第89話 ユンド国アルモッチ攻略

 前回あゆみも参加し、アマゾネス隊単独でベロニア国と隣接するユンド国グルフィ都市の城門、城壁を完全破壊した。 

 その後方の都市アルモッチにアマゾネス隊は向かっている。

 都市グルフィと同様に城門、城壁を破壊し、都市にも炸裂爆弾を投下する。

 都市内には突撃はしないが、都市に甚大な被害をもたらせたい。

 いつでも攻撃できると思わせるだけでよい作戦だ。


 すでにユンド国を取り巻く周辺諸国はユンド人の入国を禁止している。

 行き場の失った拠点の行きつく都市アルモッチ。

 さぞかし沢山の難民が押し掛けていることか。


 ここをルッカ軍に攻略されると、隣国ベロニア国境と切り離されてしまう。

 ユンド帝国に取って重要な拠点の1つ。


 アマゾネス隊は3千3百にも膨れ上がった。

 ただの普通な娘達が、ある日突然、ユンド兵に家族と引き裂かれ、連れ去られた場所は奴隷市場。

 そこで線引きされ、軍人に目の留まった娘達を性奴隷として、軍人達にあてがわれた。

 一部は商人に売られたりした。

 また、ユンド兵を恐れて、ノエノ領・ホルダ領から後方へ避難した娘達の入隊もある。


 都市アルモッチは人口3万ほどだったが、難民で7万人になっていた。

 食糧支援は隣国ベロニア国からミシェ国よりの砂金との取引で賄っている。

 しかし、都市の財政はドン底に近く、最悪の状況下にある。

 そんな時、突然、城門・城壁に大音響ととも門が壁が炸裂した。

 都市アルモッチ周辺のユンド人は刈り尽くされていた。


 都市にも殺列爆弾が小石が四方に飛び、ユンド人達を傷つけた。

 四方から都市爆弾で、都市住民はどこにも逃げ場がない絶望感を襲った。

 城内から白旗を掲げた男が

「いま、全てソルラン人を解放する。

 待ってくれ!。

 攻撃しないでくれ!」

 

