第8話:ハードボイルドだぞ。

「マッケンジーなにやってんの・・・店長のあと追わなきゃ」


「んなこと言ったって・・・俺たち素人だぜ」

「何ができるんだよ」


「なんとか団っていうくらいだから向こうは団体さんだろ・・・」

「向こうは多勢に無勢じゃん・・・店長ひとりじゃ無理だよ、メッケンジー」


「おやじがダメなら、俺たちなんか余計、足手まといになるだけだぞ」


「マッケンジーがビビってんなら、私ひとりでも行く」


古都華に寄生してるやつが目覚めてる時は古都華は、ほんとに別人になる。

普通の時の古都華なら震えてるよな。


そうか古都華が強くなってる時なら親父に加勢できるかもな・・・。

そう思うと俺は勇気が出てきて、やれるんじゃないかと錯覚した。


古都華は店をほったらかしにして外に飛び出していった。

それを見て俺もカウンターから飛び出した。


まではよかったんだけど・・・親父を追いかける足がない。

店の前に軽四が一台止まっていたが、人の車を盗むわけにはいなかいし・・

困った、チャリで追いかけても拉致があかないないしな・・・


「どうする・・・車っていっても俺、まだ免許持ってないし」


「私、原チャの免許なら持ってる・・・」

「ちょっと待って・・・」


そう言うと古都華は隣の散髪屋の店の前に立っていたサインポールに触れた。

そうしたら、なんとサインポールがベスパに変わったじゃん。

コーヒーカップを元にもどした時よりインパクトがあったわ。

しかも、古都華はその横に置いてあった鉢植えふたつをヘルメットに変えた。

至れり尽くせりだよな。


「私、バイクには詳しくないけど、これならファッション雑誌で見たこと

あるから・・・」

「もしバイク買うなら、これがいいって思ってるんだわ」


「別に金出して買わなくてもいいじゃん、これで・・・」


「バカね・・・これは時間が経ったらもとに戻るの、一時しのぎだよ」

「バイクより先にクローン猫だね・・・」


ベスパは原付らしい可愛いエンジン音を立てた。


「あのさ、このベスパ走ってる最中にサインポールに戻ったりしないよな?」


「大丈夫だよ、向こうに着くくらいは持つと思うから」


「さ、後ろに乗って・・・店長追いかけるよ、マッケンジー」


なんて頼もしいメイド、惚れちゃうだろ。


俺たちはベスパにタンデムで親父の跡を追った。

運転は免許持ってる古都華・・・後ろは俺。

俺がベスパを運転してもいいんだけど、途中でおまわりに捕まったら間に合わなく

なるといけないから、ここは古都華に任せることにした。


けど古都華・・・原チャの免許って・・・それじゃ無免許と同じじゃん。

んなことこのさい、どうでもいいわ。


「だけど、親父は先にいっちゃったし、追いかけるたってどこをどう行けば

いいんだよ」


「大丈夫だよ、店長の居所分かるから」


「なんで、そんなこと分かるんだよ」


「店長の匂い・・・加齢臭だよ」


「加齢臭?」


「私、犬の何倍も嗅覚するどからな」


「店長の加齢臭、追っていけばたどり着くよ、大丈夫だよ」


古都華には驚かされる、ほんとに君はスーパーウルトラガールだよ。


「だけど、おまえさ〜いつからそんな義憤に駆られるような女になったんだよ」


「ハードボイルドだよ、マッケンジー」

「探偵事務所5・・・」


「なんだよDVD見たのか・・・?」


「全巻見たよ」


「なんか親父に感化されてきてないか、おまえ」


「時間ないよ、飛ばすからね、しっかり捕まって」


ほんっとに惚れるわ・・・まじで。


とぅ〜び〜こんて乳。

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