前世は最強魔王〜今世ではスローライフをするつもりだったが、世界がそれを許してくれない〜

若葉有紗

第1話 ただのオタクの俺が魔王に!?

「お願いいたします! 魔王様!」


 俺に必死に懇願しているこの幼女。見た目は、幼いが実は前世では俺の側近だったおじいちゃんだ。


 詳しいことを話す前に、俺の身の上話を聞いてほしい。退屈だとは、分かっているが……。


 非常にめんどくさいことになった。この話をするには、時間がかかる。だが、今の状況を話す前に昔話を聞いてほしい。


 もともと俺は、日本人で事故で亡くなったかと思ったが異世界に転生していた。しかも、魔族にだ。


 暇で暇でやることがなかった俺は、なんとなくで力をつけていき気がつくと魔王と呼ばれるぐらいになっていた。


 そこで、俺の叔父にあたる魔族のじいちゃんに教えてもらったのだが人間社会には漫画とかがあるらしい。


 前世……この場合、前々世とも言うべきか。とにかくだ、異世界に転生する前はオタクでニートだった。


 漫画やアニメが好きで、事故にあった日も漫画を買いに行く途中だったわけで新刊が見たかったのだ。


だからそのため、非常にめんどくさかったが魔王となり勇者と戦わずに人間と魔族が仲良くなる道を模索した。


 しかし、どの勇者も話をまともには聞いてくれなくて半ば心が折れかけていた時に奴が現れたのだ。


「魔王よ! 今、俺が長き因縁に終止符を打つ!」


「……待て」

「なんだ。怖気ついたのか!」


「違う。そのセリフ、もしかして【せかおう】の最終回の主人公のセリフじゃないか!」


 簡単に説明すると、せかおうとは前々世で流行っていた魔王を倒して異世界の王になる!


 といった感じの作品で、アニメも神作画で超有名になっていた作品だ。俺は、コミカライズ版も全て買っている。


 俺が、興奮気味に勇者に伝えると勇者も目を爛々に輝かせていた。


「そうなんだよ! 最終回も、かっこよかったよな!」


 話を聞いてみると、彼も俺と同じく日本人らしくオタクだった。俺たちは、すぐに意気投合。


 戦いのことなんて、すっかり忘れてオタク話に花を咲かせていた。気がつくと、魔族と人間が手を取り合って生きていくことが決まったということだ。


 世界は平和になり、俺は好きな漫画がたくさん読める。ウィンウィンの関係が築かれたのだがもちろん反論する輩もいた。


 俺は、大いなる野望。漫画を読んで生きる! と言うのがあったため、有無を言わさないように懲らしめていた。


 と言うわけではなく、勇者と共に漫画の素晴らしさを世界中に教えて回ったのだ。最初は、警戒されていたが俺が無害だと分かってくれた。

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