第70話 精霊の宿で従業員を雇う
ダンジョン探索は、午前中で終了した。
なぜかというと、ソフィーの電池切れだ。
ソフィーは、魔法をコントロールするコツをつかみ、全く誤爆をしなくなった。
しかし、コツをつかむまでに体力も精神力も大いに消費したようで、お昼ごはんを食べ終わったらウトウトし始めた。
教官のガイウス、シスターエレナとも相談して、冒険者活動は午前中で切り上げることにした。
俺はソフィーをおぶって教会へ戻り自室のベッドに寝かせた。
ソフィーの頭を撫でていると、扉がノックされた。
扉を開けると、フィリップさんが笑顔で立っていた。
フィリップさんは、王都から派遣されてきた男性神官で、シスターメアリーの元パーティーメンバーだ。
移動販売車で販売している食品の効果検証をしてもらった人物でもある。
「リョージさん。お帰りなさい。精霊の宿のことで、お話しがしたいのですが?」
「わかりました。では、中庭でお話ししましょう」
俺とフィリップさんは、精霊の宿の中庭に移動してガーデンチェアに座る。
フィリップさんに促されて、俺はダンジョン探索の様子を話した。
フィリップさんは、穏やかな笑顔で聞いてくれて、魔物退治のアドバイスをしてくれた。
それにソフィーの魔法指導を王都から来た神官さんたちがしてくれると請け負ってくれた。
大変ありがたい!
「それからリョージさんに、ご相談なのですが、精霊の宿で従業員を雇いたいと思います。いかがでしょう?」
「精霊の宿の従業員ですか……。良いと思いますよ!」
「そうですか! いや、賛成していただけて良かったです! 実は仕事を探している信者がいるのです。気の毒に思いましてね。それで何とか出来ないかと」
「ああ! そういうことなら、良かったじゃないですか! シスターメアリーやフィリップさんも、教会本来のお仕事があるでしょうし、どんどん人を雇って任せてしまえば良いと思いますよ」
「ありがとうございます! リョージさんに、そう言っていただけて良かったです!」
フィリップさんは、随分と俺に気を使っているようだ。
精霊の宿は、俺がアイデアを出したが、あくまで経営しているのは教会だ。
宿屋のオペレーションが順調なら人を雇って良い。
俺は、精霊の宿が自分の手から離れていくなという寂しさが少しあったが、笑顔でフィリップさんに同意した。
仕事が欲しい人が、仕事を得られるなら喜ばしいことだ。
「リョージさんは、これからどうされるのですか?」
「そうですね。今日の様子だと午前中はダンジョンに入って戦闘経験を積んで、午後から商売をしようと思います」
「ほう。では、町の市場で? それとも開拓村へ?」
「いえ。ダンジョンでやる予定です」
――翌日。
俺はソフィーとシスターエレナを乗せて、移動販売車でダンジョンへ向かった。
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