第10話:祭りの後。

階段を上がって最初の部屋のドアをそっと開けてみた。

そしたらいきなり、俺は頭に銃をつきつけられた。


ドアの隙間から部屋の中を覗いたら親父が椅子に縛られてた。

捕まってるじゃんかよ・・・。


「おまえら、なんでこんなところに来たんだ」


親父が俺を見つけて怒鳴った。

俺が何か言う前に古都華が先に言った。


「私、誘拐された人のことなんか知らない・・・」

「私は店長とマッケンジーが好きだからさ」

「好きな人には死んでほしくないだろ・・・」

「だから、来たんだよ」


「店長、私たちと一緒に帰ろう」


「古都華・・・」


敵の数はざっと数えて10人くらいはいた。

その中の一番、貫禄のある奴が言った。


「倉庫の前は海だからな・・・全員まとめてコンクリートを抱いて

海に沈んでもらおうか」


俺は銃を突きつけられてるので動けなかった。

でも俺の後ろにいた古都華が、俺の左首から、そっと手を伸ばして今にも、

俺の頭をふっとばそうとしてる銃を、ちょこんと触った。

そしたら銃は一輪のバラの花に変わった。


なんて頼もしいメイド、惚れちゃうだろ。


銃をバラに変えられたヤツは、なにが起きたか分からずあたふたしていた。


それを見た残りの手下が全員、銃を構えた。


「マッケンジーどいて、私が行く」


古都華の動きは早かった。

あっと言う間に部屋に入って、そいつらの銃を順番に全部ヘビに変えて行った。


自分の手にあった銃がヘビに変えられた手下と幹部みたいな男は慌てて、

手に絡んでいたヘビを振り落とそうとした。

もう俺たちどころじゃなくパニクっていた。


そいつらが慌ててる間に俺は親父のところに行って縄をほどいた。


「親父大丈夫か?」


「古都華は、あんなこともできるのか?」


「みたいだな・・・時間稼ぎだよ

「驚くのはまだ早いよ」


そう言ってる間に敵は、ひとりまたひとりと古都華に倒されていった。

古都華の動きが速すぎて人の目では捉えられないのだ。


ハイスピードカメラでも古都華の動きは捕らえられないくらい速かった。


「おやじ、教授は?」


「多分、もう一つ向こうの部屋だろう」


俺たちはその部屋に行ってみた。

すると親父の言う通り教受はその部屋で椅子に縛られていた。


「俺の先輩に連絡したいが奴らに携帯没収されたからな・・・」


「店長これ使いな・・・」


振り向くと古都華が携帯を店長に放り投げた。

親父は教授の縄を解いて古都華にもらった携帯で警察の先輩に連絡した。


「すぐに警察が来るだろう」


電動コケシ団のやつらは全員目を回してそこらじゅうに転がっていた。


しばらく待っているとパトカーのサイレンとともに警察がやってきて、

連中は全員逮捕されたが電動コケシ団はこいつらだけじゃないだろう。

そんな小さな組織じゃないはずだ。

やつらの企みは今回は失敗したがまたなにがあるか分からない。


俺たちの情報はこいつらに知られてるだろうから逆恨みされるかもしれない。


「マッケンジー、古都華・・気をつけろよ」


前ならそんなこと言われたら街も歩けなくなってたが今は古都華がいるから

大丈夫だ。


「親父こそ、気をつけてな」


「ああ、でもこんな仕事してるからな、危険はいつも覚悟してるさ」

「じゃ〜あとは警察に任せて俺は先に帰るぞ」


親父はそう行ってポンコツワーゲンで先に帰って行った。


「俺たちも帰ろうぜ、古都華・・・」


「あれ?ベスパは?」


俺たちが乗ってきたベスパはサインポールに戻っていた。


「そうか時間切れか・・・」

「ベスパは元に戻ったけど、もしかして古都華も普通にもどってる?」


「戻ってるみたいね・・・活躍したからゼルも疲れて寝ちゃったのかも」


「そうか・でもあいつらと戦ってる時にもとに戻らなくてよかったよ」


「さてと、どうしたもんかな親父は先に帰っちゃったし」

「サインポールに乗って帰るわけにはいからな・・・」


「バカだね、マッケンジーは」

「サインポール、またベスパに変えたら乗って帰れるよ」


「あ、そうか、そうだな、俺ダサいな」


「でも、まだすぐには帰れないよ」


「なんで?」


「ゼルが覚醒しないと私の能力、使えないから・・・」


太陽は西に傾こうとしていた。

夕日を浴びたメイドはいつになく可愛くてめいっぱい輝いていた。


「マッケンジー、ハードボイルドに夕日はよく似合うと思わない?」


とぅ〜び〜こんて乳。

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