第101話 ルッカ領

 あゆみ隊が一番遅いルッカ領の帰還だった。

 さっそく、あゆみは温泉施設に向かった。

 兵隊達の慰労も兼ねている。


 温泉施設の休息場で、レシスから慰労を労われた。


 あゆみが転生した戦場の後、砦に案内され、尼僧らしい服装で入浴を案内した人。

 あゆみが砦から去って、その後ユンドの進軍で、ノエノ領のアルネ砦が陥落した。

 降伏した兵士や女達は奴隷としてユンドへ連れて行かれた。

 その時、ユンドで軍人から線引きされ性奴隷にされた中の1人にレシスがいた。

 ルッカ軍が最初にユンド国に進軍した都市マルチドから解放され性奴隷達の1人に彼女がいた。

 マルチド執行官に囲わていたのだ。


 暫く会っていなかったので、当時のアルネ砦の面影になっていた。

 あゆみは自分のことのように安心した。


 レシスもまさかユンド国を滅亡させたあゆみとは信じられないでいた。

 でも、これで一つの節目が出来たことを実感した。


 先に兵士達にはルッカ町へ帰還させた。

 

 まだ、あゆみはもう少しだけ温泉気分を満喫したいのだ。

 まだホルダ地区の温泉施設は完成していないらしい。


 隣のガルミ領主はあゆみがユンド国から帰還して、温泉施設に滞在していることを聞きつけた。

 早速、ガルミ伯爵らは戦勝祝いに温泉施設へ向かった。


 

 あゆみは温泉施設の上等な部屋に伯爵と次男のヌエルとカルコフ令嬢が待っていた。

 あゆみは浴衣姿で簡単な挨拶をした。

 たんたんとユンド国帝都までの進軍を説明した。


 伯爵は言いずらそうに、次男をルッカで働かせてほしいと懇願した。


 あゆみはヌエルを見ながら、考えた。


「ソルラン国に足りないモノに、道路が整備されていないことだ。

 国の繁栄に道路整備ができれば、商いの荷馬車が活発に往来するし、その地域の生産品の流通が発展する。

 そういう知識も必要と考えるが、どうじゃ、お主の意見は?」


「いまだ、ガルミ領での基幹道路を進んでいません。

 いいようもありません」


「貴族だからではなく、一般の領民になって、考える思考。

 ミシア地区のゴエム行政官のような、柔軟性がほしいのだ」


「ザエン様、どうかヌエルをお仕えできないでしょうか?

 カルコフ令嬢も懇願する。


「いま、ユンドのユフトテ都市のユンド人にルッカ領までの基幹道路がそろそろ開通する。

 それから、カムール国境からシュレカ国境までの基幹道路を、ソルラン国とユンド国の境道を拡充して、道路建設を実行する。

 その者が将来のユンドでの土木事業の責任者になる人物だ。

 その元で、道路建設を学ぶのはどうかな。

 いずれ、ソルラン国には必要な人材だ。

 どうじゃ?」


 

 次男ヌエルは考えた。


「ザエン様、本当に、ありがとうございます。

 是非、私ヌエルに学ばせて下さい」

 ヌエルはあゆみに膝を折って、臣下の礼を示した。


「ザエン殿、本当に、ありがたい」

 伯爵も礼を述べた。


「ザエン様。本当にありがとうございます」

 カルコムも礼を述べた。

 ヌエルにユフトテのラクゼ宛てに紹介状を渡すと述べる。


「もうすぐ、ルッカとハルローゼン国境の基幹道路が完成する。

 そしたら、レクレンが里帰りにする予定だが、その時、お主もハルローゼンへ同行せぬか?」


「えっ!。よろしいのですか?」


「ああ、勿論だ。道中の話し相手、異国の文化を触れる機会だから、是非、いくとよい」


「ザエン殿、本当に娘まで、感謝します」


「せっかく、温泉施設に来たのだから、是非入浴をしていってくれ。

 ワシは、そろそろルッカ町へ帰還せねばならぬので、これで失礼する」


 あゆみは、早々に乗馬して、ルッカ町へ急いだ。


 道路整備が行き届いているので、快適な乗馬ができる。




 そして、ついにあゆみはルッカ町に着いた。


 町あげての祝賀ムードで、あゆみの凱旋を総出で祝ってくれていた。


 あゆみはこんなに歓迎されるとは、夢にも思わなかった。


 クルル、ヨシア、ロルナも待ち構えていた。

 ミシア地区ゴエム行政官も来ていた。


 ルッカ町初まって以来の大戦勝祝賀会が開催された。

 

