3話:砂漠を駆け抜けろ!
現地到着まで2日、採掘が10日、帰りが2日の予定だ。
ラクダライダーが荷車の前方に座り、早速ムチを奮う。
「のんびりラクダ旅」くらいのゆるいテレビ番組くらいに考えていたが、ラクダは猛スピードで走りだした。時速50km以上はありそうだ。
「おい!ずいぶん揺れるな!」
ラクダライダーに大声で話しかける。が口を開けた瞬間、砂が喉元に飛び込んできた。俺はグルメとは無縁だが、これは勘弁してほしい。
「このあたりは岩がデコボコでな!もう少し行けば落ち着くよ!」
ルカを見ると、目が輝いている。まったくおかしなヤツだ。
その後、3時間も走っただろうか。激しい揺れと砂で、乗っているだけの俺もルカもクタクタになった。乗っているだけといっても、荷車の壁や天井に手をかけないと、荷車から落とされそうになる。自然と俺とルカはお互いの腕を組んで、なるべく少しでも揺れに影響されないようにしていた。
「おい!休憩はないのか?!」
「休憩?そんなことしてたら、2日じゃ着かないぜ!休憩はラクダが止まるか、キャニオンに着いたらだな。夜のデザートキャニオンは、危なくて走れないからな、ははは!」
ドライバーの目は血走っている。デザートキャニオンとは、クリスタルが発掘された場所あたりにある渓谷とのことだ。道という道は存在せず、崖がつるぎのようにいくつもそびえたち、さらにそれが何層にもなっているとのことだ。
後悔が目をよぎったが、この旅は騙されたのか、そもそもこういう文化なのかすらもはや分からない。分からない分、恐怖もあった。目を輝かせていたルカもさすがに不安そうだ。
さらに6時間後、ラクダはやっと止まった。ライダーがラクダに大量の水をやると、あっという間にガブガブと飲み込んでいる。
ライダーは、ライターと薪で火をおこし、缶詰のひき肉のようなものと米、そしてスープを作ってくれた。味は別に普通だ。まずくはないが、決してうまいわけでもない。
空には無数の星がまたたき、砂漠の月が輝いていたが、くたくたの俺とルカはテントに潜り込むとあっという間に寝てしまった。
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