18話:危険を乗り越えて

ボートを漕ぎ続け、やがて海と川が入り組んでいるようなエリアに入った。


時折、岩がむき出しで波が荒い部分もあったが、それをオールで押しのけ、ぐんぐんとクリスタルガーデンへ近づいて行く。



「順調に行きそうだな、エボ。」


「はは、本番はここからだよ。このエリアはフューリーシーと呼ばれていてね。小心者のアメンがクリスタルを隠してる理由があるよ。」


フューリー・シー・・・“狂乱の海”という意味だ。

そう考えていると、波が急激に荒くなった。というより、我々のボートが荒い波に突入したのだ。


「セン!もう200メートル先がクリスタルガーデンの真裏だ!」


「わかった!どうすればいいんだ?」


「あそこに大きな岩と小さな丸い岩が並んでいるだろう?波で小さな岩が露出しそうなときに突っ込むぞ!そうすれば波がボートを持ち上げ、大きな岩をバウンドして、陸地に上がれるってわけさ!」


「わかった!」


と、言うしか無かった。どんなピタゴラスイッチだと思ったが、エボを信じるしかない。2人で一斉にオールを漕ぐ。


「うあああああ!!!!」




ボートはそれぞれの岩を一度づつ跳ね、泥と苔と藪に覆われた陸地にドスンと着陸した。


「ふぅ、、、エボ……大丈夫か?」


「あぁ、何とかうまくいったな。」


「あぁ・・・ っておい、ボードが割れてるぞ。」


ボートのド真ん中に1メートルほどの亀裂が走っている。しばし2人は呆然とした。




「セン、休憩はそろそろいいかい?」


「ん?どういうことだ?」


「どういうことも何も早く行こうぜ?夜が明けては動けなくなるぞ。」


「行こうって、どこに?」


「はっ、何を言っているんだよ?我々はクリスタルを掘りにきたんだろ?」


エボは鼻で俺を笑って、そう言った。


確かにそうだ。俺は弟を砂漠で殺され、エボの妹は強姦され薬漬けで殺された。やや冷たい海水くらいで俺たちの復讐の炎が消えるわけはない。



「当たり前だろ?俺はエボの休憩が終わるのを待っていただけだよ。さて、クリスタルはどこにある?」


「この先に行けばあちこちにあるよ」





- 危険 ”地雷エリア” このエリアは命を保障しないものとする -


何とも香ばしい看板を見つけた。

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