 あゆみは酒を飲まないので、酔いはしない。


 あゆみは来ていた一同に、ユンドでワインという酒が出来るので、期待してほしいと述べる。

 みんなが飲んでいるのは、麦から酒を造るらしい。

 イモからの酒もあるらしい。

 ルッカにも葡萄モドキの木が植えられたらと考えるが、

 いまは復興の目玉なので、競争意識は避けたいとも考える。


  レクレンに兵站の輸送計画を改めて感謝の意を示した。


 もう少しで、ハルローゼンへの道路が完成間近で、宿などが出来たら、

 温泉施設に逗留しているレシス、ガルミ領カルコフ令嬢を同伴したらどうかとも話す。


 時々レクレンも温泉を楽しんで、レシスとも会話はしているという

 知らない中ではなさそうだ。

 レクレンは嬉しそうだ。


 レクレンは交易をしているカルーム国から外務長官らが、ルッカ町に来訪したことを話す。

 ルッカ軍が単独でユンド国を滅亡させた偉業のお祝いにと話す。

 あゆみが不在だったのを、非常に残念がったと、強調した言い回しで述べる。

 レクレンはあゆみの渋い顔をしたので、微笑んだ。

 あゆみは内心、ああ、良かったと思う。


 レクレンには悪いが、対外交などあゆみにはショウに合わない。

 いずれカルーム国とも正式に会う機会があるが、まだ国内の基盤固めも中途半端。

 単なる儀礼など面倒だと、レクレンの話を聞きながす。

 

 あゆみはカルーム国の話題より、ホルダ地区の温泉施設が気に掛かる。

 もう少し時間がかかると言われた。

 その理由にハルローゼンからシュレカの基幹道路に、ホルダ地区の温泉を街道に繋げたいが、まだ基幹道路が未知数なので、道路整備を図面に記入したいと話す。


 確かに基幹道路に繋がれば、商人達も温泉施設を楽しみ、宿泊がするとレクレンは考えている。

 それで工事がそのものが頓挫していると言われた。

 あゆみはレクレンの商人魂に感心した。

 工事の進捗を急がすと述べる。


 レクレンからルッカ硬貨が商人達に浸透して、カムール国との交易でも流通貨幣の価値を発揮していると話す。

 作物も順調に拡大し、ユンドへの食糧供給に影響しないと話す。

 あゆみはユンドの土地枯れで、作物の生産が落ちている地域が多いと話す。

 ユンドにはユンド人に任せる人材を選んで、行政官に任命していると話す。


 ソルラン国と同様にユンドの軍事力を削いだので、他国からの侵略に対応できる戦力がないと、徐々に自国をユンド人自身で、防衛できる戦力まで引き上げたいと話す。

 いまは、遠征疲れで、兵士を休息させたいけれど、ユンドへの食糧輸送は継続したいと。

 レクレンはルッカ領で商人を育てたいが、その人材が見出せないと話す。 


 ユンドで大人達に性玩具にさせられた子供達の現状を尋ねる。

 ゾエド地区の森林に囲まれた静かな施設で、男女別々の場所で生活をしていると。


 軍人らに性奴隷にされた娘達は一旦、ゾエド地区の森林の中に、施設を建て住まわせていると。

 一部がアマゾネス隊に入隊したと。

 男を恐れる娘には、なにか自立させたいので、職を話しているという。


 あゆみは、その施設に行かなくてよいかと尋ねる。

 レクレンも一緒なら、行きますかと聞く。

 レクレンと一緒なら行ってみたいとあゆみは言う。


 最後に、レクレンの下で働いているエリアがクラム領主の準男爵の2女と分かったと言った。

 ルッカ軍は王都の討伐隊8千をゾエド領で殲滅した。

 その時の宮廷女官の2人の1人にエリアがいて。レクレンの元にした。

 あゆみは、クラム領地域までルッカ領に組み入れたら、里帰りを実現させるかと話す。


 

