第4話 魔王なんてもう二度とごめんだ!

 俺たちがこんなやりとりをしていると、俺が魔法でボコボコにしていたやつが声を上げたが変態が遮った。


「お前、調子に」


「うるさい! この方を、どなたと心得る! かの有名な、魔王様! ハンマド様で」


「お前のほうが、うるさい」


「はい! そうですとも。私めが、うるさいのです!」


 こいつ、やっぱ。うるさい。しかし、あんまり目立ちたくなかったのだが、案の定目立ちまくっていた。


 納得がいかなかったらしいボコボコにしたやつが、また何かを言いかけていたが変態が遮った。


「俺は、貴族だぞ! 俺に怪我させてただで済むと」


「うるさいぞ。いいか、魔王様が本気を出せばこんな街一つや二つ簡単に消し炭にできるんだぞ。しかも、お前のその怪我も本気を出せば一生消えない傷を作ることもできるということを肝に銘じろ」


「お前が黙れ」


 俺はため息をつきつつ、空中に大量の雲を出現させた。ちなみに、久しぶりすぎて街どころか大陸を丸々と覆っていて騒ぎになったのはまた別のお話。


 そして、その光景を見て口をパクパクさせている貴族を睨みつけながら俺はこう言った。


「いいか、俺は基本寛大だが。親と、友の悪口を言う奴は誰であっても許さないと言うことを肝に銘じておけ」


「はい! すみませんでした」


 取り巻きどもも含め、全員が俺に跪いたり赦しをこいたりしていた。俺は、その光景を見て内心。やべー! やりすぎたと後悔していたことは胸の内に収めておこうと思う。


 その後、変態はなんと校長先生だと判明した。こんなのが、校長だとは世も末だなと思った。


 変態の差金により、俺たち双子は飛び級でライリーと同級生になった。ちなみに、Sクラス。俺は変態に、気になったことを聞いてみた。


「ところで、なんで俺が魔王だと気がついたんだ?」


「この世界では、魔王様がご存命だった頃よりも暮らしが豊かになりました。今では、魔法は暮らしていくために必要なものではなく。一般教養になったので、無詠唱魔法は必要なくなったのです」


「ふ〜ん。どうでもいいけど、説明が長い」


 まあ、とりあえずはいいかなと思ったのだが。なぜか、俺の周りには魔王信者や魔王だった頃の配下が多かった。


 そのため、魔王をするようにと言ってくる輩が多いのだがまたそれは別のお話。

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前世は最強魔王〜今世ではスローライフをするつもりだったが、世界がそれを許してくれない〜 若葉有紗 @warisa0430

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