第8話 山賊狩りで知識を得る

 あゆみの手下になった15名は渋々と出立した。

 昨日も入浴できたので、あゆみは機嫌が良い。

 手下達は死の恐怖を意識してか、会話が少ない。

 言葉が少ない分、速めに目的地に着く。



「あの山の下にアジトがあります」

 ヨシアが道案内をした。

 以前、農作物を交換したとか。

 なんだか、親近感があるらしい。

 総勢20人ぐらいで、やはり農家の次男以下の者ばかりのようだ。

 ソルラン国には元兵士あがりの盗賊はいないようだ。

 あゆみからしたら、仲良しごっこの集団で、時々近隣に出稼ぎ盗賊する稼業か。


 さっそく、あゆみの考案した弓の披露だ。

「あそこを射ろ!」

 少しずれで、たむろしている男の腕に射った。

「痛え!」

 射られた男は、転び回る。


「降伏か死か、選べ!」

 あゆみは大声を出す。

 あちこちから人が湧いて出る。

「ほう、命知らずが」

 長身の男が向かってくる。

 あゆみは滑りながら、男の両足を切断する。

 血が2カ所から流れる。

「畜生!」

 3人が一斉に向かってくる。

 あゆみは鞘で3人を殴って、気力を削ぐ。

「まだ、いるか。元気のいい奴は!」

 さすがに、手出しする者はいない。


「ロルナ頭、私ですよ。ヨシアですよ」

「ほう、ヨシアか」

 引きずった顔が、ほぐれる。

 ヨシアはいままでの成り行きを説明する。


 その間、あゆみは腕を射られた者と両足を切断させた者に。

 まだ、人殺しの経験のない手下に、トドメを刺させた。

 ロルナ山賊らはあゆみと隷属契約をした。

 山賊らの頭上に、円径模様が出現し、消滅した。

 男11人、女3人。


 屋敷の中にも、めぼしい物がない。

 食べるのにこと欠いているようだ。

 貧乏山賊か。

 持って行ける物は、全部荷馬車に詰め込んだ。

 詰め込めなかった物は、手下達に持たせた。

 手下に乗馬させて、獣狩りをするように指示を出す。


 あゆみはロルナに、周辺の知識を聞く。

 作物の話、

 産業になる案。

 元手下の能力

 を聞いた。


 この先の川の向こうが、あゆみが目指したカルーム国とか。

 商人の荷馬車を襲撃した時、イモを少し残している。耕作に適しているとか。

 手下に器用な者が木工細工を作ったとか。

 武器を修理する者がいるとか。


 衣服を織る道具は見たことは? 見たことがない。

 陶器を焼く者は?  趣味で作った者がいる。


 少しは文化的な生活に近づきそうだ。

 農機具の改良を考案し、住宅の骨組みのヒントを得る。


  3人の元頭と手下が増えた。

 10人の隊を3隊に編成。

 それぞれ稽古をして、鍛える。

 鍛冶職人も。

 陶器職人も1人。

 手先の器用な者も。

確保ができた。


 手先の器用な者達に、機織りの機械を作らせた。

 紙をすくう器具も作成させたい。

 陶器の窯も作りたい。

 衣服の材料集め。

 紙の材料も集め。

 元商人の娘、レクレンには財政担当してもらうか。

 雑用の男女も必要だ。


 



 

 

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