 ゴエム行政官からソルラン国についての情報を聞く。


 王都は徐々に衰退傾向にあると。

 物資の流れが王都ではなく、ルッカ領ミシア地区商いの町ユエルが中心になっていると。


 商人の運搬も、ルッカ街道を通って、レクレン街道でルッカ町経由でカルーム国へと流通道路になっていると。


 周辺領の農作物、工芸品、衣類などの商品も、ユエル町に集中的に集まって、商人同士が商品の取引でも、ルッカ硬貨が使われていると話す。


 ソルラン国の各領地からの出荷も王都へではなく、ミシア地区商人の町ユエルに農産物が集中し、町の活気は溢れると。

 その影響で王都は物資の不足が目立ってきているとか。


 硬貨の相場についても、

  鉄硬貨10枚で、小銀貨1枚

 小銀貨5枚で、大銀貨1枚

 大銀貨5枚で、小金貨1枚

 小金貨5枚で、大金貨1枚

 と商い相場になっているという。

 砂金・銀粒とルッカ金貨・銀貨との両替はミシア行政所とルッカ町2カ所で行っているので、継続すると。

 ゴエム行政官はこれほどまでルッカ硬貨の貨幣が流通するとは想像できなかったと感銘を述べる。


 ルッカ領外について、


 ガルシュ地区境のルラン領から領民の移住希望は出ていないと話す。

 ミシア地区境のスクル領から領民の移住が増えつつあって、問題が表面化しそうと話す。


 移住希望したスクル領民達は皆痩せこけている状態で、ルッカ領を手本にする気がないようだと。

 現実、ルッカ領3カ所に囲まれたクレミン領の3分の1はルッカ領に組み入れた。


 ルッカ領の生産性が向上した一因が、鉄製農具の普及にある。

 耕作するのに農耕が捗ってきている。

 土壌改良も進んで、肥えた土地になりつつあると、嬉しい報告も聞けた。


 あゆみは行政官の人材について、

 領内、領外からこれぞという人材を見つけ出したいことを話す。

 いずれ、ソルラン国を制圧するかもしれないので、その時の地区を管轄する人材がほしいと話す。


 あゆみはそう遠くないうちに、ソルラン国を制圧し、ユンドの隣国チェンアルク国への奴隷交渉をしないといけない。


 できるだけソルラン軍を結成したいと考える。


 そのためにユンドの復興の見通し、ソルラン人による軍隊の増設を考える。


 ユンドもそうだが、ソルラン国にも象徴的な王族があってもと考え始めた。


 あゆみはルッカ町の職人に試作を依頼した水車を見に行く。

 だいたい完成しているので、川に設置させた。

 川から水車のマスに川の水がくみ上げられ、用水路に川の水が流れ出した。

 ルッカ町民は喜んだ。


 そう、まだこの世界には水車というのが存在しない。


 できる限り増産して、一部をユンドに送りたいと話す。

 ユンドに水車が設置されれば、ユフトテ都市のイモ以外にも、別の主食が耕作できるかもしれないと考える。

 

