花火大会

椿

花火大会

 地元の花火大会を彼氏と見に行った。コロナの影響で3年ぶりの開催ということもあり多くの人が会場に集まっていた。

 屋台で食べ物をたくさん買い、花火が見えるところまで余裕を持って着くことができた。

 しかし、座れるような場所はもう埋まっていて近くではないが座れるところを見つけそこに座ることにした。

花火開始まで後10分となった。

「ねえ、もうすぐだね」

「だね。3年ぶりだから結構楽しみだよ」

「3年前はあっちで見たよね」

 彼がそう言いながら指で示した方向は3年前に彼と一緒に花火を見た場所だった。

 その時は付き合っておらず、その帰りに彼から告白された。当時は花火に夢中で彼が私に告白するなんて思ってもいなかった。

 彼と他愛のない話をしていると花火の大きな音が空に響き渡った。

「始まったよ!すごい綺麗だね」

 花火が打ち上がり始めた。花火はもちろん綺麗だった。けれど私はそれよりも綺麗なものをずっと見ていた。

 彼の横顔。私は彼の横顔に夢中になっていた。

 今年の花火大会は花火よりも花火を見る彼の横顔を見る時間が楽しみだった。

 この顔をずっと見ていたい。そう思っていると彼と目が合った。

 あぁ、素敵だな。

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花火大会 椿 @tubaki_lll

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