第91話 ユンド国アルドア攻略

 あゆみとヨシア第2大隊で、帝都に近いアルドア都市に向かっている。

 ルッカ領からの兵站が延びて、ヨシアらは大忙しだ。

 ロルナ第3大隊分の兵站補給。

 クルル第1大隊分の兵站補給と、

 一度アマゾネス隊はルッカ領ノエノ地区に戻った。

 攻略したアルモッチへの食糧支援依頼を進め、その準備も進めている。

 そして、再度ソルミ都市をめざし出撃を開始した。


 最初にアマゾネス隊がアルモッチを陥落。

 ロルナ第3大隊がクレアムスを攻略。

 クルル第1大隊はマカドールへ進軍中。

 再度アマゾネス隊はミシェ国境に接しるソルミ都市へ進軍した。


 そして、あゆみとヨシア第2大隊はアルドアを目指している。



 ユンド帝都以外、ルッカ軍は4都市の制圧に向かっている。

 この4都市が陥落すると、帝都のみになってしまう。


 アルドア都市周辺の広範囲から狭めて、ユンド人を狩っていく手法。

 胴体の素材集めが別動隊の任務の一つ。


 アルドア都市、人口10万、避難人5万を抱えている。

 斥候の情報だとユンド軍1万5千が駐屯しているとか。

 帝都の継ぐ大都市には違いない。

 すでに周辺諸国はユンド人の入国を禁止している。

 彷徨うユンド人達だ。

 ルッカ軍に狩られて死ぬか。一途の希望で都市へ避難か、それとも野垂れ死にか。


 別動隊に攻撃するユンド部隊が複数攻撃を仕掛けてきていた。

 噂には聞いていたが、初めてユンド兵は炸裂矢に射られて体験する。

 普通ならかすり傷程度でも炸裂矢に射られると、破裂した皮膚の一部がすっ飛び恐怖する。

 逃れなくなり、脱落する。

 射程は長くはないが、ルッカ軍は普通の矢も射るので、油断ができない。

 徐々に攻撃部隊の数が減り、最後は貴重な胴体に変身される。


 アルドア都市を遠巻きに、徐々に狭められた。

 もう逃げられない事実。

 