 ヨシア第2隊長に設置に行かせることを考える。

 でもよくも期待以上の水車の試作成功した者達に小金貨を渡した。


 あゆみは全兵士に、金貨を配ることを考えていた。

 できるだけ大金貨を配りたいとレクレンに打診をした。

 レクレンは全員分に大金貨を手配すると言ってくれたので嬉しくなった。


 あゆみはクルル第1隊長の兵士達から感謝を述べる。

 ヨシア第2隊長、ロルナ第3隊長にも、それぞれ順次感謝を述べた。

 まだ、奴隷は解放していないチェンアルクへ遠征に行くことも宣言する。


 あゆみは、クルル第1隊長、ヨシア第2隊長、ロルナ第3隊長を引き連れて、武器の開発施設に向かう。

 ユンドの戦争に開発部門も研究成果を称えたいとも考える。

 武器の開発施設に全員、小金貨を贈呈した。

 特に責任者には大金貨を贈呈した。


 次に兵站を担当した部隊にも、まだユンドの輸送を継続している兵士らに改めても感謝を述べた。


 あゆみはゼルシア地区に来ていたホルム元少尉にもあった。

 すっかり学者、教育者らしい雰囲気を漂わせていた。

 教える本が少ないので、中々難儀をしていることを述べた。

 この世界、活版印刷がないので、手書きの模写なのだ。

 ホルムに活字印刷の話をする。

 ピンと来ないらしい。


 あゆみはレロ鉄鉱山の職人に文字を逆さまにした物の作成をするので、書籍の増刷が出来るかも知れないと話す。

 ホルムは喜んだ。


 あゆみは兵士と教育者とどちらが良いか聞いてみた。

 ホルン元少尉は片膝を折って、自分の才能を引き出してくれたあゆみに改めて感謝を示した。


 あゆみはホルムに、幼い子には魚の絵を描き、裏でも魚の文字を見せて、実生活に直結した絵柄で、識字率を上げないのかと聞いてみた。

 絵柄から覚えた文字が、子から親に自然と覚えていくのではなのかと。

 子供が文字を覚えると、段々楽しく覚えるようではないのかと。


 ホルムは確かに、教え方の一方通行のようでした。

 改善を加えると。

 学校=寺子屋的で、街に出向いて、文字に興味を持ってもらい、寺子屋を増やしたいと。


 文字が読めるという生きがいと、実際に本を持って、この本も読めるとか実技にあったことはしているのかと。


 子供の好奇心が薄れては。文字を覚える思考が低下する。

 レクレン殿の周辺では、識字率が高い。

 そのことも方法なども知るべきではないかと。


 あゆみはホルムを激励した反動で萎縮した雰囲気。

 まだ、課題は多いので改善しますと言っていた。


 なんだ役所仕事の答え方だった。

 あゆみはそのまま、推移することにした。

 

 あゆみはレロ鉱山の職人に、文字の逆さまの印判を依頼した。

 サイズも最初が完成することが大事なので、大きめに逆さま文字を図柄に書いて伝達させた。

 印刷するのに、濃いめのインクの依頼をルッカ町に聞き込みもした。

 布の染料に似ているのでも、活用できないか、できれば黒がいいと付け加える。


 

