②
「これも何かの
「……え? ……俺と、……話?」
シライヤは急に
そんなことを言われるとは、思ってもいなかったのだろう。先程の不機嫌な顔とはまったく様子が
「ご
「……ぁっ、いや、迷惑ではない」
彼は
人との会話に飢えていたのだろうか? 私が去ってしまうことを
そんな彼の
「では
「あぁ……、いや、待ってくれ」
そう言って、シライヤはすぐに上着を
なんて
「ご親切にありがとうございます。お心遣いを
ここは
制服の上に腰掛けながら、この制服を洗って返すことを考えるが、シライヤは
仮にも相手は公爵令息だというのに、こんな心配をしなくてはならないなんて、やはり彼の
「……お座りにならないのですか?」
階段の
「
紳士的な上に誠実だ。そして顔が良くて、成績優秀。
「私のことをご存じだったのですね。
「そんな、俺にそこまで
ゲームをプレイしていたから、彼が今何を思っているか解ってしまう。自分の努力を、初めて人に好意的に認めて貰えて、
たったこれだけの会話が、ずっと孤独だった彼にとっては、
なんとか
「
「貴女は、領地経営も共に学んでいるだろう。将来を
女が当主など生意気だと言われることの方が多い中で、こんなにも自然に私の努力を尊重してくれる男性は、平民はともかく、貴族ではとても少ない。こちらの方が、感激してしまう。
「あ、ありがとうございます」
なんだか照れてしまって、返す言葉が震えてしまったかもしれない。
彼の
「えっと、ブルック公爵令息の銀髪は、本当にお
むず
「……この
「え? どういうことでしょうか? 不快に思ったことなどありませんが」
「……俺が貴女の婚約者候補から外された時、老人のような
「えぇ!? 婚約者候補から外れるとは!? 婚約の打診書には全て目を通しておりますが、ブルック公爵令息からの打診はなかったように思うのですが……っ」
両親が意図的に隠していたのだろうか?
そんなことをする人達には思えないのだが、これはどういうことだろうか。
「あぁ、いや、最近の話ではなく、貴女が十歳の時の話だ。俺は候補にも挙がらず、その後エディ・ドリス
「あっ、なる程、最初の婚約の時の話でしたか」
あの時は、エディの
まだ幼かったし、仕方ないだろう。だが、それにしても。
「いえ、しかし、シライヤ・ブルック公爵令息の髪を、不快に思ったことは一度もありません。そのように申し上げたこともないと、
「そうか……。兄達に聞いたのだが、きっと
くっ……、彼が屋敷でどんな扱いを受けているのか、今ので察してしまい胸が痛い。
銀髪は母親
「綺麗ですよ、とても。私はむしろブルック公爵令息の銀髪を好ましく感じます。それに、白髪も好きです。父や母の髪にも少し白髪が交じるようになってきましたが、差し色のように入る白髪はお
先程よりもずっと頰を赤らめて、呼吸を整えるようにしてからやっと
「ありがとう……」
彼はとても……可愛い。
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