第二
真灼大師は、
星辰の正しき時、真灼大師は身より煌々たる暗光を放たれ、十方を無量無辺に遍照され、空には厚く鬱屈とした雲が大きく掛かり、次第に雷鳴が轟き始めました。大師は神床の大前に跪かれると、
その肌は雪花石膏の如く白く、肉欲的な赤い唇と全てを見透かす
斯くして大姫神の周囲には宇宙的な闇と、真紅に光る霧が立ち出でて、天使の一人たりとも立ち入る事は叶いません。日本国中の悪鬼悪靈、魑魅魍魎が、これからお産まれになる神と、その父と、三柱の神々の名に、頭を垂れて蹲い、等しく無量の歓喜を受け、
大師たちの為に馳せ参じた、怨讎を湛えた三対の腕と、大蛇の下半身を持つ姦姦蛇螺と云う異形は、次のように告げました。
「畏れるべし。古今未曾有の事を
美髏灑大姫神は脚を開かれ、その陰部から少しずつ、幼子の姿の神が誕生されました。
「
何処とも問わず、狗たちが一斉に遠吠えをしました。真灼大師と母なる神は、手を繋ぎ、そして離すと間から刀が一振り現れました。大師が子に翳すと即座に成長され、刀をお手に取り、八歩歩くと右手で天、左手で地を指され、天上天下唯我独尊と宣り給いました。
其処へこの宇宙で唯一、時の秘密を解き明かした偉大なる種族の一体がいらして、帝上炎尊大主啻魔貴満火刀大御神は、彼と共に過去へと旅立たれました。
空を覆っていた暗雲は払われ、雷鳴は静まり、微風が吹きました。また地上には安寧が戻り来て、ただ大御神の御降臨と御立ちを祝福し奉りました。
帝上炎尊記【邂逅降臨品】 夜依伯英 @Albion_U_N_Owen
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