 あゆみとレクレンはゾエド地区の子供の施設、娘の施設を行くことになった。

 まず旧ミシア領館の近隣にあるユンド国の書籍保管施設に向かった。


 マルチド都市から連れてきたゾエル。

 フムライノ都市から書籍と付録で連れてきたダガノ。

 ユフトテ都市から連れてきたルッカ少女。

 そして、新たに帝都アルソミアから連れてきた4人にもに会った。


 レクレンは暇が出来ると、ルッカ少女に会いに来ていたらしいので、ルッカは嬉しそう。

 あゆみは子供好きではないので、どことなくよそよそしい。


「ザエン様、本当に、帝都まで進軍したのでね」

 ゾエルは述べた。


「ザエン様、帝都の恩師を連れて来て下さり、本当に嬉しいです」

 ダガノは言う。


「そうそう。4人にユンドの名でなく、こっち風の名を使ってもらいたが、不満あるかな?」


「いいや、私はこのようなユンド図書を収集されて、本当に感謝しかない。

 ザエン様にお任せします」


 ルッカは人数分の飲み物を運んでいた。


「ルッカ、気が利くな」

 あゆみが言うと、ルッカははにかんだ。

 でも嬉しそうだ。


「それじゃ、ダガノの恩師にはルリセンで、3人にはモルカ、セグノに、ラントで決まりだ」

 4人はそれぞれの名を暗唱していた。


 暫く雑談して、レクレンとルッカは別の部屋に行った。


「お主達に、ユンドの隣国、ミシェ、マエロ、ベロニアのことを知りたいのだが?」


「ザエン様は、チェンアルクへ進軍するのですね」


「帝都には上位貴族連中がごっそり隣国へ行って、屋敷はもぬけのカラだった。

 よほど隣国との繋がりが強いらしい」


「ザエン様の、おっしゃる通り、縁戚関係が深く、4カ国との繋がりは強いです」

 ルリセンが述べる。


「帝都を攻撃した時のルッカ軍の圧倒的な武器では、4カ国が一斉に大軍が押し寄せても、無駄ジニしか思いません」

 帝都図書館にいた3人の1人、ラントは言う。


「ザエン様、1つ聞いても良いですか?」

 ルリセンが聞く。


「ユンドをどのように統治するおつもりですか?」


「ルッカ軍はユンドを支配するつもりはないが、ユンドの人材を選んで、その地域の行政官を任命している。

 ユンドの民を優先にする者達だ。

 貴族とか特権階級をちらつかせる者ではなく、民の目線で物事を勧める人材がほしいのだ」


「ユンドを統治する考えを持たないなら、ユンド人と繋がりのある象徴的な王族を迎えたらどうですか?」

 帝都の弟子3人の1人、ラントが進言する。


「もし、隣国からユンド人の血の入った王族を迎えられたら、ユンドは安定します。

 よりチェンアルクの攻略が容易かと進言します」

 モルカはあつみに膝を折って述べた。


「ザエン様、私も考えを述べても、よろしいですか?」

 マルチド都市から連れてきたゾエルも臣下の礼に習って述べる。


「私は王族でも、男系の王族系統ではミシェ国からでしょう。

 マエロ国やベロニア国、シュレカ国に嫁いだ王女系を具申します。

 ユンド国の王女が嫁いだ3カ国なら、二度と覇権の思考は起きないと存じます」

 ソエルは進言する。


「ミシェ国から王族を迎えると、いつか統一を考える者ができるかもしれません。

 貴族を含め、繋がりは強いので、ゾエルの考えが最善かもしれませぬ」

 ルリセンがいう。


「ミシェ国には軍隊20万はいるかと思います。

 もしザエン様がチェンアルクへ進軍したら、同盟関係を結んでいるので、側面から攻撃するかも知れません。

 マエロ国はおよそ15万人の兵力が存在します。

 ザエン様がミシェ国と紛争が起きると、同盟関係でマエロ軍の参戦もあります。

 ベロニア国は20万ほどの軍隊があると聞きました。

 貴族の一部が逃れたので、身柄引き渡しの交渉がこじれるかも知れません。

 シュレカ国には10万程の軍隊がいますが、ルッカ軍に敵対はないと存じます。

 一部貴族が逃れたと聞きます。

 交渉次第です」

  ラントは述べた。


「だいぶ、情報を得られた。感謝する。

 確かに、ユンドの象徴的な存在は必要だな。

 参考にさせてもらうぞ」


 カルーム国とシュレカ国を結ぶ基幹道路が建設に向かう方向になったので、もう暫く待ってほしいとあゆみは言い訳めいたことを述べる。

 あゆみは一刻も早く道路を完成し、大規模な書籍の施設を建設をしたいのだ。

 そのために、ユンドの道路責任者ラクゼに期待をしている。



 レクレンと子供の施設を目指す。

 ゾエド地区の森林の奥に、男女別々の施設があった。


 そのずっと奥に性奴隷にされた娘達の施設もある。


 レクレンの姿を見ると、男女の子供達が駆け寄って、嬉しがった。

 あゆみはその後方でその様子を見ていた。

 あゆみは都市攻略で見せた姿を子供達に焼き付いているかも知れないと考えて、遠見にした。

 レクレンは子供達に、お菓子や衣服など持ってきていた。


 次に性奴隷された娘の施設に向かった。

 娘達に、何か技術を習得させる工夫をしているという。

 刺繍、裁縫、機織り、パン作り、炭つくり、紙すき、陶芸などを選ばせているという。

 娘達の様子は、まだ暗そうだ。

 まだ時間がかかりそうだ。

 急ぐ必要もない。


 あゆみは施設を見て、ほっと役目を終えた気分になった。


 歪んだ性奴隷にされた青年達は、それぞれ、本人の希望に添って、それぞれの職に就いていると聞かされた。


 もしハルローゼンへ里帰りの時、ルッカ少女を連れてって、見聞させたいと話す。

 レクレンも同意した。









 






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