 行軍で少しづつ、壮大なアルドア都市が見えてきた。

 長い城壁、2重壁のようだ。

 立派な城門。

 建物も繁栄を凌駕した象徴にも見えた。

 帝都に継ぐ第2の都市だけはある。


 あゆみはこういう技術もユンド人にはあるのかと。

 そういう職人も確保したいとかも考える。


 遠方のアルドア都市からもルッカ軍が見えたらしい。


 こちらの向けてユンド軍が突撃してきた。

 1万3千ほどか。


 あゆみ軍は、弓矢部隊を前列に並び、

 その前衛に、炸裂矢部隊の配置をする。

 兵士も全員弓を構えた。


 弓の射程距離で発射。

 炸裂矢射程内で発射と。面白いほどに突撃兵の突撃数が減る。

 途中で脱落した兵士多数。

 圧倒的な炸裂矢の威力。


 後は戦意喪失した敵兵を殺すだけの単純作業に、新兵が駆り出される。

 戦死した兵士から武器装備品を剥ぎ取り、胴体だけにさせた。

 胴体だけ荷台に詰め込み。

 行軍が開始された。



 ルッカ軍の投石機、大型弓座の射程範囲に入った。

 ルッカ軍は4方向に攻撃陣形を。


 そこに1人の乗馬騎士が出てきた。



「フムライノ都市で一騎打ちをした者と勝負がしたい!」

 立派な出で立ちだ。


「その者と勝負してどうする?」



「その者に、どうして衣服も剥ぎ取らず、そのままにしたのか?」


「くださないことだ。死んだ者のアトを追うように、死を追随した兵士が多かったからだ」



「もし、私は死んだら、同じようにするか?」



「しないな。お前は、兵士に慕われる器には見えん」



 アッシ=ミケル将軍はあゆみの方へ斬り込む構えで進む。


 あゆみはニタリとした。


 敵兵は乗馬で、あゆみは駿足で、相対峙した。



 すれ違った瞬間、ミケル将軍の肩腕と首が落ちた。


「中々、よい馬が手に入ったな」

 あゆみは嬉しそうで、馬の手綱を引いた。



「ザエン様、お見事です」

 ヨシアは感嘆した。


 死体から戦利品を回収し、胴体を有効活用にした。



「直ちに、ソルラン人を解放せよ!」

 ヨシアの透き通った声を発する。


 アルドア都市にも通常兵士がいるので、併せて3千はいるのか。

 城壁の上から矢を射ってくる。

 10万を抱える都市なので、城門とその周辺の城壁の破壊に終始する。

 あとは都市攻撃だ。


 潤沢に集まった胴体を4方から投下させる。

 都市内から悲鳴があちこちであがる。

 全部落とした所で、

 殺列爆弾の攻撃を開始された。

 弓部隊も城壁上にいる兵士を射る。


 2重の壁とあって、堅固だ。

 しかし、炸裂爆弾の威力で、城門も城壁も崩れかかる。


 あゆみはこの壁石を街道に利用できないかと考える。


 大型矢の威力で城門は破壊された。

 城門の周辺の城壁にも、崩れかけた。


 都市内の炸裂爆弾の威力。

 立派な建物も、破壊されていく。

 炸裂爆弾でどれだけの怪我人が多くでるのか、

 都市人口の数に劣るルッカ軍とは対峙する意味がなくなる。

 

 ヨシア第2大隊は3千程の部隊に、兵站も担当。斥候任務もあるので、少ない。

 でも大都市に攻撃できるほどの、爆弾の威力で、圧倒的優位には違いない。

 どれだけ戦意喪失をさせるかだ。

 都市の建物が3分1は壊れたようだ。


 2時間ほど、都市攻撃をした。

 城壁の矢を射る兵士も見えなくなる。



「我々は降伏する!

 攻撃をやめてくれ!」


 ついに白旗を掲げた者が出てきた。


「ソルラン人の解放からだ!」

 攻撃を続行。


 ソルラン国方向の壊れた城門から、ソルラン人が出てきた。

 およそ百人ほどか、男女の子供も10人ほどいる。

 どれだけユンド人はド変態なんだと。


「本当だ。降伏する!」


「確証、できないな」


「本当だ」


「じゃ。そこにいるだろう。

 皇族の者達を出せ!」


「それは無理だ」


「わかった」

 再び、攻撃を開始した。

 


 都市の3分2の建物は破壊されたようだ。


 攻撃を中止して、4カ所から動向を見る。




 あゆみは単独の突撃を考えた。

 久しぶりに思いっきり、殺力ができる。

 いい機会ではないかと。


 ヨシアに単独に、城内に潜入することを伝える。

 勿論、ヨシアはとめたが、あゆみに即拒否された。

 あゆみは戻ってくるまで、

 城外で取り囲んで待機すると伝えるのが精一杯だった。



 城門もその周辺の城壁も破壊されているので、通り抜け自由だ。


 あゆみは抜刀して、城内へ潜入した。


 見る者、立ちはだかる者を悉く、殺害し出した。


 途中で何本も剣を交換し、一番立派な建物を目指した。


 目標がないと、殺戮の余韻が台無しだ。


 あゆみに立ち向かう者など、ほとんどいない。

 

 久しぶりの単独活動は、やはり高揚が高まる。


 一番立派そうな建物も、堅固な建築物も崩れている。

 門番を殺害し、邸内に入る。

 いる者すべてを殺した。

 奥へ奥へと進む。

 立派な服装をした者達が15人いた。

 悲鳴が届いたのでだろう。

 あゆみを見ると身構えた。


「誰だ、汚い、出て行け!」

 あちこちから罵声が飛ぶ。


 あゆみは気にしないで、次々と斬首していく。

 子供もいたが気にしないで、刺し殺した。


 この主か、顔面蒼白。

 横の妻らしき者を斬首。

 声をあげられないほどの恐怖。

 チビッタらしい。

 下が濡れて出ている。


「待ってくれ、待ってくれ!」 

 その男がやっと発した。


 あゆみはその男の片手を落とした。


 15人いた者が1人になっている。

 部屋にはいる途中でも下男下女を沢山殺した。


 あゆみはその男の片足を落とした。

 再び、けたたましい叫び声だ。


 あゆみはその男の苦痛に満ちた絶望の顔が、段々青ざめてくる。

 2方向からの大量の出血。

 あゆみは死に行く面に飽きた。


 門からできる途中でも、沢山の住民を殺した。


 まだまだ。殺したりない!



 別の立派な建造物が居並ぶ地域に入った。

  

 皇族に繋がる者達の居場所か?


 あゆみはその地域で、一番荘厳な建物に向かった。


 門番が構えた。

 その瞬間。門番の首が落ちる。

 もう1人の門番が恐怖の満ちた顔をする。

 あゆみは腹から上に斬り上げた。

 ジャオー!

