第7話 周辺の情勢と夢の計画
「ヨシア、この地域の領主は?」
「ゼルシア子爵様です」
「どういう人物だ?」
「温厚の人物です」
「ここに居を構えたら、どう出る」
「会談の使者が来られると思います」
「この地域の産業は?」
「何もありません」
それから、あゆみはヨシアに問いかけた。
ヨシアの手の者に、
鍛冶屋は? 農具の修理程度です。
陶器は? 土器を作る程度なら。
衣服を織る者は? たまに商い荷馬車の時、ブツブツ交換をしてます。
手先の器用な者は? 2人います。
あゆみの快適な生活は遠いようだ。
前世の知識で、何かを始めないと、原始生活になりかねない。
昨日、元商人の娘、レクレンから衣服を織る道具を見たことがあると。
衣服の原材料は木の皮、植物の葉っぱとか。
あゆみの前世でも、ミツマタの木が紙幣の紙になるとか聞いた記憶が。
陶磁器の釜も見たと。
地域ごとの特産品もあると。
外の5人の女にも、何か特技があるか、聞いてみた。
一人が、機織りをしていたとか。長い葉を水に浸けて、植物繊維で織るとか。
希望が持てる。
別の一人は、木の皮でほどいて、茹でて、枠に入れて、紙を作っていたとか。
ますます産業の希望がでる。
残りの3人は、特技がないので、家事手伝いなどに従事させるとか思案する。
あゆみはクルル、ヨシア、元商人の娘レクレンに、地面に町の図面を描いた。
「ほう、町の」
「宿屋も食料品店や衣服店や小物雑貨店とか商人の店、鍛冶屋も、この辺が住居地区と・・・・・」
あゆみは夢を語った。
「まず、おおよその区画を決めて、周辺を整備したいんだ」
「なかなか大事業ですな」
「産業も起こして、流通を促したい」
「産業を起こす?」
「目新しい商品を作るか、新たな農作物を耕作するか、冬に備え備蓄できる作物も欲しい」
「ユンド国に隣接するハルローゼン国には、冬場でも食べられる保存食があります」
レクレンは身を乗り出した。
向こうの出か?。
「この辺の冬場は、何を食べている?」
「木の皮や、狩猟で肉を、野菜を塩付で保存し、食べます」
柵の整備と、住居の建設から考える。
鍛冶屋の腕で、木を切り出す道具を、不要な剣や金属など溶かせて、農耕地域で作業させた。
手先の器用な者2名には、あゆみが考案した武器を作らせた。
剣術が苦手でも、形状の短い弓に、反動を利用した矢で射る。
一方で、獣の肉を干し肉にして、保存食を促す。
あゆみの快適生活からほど遠い現実を想像した。
できることから、しないとな。
「明日、15人ぐらいで、先の山賊狩りをする」
「えっ!」
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