第9話:覚醒した古都華。

ベスパに乗った俺たちは親父の跡を追った。

俺には分からないが古都華には親父の匂いが分かるんだろう。

30分くらい走っただろうか・・・着いた先は港の倉庫街だった。


一軒の倉庫を過ぎたあたりに親父の黒いポンコツワーゲンが止まっていた。

親父の車の、先に黒い車が数台止まっていた。

やつらの車に違いない。


「親父の車がここに止まってるってことは・・・この倉庫かな?・・・」

「行ってみるか・・・」


「怖いよ・・・」

「マッケンジー帰ろう・・」


「まじで?、ここまで来て元に戻ったのか?」


「だって〜」

「店長でも手こずるようなことなんでしょ」

「私たちふたりじゃ〜なにもできないよ」

「ね、警察呼ぼう・・・そうしようよ、ね」


「警察にチクったら教授の命が危ないだろ」

「しょうがねえ・・・俺の後ろをついて来い、離れるなよ・・・行くぞ、いいか」

「敵に見つからないようにしないと・・・親父の足でまといになっちゃ

マズいないからな」


勝手口は鍵が壊されていた・・・おやじの仕業か?

その勝手口から俺たちも中に入った。


倉庫の中は大きな機械や粗大ゴミ、ダンボール、パレットとかドラム缶が

いっぱい置かれていて、それが迷路みたいになっているため親父を探す

のは手間がかかりそうだった。


「マッケンジー帰ろうよ〜?」


「なに、ビビってんだよ、しっかりしろよ」

「頼むから古都華の中のやつ〜覚醒してくれよ・・・」

「なんでこんな大事な時に出てこないかな〜」


「声が大きいよ、マッケンジー」


「誰だ?誰だそこにいるのは・・・」


油断してつい声が大きくなって電動コケシの手下どもに見つかってしまった。


「おい、おまえら・・・そこでなにしてんだ?」


「あはは、お邪魔します・・・」

「見つかったじゃないか、古都華」


「マッケンジーが大きな声出すからでしょ」


もう一人手下が出てきた。

銃を持った男がふたり見張りをしていたらしい。


「おまえら・・・」

「おまえら・・・メイドカフェの連中だな・・・店長を助けに来たのか・・・

バカめが・・・」


「ちょうどいいおまえらも、店長と一緒にあの世へ言ってもらおう」


「ってことは親父はまだ生きてるんだな、捕まってるってことか?」


「なに、ぐだぐだ言ってんだ」


「おいこら・・・おまえら、メイドをナメんなよ」


いきなり覚醒した古都華だった。

古都華の中のやつが危機を察知したかな?


俺はこれで助かったって思った。

後ろを振り返ったら、古都華が腕組みして立っていた。


「おまえ、偉そうに突っ立ってたら撃たれるぞ」


すると手下の一人が無防備に立ってる古都華を躊躇なく撃った。

弾は古都華めがけて飛んで来たが、古都華は数センチ動いただけで

難なくよけた。

それを見たもう一人の手下が、銃を撃とうとしたが古都華の動きが早く

なにもできないまま回し蹴りを喰らって倒れた。


先に古都華を撃った男も抵抗できず、あっさり古都華に倒された。


救われた・・・。


「さ、マッケンジー店長探しに行くよ」


なんて頼もしいメイド、惚れちゃうだろ。

俺たちは物陰に隠れながら前に進んでいった。


「親父はどこにいるんだ?」

「呼ぶわけにもいかないし・・・」

「ほんとにこの倉庫、迷路みたいだな」


しばらく行くと、階段が出てきた。

倉庫の一階は静かだからもしかしたら親父も教授も上にいるのかも。


俺たちは周りに気をつけながら階段を上がっていった。


とぅ〜び〜こんて乳。

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