 まあ、後はゆっくり死ぬがよい。


 1階から荒らしていく。

 立派な剣が飾っているので、あゆみは手に取った。

 まずまずだな。


 早速、不法侵入者の征伐に、配下が集まってきた。

「狼藉者!」

 1人が斬りかかった。

 本当にスローモーションに見えてしまう。

 あゆみはその男の首筋を斬った。

 ドバー!と血吹雪があがり、あゆみはより高揚した。


 幾ら剣豪といっても、あゆみの相手にはならない。

 次から次へと斬られ、首が落とされる。

 床が一面血色に、滑りやすくなった。


 あゆみは部屋の場所を変える。

 後をついてくるように、一団も来る。

 歯応えがなさに、あゆみは不満気味。

 それでも、気持ち良く。相手にダメージを与えると、

 反応するように、血が吹き出る。

 遊ぶながら殺していく。

 最後の1人には。両手を切り落とした。

 両方から血が吹き出て、男は床に崩れた。


 下男下女も殺した。

 1階は制圧したようだ。


 2階へ向かう。

 階段で待ち構えたように、上段から降りてきた。

 あゆみに腹を斬られて下へ転げ落ちる。


 どうやら1カ所に固まっているらしい。


「無礼者!。

 下がれ!。

 下世話が来る場所ではない!」

 大声で出した男に、あゆみは短剣を投げ、喉を突き刺す。

 首筋から血吹雪が吹き出て、周囲の者は悲鳴をあげる。


 一番悲鳴の大きな女を瞬殺。

 首が落ち、血吹雪が舞い上がる。


 10人の顔々が恐怖そのもの。

 あゆみは1人1人づつ、斬首をする。

 子供でも躊躇うことはない。

 最後の一番の主らしき1人になった。

 家族が次々と殺される様を傍観するしかない。

 空しさ、苛立ち。

 悲鳴すら、上げられないほど。


「どうだ、家族が殺される様は、

 お前達は平気でソルラン人を奴隷に、

 家族をバラバラに、

 どれだけ不幸にさせた。

 ちっぽけな帝国とやらのために、

 どれだけソルラン人を奴隷にした!」


 あゆみはその男の片腕を落とした。

 ジャーオッ!

 爽快感あるけたたましさが響く。


 

 今日はここまでにするか。

 あゆみは剣の血を拭った。

 男の後方に、また立派な剣を見つけた。

 あゆみは蹲った男の首に拭った剣を突き降ろした。


 新しい剣を持って、屋敷から出た。


 死体が累々と横たわる道を、あゆみは下りていった。


 包囲しながら、少しづつ殺していくのも、

 楽しみになってきた。


 大満足だ。



 アルドア都市が完全降伏するまで、あゆみは楽しい時間を過ごしていた。

 殺しても殺しても、合法な社会。

 強い者だけに与えれた理不尽の社会。

 

 あゆみは大満足な日々過ごしながら、アルドア都市の中枢の権力者達が次々と殺し続けた。

 皇帝の権力で絶対的地位を占めてた者達らが暗殺し続けたのか、ついに完全降伏を言ってきた。

 まだ軍部の者、皇帝の親類筋らが存命らしいので、完全降伏を信用するわけにいかない。


 あゆみの楽しい時間は、まだ当分続いた。



 あゆみ達は、急いで攻略する必要もないのだ。

 長期遠征の準備をしているので、兵站も万全。

 外の攻略軍との動向を掴みつつ、いるのだ。


 ロルナ第3大隊がクレアムスを。

 クルル第1大隊はマカトールへ。

 アマゾネス隊はミシェ国境に接しるソルミ都市へ。

 そして、あゆみとヨシア第2大隊はアルドアを。


 残るのはユンド国帝都アルソミアのみなのだ。


 小規模の別動隊にはチェンアルク沿いから帝都へ。

 別部隊にもミシェ国沿いから帝都へと落ち武者狩りをさせている。


 あゆみの神出鬼没で、高級住宅地から主らは、別の居場所に移動したらしい。

 それでも、あゆみの殺しへの衝動で、ドンドン住民の被害が出る。

 軍部施設にも、厳重に警護をしているが、あゆみには無用。

 軍人らも匿まわれた貴族達も次々と惨殺され尽くされる。

 遠慮の要らない殺し。

 何ら躊躇うことなく殺戮。 

 沢山いた兵士の数が激減。

 



 ついに、

 アルドア都市は沢山の住民らが城外に出て、膝をついた。



 兵士達を城外に出させ、全員殺した。



 ほとんど怪我がしていたが

 ソルラン人を数百人の保護ができた。

 子供も含まれている。

 




 

 繁栄を誇った都市がたった3千人ほどの部隊に、敗退・陥落した。














 






 



 

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