2話:ラクダ選びから始まる冒険

「・・・・・・これで買い物は全部ですね!」


「あぁ。」


サラは元気にしているが、俺もルカももうくたくただ。


「このままラクダ屋にいって、買った荷物を預かってもらいましょう。明日の朝、ラクダを選んで、そのまま出発でも大丈夫ですか?」


「ああ、別にいいけど、置きっぱなしで問題ないのか?」


「あはは、馴染みの店なので心配いりませんよ。」


ここで逃げられたらだいたい300ルピー分の買い物が盗まれるってわけだが、それならそれで話のネタになるからいいだろう。だいたいヨハンからもらった金だしな。さらに慣れない土地での疲れもあり、もうなるべく考えたくない。




次の朝。


早速マーケットに向かいラクダ屋に着くと、笑顔でサラが待っていた。少し安心して、横のルカを見ると、相変わらず「あ、お、」と何か言っている。暑さもあるせいか昨日よりもサラの服の露出度が少し高い。


「では早速ラクダを見てみましょう!」


「いらっしゃい!うちのラクダはどれも丈夫だよ!荷車もつければ乗り心地も最高さ!」


ラクダ屋のオヤジが商売臭最大の状態で売りこんでくる。俺はこの手のやり取りは苦手だ。地域によってはそもそも値下げ交渉前提の価格になっているのも知っているが、わざわざそんなことをするなら最初から適正価格にしてくれ、といつも思う。


「金がないなら、ラクダの定期便もあるよ。次の出発は30分後だ。まだ兄ちゃんたち2人くらいなら乗せられるよ」


待合所なのか、少し離れた場所にベンチが並んでおり、冒険者にも浮浪者にも見えるような男たちが目だけをぎらつかせて何人か待っている。若い者が多いが、中年もおり、そろってリュック、テント、スコップを持っている。こいつらがライバルになるということか。


「荷車と運転手は必須だな。ラクダなんて乗ったことも無いし、それに少しでも急ぎたい。おい、店主。乗り合いは無しで運転手を頼む。」


「わかったぜ!それなら準備ができればすぐに出発だ!」


そういえば現地までサラが同行するものだと思い込んでいたが、念のため聞いてみる。


「あはは、大丈夫ですよ。ここのラクダライダーは優秀ですから。それに、衛星電話をお貸ししますから、何かあれば連絡してくれれば大丈夫ですよ。」


サラの笑顔に安堵しつつ、ラクダを選ぶことにした。


とはいえ、ヤポンでは競馬は何度かやったことはあるが、ラクダの目利きなんてまったくできない。丈夫さを優先する旨と予算を伝えると、サラと店主が選んでくれた。まぁよくわからんが、大丈夫だろう。


「では、早速参りましょうか!」


サラが笑顔で元気よく言った。

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