 アマゾネス隊は攻撃を中止した。


 暫くたって、ソルラン人らしい者達は城門から出てきた。


 以前ソルラン人を盾にして、攻撃を受けたので、アマゾネス隊は警戒する。



 子供含めて30人ほどが出てきた。


「おれらは、ルッカ軍に降伏する。

 だから、命だけもで助けてくれ!」


「まず、軍人を城門から出させろ!」


 2千人近い兵士らが城門から出てきた。

 怪我人多数だ。


「お前達は、ソルラン人を奴隷として、娘は性奴隷としたクズ野郎だ!」

 モエカ隊長の号令の元、一斉に殺列爆弾付矢が放たれた。

 当たったカ所が破裂し、兵士達は蠢いた。

 情けをかける必要もないので、ドンドン城内から傍観していても、兵士を崩して行った。


「次は、執行官達を出せ!。

 責任の重大さを思い知れ!」


 ロエール副隊長が投石の開始を出す。

 再び、都市に炸裂爆弾が落とされた。


「待ってくれ!。

 住民には危害加えないと保証してくれ!。

 頼む!。

 もう何処にも行けないユンド人達だ!。

 どうか、慈悲をお願いできないだろうか」

 城門から白旗を掲げた、痩せこけた青年が出てきた。


 珍しく栄養状態がよい。

 どれだけ食糧がなかったか、その男で理解した。

 さっき殺した兵士達は痩せていなかった。


「どうして、お前は痩せている?」


「食糧が十分でないので、外の者に与えていました」


 モエカ隊長はふと考えた。

 以前、あゆみのもとへ、ユンド自治区の抗議しに行った時、

 痩せたユンド人を見せたときと同じ感覚をした。


 隊長は兵士に射のをやめさせた。


 その男を身柄確保させた。


「お前!、兵士の上官はどうした?」


「隠れています」


「お前、何日食べていない?」


「5日になります」


 どうも本当らしい。


「奴隷はこの者達で全部か?」


「私は、奴隷の存在は知りませんでした」


「ほう、何故奴隷が出てきた?」


「上官が、出すように兵士に命令したからです」


「ずっと、お前達は、ソルラン人を奴隷にして、国家の繁栄を得たではないか」


「帝国が奴隷で繁栄しても、都市グルフィは財政が豊かでしたので、なんら恩恵は受けていません」


「でも、黙認したのか?」


「楯突けば、ハルローゼン国方面の2都市のように、軍部から弾圧を受けます」


「お前が、この都市の執行官か?」


 どうも直感的判断だと、違う。

 モエカ隊長は、まあよいと感じた。


「お前達は、ソルラン人を奴隷にしたように、お前を下僕させるぞ」

 モエカ隊長はあゆみに引き合わせたいと思い始めた。


「外に、お前みたいに、食糧を分け与え、自身が痩せこけた者はおるか?」


「はい、2人ほど、いますが。殺すのですか?」


「死ぬ覚悟で、ここから呼んで、来させろ!」


 男は、立ち上がって、アルモッチに向かって、叫んだ。


 2人の命の代償に、住民が殺される人数が減るとのべた。


 死を覚悟した2人は、こちらに向かってきた。


 確かに2人も痩せこけている。


 3人を拘束した。



「どうして、殺さない!」

 ロエール副隊長が言った。



「実はな。ユンド自治区の件で、伺った時、

 同じような痩せこけたユンド人がいてな。

 その都市は長年、奴隷反対で帝都から弾圧で、食糧支援もなく、あのような悲惨だった。

 その者が、ザエン様には尊敬な憧憬に近い忠誠心をみせた。

 もしやと思って、ザエン様に引き合わせて、従属契約で絶対服従させてはどうかと考えたのだ。

 この広大な土地をどう管理するか。

 ザエン様の手助けになる人材かと直感で感じたのだ」


「隊長が、そうのようなお考えなら、ザエン様のあわせたですね」

 ロエール副隊長も納得した。




「お前達は、ユンド人が殺される理由は、ソルラン人を奴隷狩りにし、軍部が性奴隷をしていた。

 お前達は、軍部の暴走を放置した。

 沢山のソルラン人が家族から引き離され、奴隷に他国へ売られていくソルラン人を考え方ことがあるか。

 いまも、城内で軍人をかばって、命乞いか、

 絶対にユンド人を殺すしかない。

 お前達は軍人を守り、そのお前達が守る価値があるのか。

 軍人と一緒に殺されたいのなら、これから都市を破壊尽くす。

 どれだけ住民が死のうが、怪我をしようが、お前達は軍人を守ったのだから、本望だろう。

 少し、考える時間をあげる。

 10分経過したら、都市破壊を実行する!」


 モエカ隊長の透き通る声だった。



 10分頃、

 大勢の怪我した住民と共に、軍人達30人と性奴隷5人連れて、城外に出た。


「この者達で,軍人は全てです。

 部屋に閉じ込められたソルラン人も連れてきました」


「こいつら、全員が軍人か?」


「いいえ、ここの者は執行官です。

 奴隷に加担した者もいます」


 縛られた軍人。

 膝を屈して、許しを乞うように大勢の怪我した住民達。



 ロエール副隊長らは縛られた者達を荷馬車の後ろに繋いだ。

 馬車の移動と共に歩かせるらしい。

 救出されたソルラン人達は別の馬車に乗せる。


「ここは、ルッカ領になった。

 暫く、そのままで暮らせ。

 ルッカ領から食糧支援等を運ばれる。

 それまで、我慢し、凌げ!」

 モエカ隊長は言った。




「そろそろ、引き上げるか」

 モエカ隊長は言った。




途中で、30人分の穴を掘った。

両手両足を縛られたまま、生きながら埋めた。




アマゾネス隊がアルモッチ都市を攻略したことにより、ミシェ国境に到達した。

また、ユンド帝国はベロニア国との退路を断たれた。

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