第8話 ギャルの友達が出来ました
一方、そんな男子たちのやり取りを横目に、会話していた女子が二人。
「紐パン泥棒に、おっぱい魔人、ドM。はあ……。この学校にまともな男子はいないの?」
心愛は大きなため息を吐いた。
「紐パン泥棒に関しては冤罪でしょ? それに、まともな男子はいると思うわよ? 心愛の知ってる男子が変なだけで」
そう語るのは夏美だ。
「わたしの白馬の王子様はいつ現れるの!?」
「また言ってるよこの子……。そんなに白馬の王子様に出会いたいなら、自分から出会いに行かないと。待ってるだけじゃ白馬の王子様なんてやってこないわよ~」
「自分から出会うって……どうやって?」
「そこまではわからないわよ。……合コンとか?」
「合コンなんて行ったことないよ……」
「それは私もよ」
二人の間に、重い沈黙が訪れる。その時、
「――出会いが欲しいなら、アタシが協力してあげようか?」
二人の間に、一人の美少女が立ちはだかった。
「あなたは……」
突然現れた美少女に、心愛は視線を向けた。
まず目を惹かれたのはセミロングの金髪。毛先がワンカールの内巻きにされていて、オシャレな雰囲気だ。顔立ちも整っており、まつ毛が長く、ブロンズの瞳は透き通っていてとても綺麗だ。
制服の着こなしも絶妙で、校則違反にならない程度に着崩している。爪には薄くネイルが塗られていた。そして何よりも、夏美と同等レベルに大きく盛り上がった胸が、彼女の女としての魅力を引き立てている。
「ギャルだぁ……」
彼女の姿を見た第一印象はそれだった。
その美少女は、ギャルっぽい見た目をしていた。
「あなたはクラスメイトの――
夏美が確かめるようにそう呟いた。
「そう。アタシは
「あぁああああああああああ‼ もう広まってるぅううううううううううううう‼」
心愛は絶叫した。
「ナツ……ミン……?」
夏美は、独特な呼び方をされたことに困惑していた。
二人の顔を見た恋叶は、途端にけらけらと笑い出す。
「ふふ、紐パンSM女王って名前ウケるよね~! 意味はよくわかんないけど!」
腹を抱えて笑う恋叶を見て、心愛は頭を抱える。
「やめてぇ! その名前で呼ばれるの、わたしは望んでないから!」
「そうなの? 結構ウケるから良い呼び名だと思うんだけど?」
「ウケないから! これっぽっちもウケないから!」
「でもアタシ、あなたの名前知らないかも。あだ名の印象が強すぎて」
「心愛です! 春風心愛‼ どうか心愛とお呼びください‼」
土下座する勢いで、心愛は懇願した。そんな彼女の過剰反応に、恋叶はまたけらけらとしばらく笑う。
「心愛、心愛か~。じゃあ心愛っちって呼ぶね! 心愛っちとナツミン、よろしくね~!」
「呼び方は気になるけれど……。まあ、いいわ。こちらこそよろしく、恋叶」
そう言ったのは夏美だ。心愛はというと、
「ふわぁあああああああ。わたし、紐パンSM女王とかじゃなくて、心愛っちとかそういう普通のあだ名で呼ばれることに憧れがあったんだよ! 感動……‼」
心愛っちと呼ばれただけなのに、彼女は何か特別なサプライズでもされたかのようにはしゃぎ、喜んでいた。
「ぷはっ。心愛っちってば超ウケる! めちゃおもしれー女じゃん!」
心愛の大袈裟な反応がツボなのか、恋叶は何度もけらけらと笑っていた。
「心愛っち、アタシと友達なろうよ。あんたマジウケるわ」
「えぇ!? 友達! めっちゃ欲しい‼ 友達、なろう‼」
「くくっ。マジウケる……! 友達になろって言っただけでそんな反応する?」
「だってわたし、もう高校じゃ友達出来ないと思ってたからぁ! 泣きそうなくらい嬉しいよぉ‼」
「ぷはっ。ちょっ、マジでムリ……! 笑い死ぬ……‼」
どうやら、心愛の存在は完全に恋叶のツボに入ったらしい。
しばらくの間、恋叶は笑い続けていた。ようやく笑いがおさまったタイミングで、夏美が切り出す。
「――それで、出会いが欲しいなら協力してあげるってどういうこと?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます