家で虐げられているんだった! ということは今この時も、
ガバッとベッドから飛び起きて、部屋の
「婚約者でもない私が、公爵家へ乗り込める訳なかった……」
シライヤのことが心配だ。今この
考えれば考える程、
「笑顔でいて欲しい」
私が、笑顔にさせてあげたい。そうしてあげられたらいいのに。
「幸せにしてあげたい」
この気持ちは……。
扉をノックする音で、反射的に立ち上がる。次期子爵として、床に座り込んでいる姿など、
「何かしら?」
「お休みのところ、失礼いたします。
扉
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