第2話 最悪な二度目の転生!

 それからは、簡単だった。俺は、人間と魔族が一緒に住めるように色々と画策したのだ。最初は、大変だったが争いを生んでも意味がない。


 そのことを、人間にも魔族にも知ってもらえるように努力をした。その成果もあってか、年月はかかってしまったが平和な世の中が誕生した。


 勇者も、俺も短くのもなく長くもない一生だったが楽しく過ごさせてもらった。満ち足りた気分で、生涯を終えた。


 今度は、人間と魔族のハーフとして生まれ変わってしまった。この世界では、魔人というらしい。


 俺は、ひっそりとぐうたらに生きていたかった。俺が息を引き取ってから、既に三百年ほど経っているらしい。


 しかし、なんの因果か。強大な魔力のせいで、魔王の生まれ変わりだと気づかれて魔王になって欲しいと頼まれるがめんどくさいという理由で断っていたのだ。そして、冒頭に戻る。


「なぜ、魔王になってくれないのですか!」


「めんどくさいから。俺が、前世で頑張った意味ないじゃん」



「そんなこと、おっしゃらないでください! モハンマド様!」

「今の俺は、ユーリウス・デイビスだ。人間と魔族のハーフの魔人だ」


 そう言うと、目の前にいる幼女。ライリーは涙目になって懇願してくる。正直、とても可愛くてお願いを何でも聞きたくなってくる。


 しかし、忘れてはいけない。中身は、口うるさい俺の元側近のおじいちゃんのウィリアムであるということを。


「いいじゃん、ケチ」


「今、なんて?」


「魔王様が、情けない。こんなとこで、尻込するなんて! 貴方様のお力があれば魔王城復興も夢じゃないですぞ!」


「興味ない。俺は、そもそも魔王なんて柄じゃない」


 前世では、漫画のために頑張ったが今の俺はどこにでもいる魔人。これから、ぐうたらしてぐうたらして生きていくのだ。しかし、厄介なこともある。


「ふ〜ん。でも、忘れないでくださいね。今の貴方は、私の弟に過ぎないのですから」


 そうなのだ、あろうことかライリーは俺のお姉ちゃんになってしまったのだ。一番、めんどくさいことこの上ない。そして、もう一つ悩みの種がある。それは……。


 なんと、前世での勇者である親友が俺の双子の弟になっていたのだ。何が、めんどくさいって。


「今度こそ、夜通し語り明かそうぞ! 親友!」


「ジョセツ。眠くないのか」


「僕は、元気だぞ!」


 話せるとはいえ、俺もジョセツも生まれたばかりの赤ん坊。まだまだ、眠いし体力もない。それに、前世を知らない人から見たらカオスに違いない。


 なぜなら、弟を崇拝して魔王にさせようとする姉と、双子の兄と夜通し話そうとする元気な赤ん坊。


 俺だったら、頭を抱えるな……。それなのに、俺たちの両親ときたらこれまた能天気なのだ。


 「あらあら、かわいいわね」


「また、魔王ごっこをしているのか! 俺たちの子供は、天才だな!」


 もう嫌だ、こんな家族。これから、始まるカオスな日常に俺はため息をつくことしかできなかった。


 そして、早いもので十年の月日が経った。これまでのことは、あまり話したくないから聞かないでくれ。

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