第25話 リョージの魔法適性(属性)
ソフィーの魔法適性が判明した。
雷と氷の属性で、珍しい適性だ。
しかし、珍しい属性魔法ゆえに教えられる人がいない。
参考になりそうな本もない。
受付のモナさんは、ソフィーは魔力量も多いし、成長に伴って属性が増えるかもしれないので気を落とすなとソフィーを励ました。
仕方のないことなのかもしれないが、何とかしてあげたいな……。
そして、用件はもう一つある。
ソフィーのことで一喜一憂してしまい思わず忘れそうになったが、俺も魔法の適性を調べてもらいたいのだ。
「モナさん。私も魔法の適性を調べて欲しいのですが?」
「リョージさんもですか!? えっ!? 地元のギルドでは調べなかったのですか!?」
「ええ。機会がなくて」
「珍しいですね……」
モナさんによると、冒険者ギルドは優秀な魔法使いを発見するために、無料で魔法適性の検査をしているそうだ。
体が成長して生活魔法が使えるようになると、みんな魔法適性検査を受けるそうだ。
まあ、俺の場合は日本から来たからね。
そもそも日本には魔法なんてないし。
「では、リョージさんも調べてみましょう」
「お願いします!」
俺もソフィーと同じように銀色のお盆に手を置く。
体からスッと何かが引き出されるような感覚。
なるほど、これが魔力か!
銀色のお盆が俺の魔力で満たされていく。
モナさんが、ジッと銀色のお盆を見つめる。
俺は緊張してモナさんの答えを待つ。
「四大魔法の適性はないですね……」
まず、四大魔法はナシか……。
ちょっとガッカリ……。
「光、闇、聖属性もなし……」
光属性は、アンデットに効く魔法。
聖属性は、シスターメアリーが使えるヒール、回復魔法だ。
闇属性は、自分の気配を消すような不意打ちに使える魔法だ。
この三つの魔法もメジャーな魔法らしいが、残念なことに俺は適性がない。
「雷、氷、木、鍛冶、創薬、空間、テイムもなし……」
続いてレア度の高い属性の検査結果が告げられるが、俺は適性がなかった。
なんか色々ダメだな……。
俺って生活魔法しか使えないんだろうか……。
俺が魔法についてあきらめかけていた時、銀色のお盆に光がともった。
回路状の模様の一番端が強く光っている!
何か適性があるのだ!
「あっ! 付与! リョージさんは付与魔法に適性がありますね! これまた珍しい!」
付与!?
付与ってなんだ!?
どうやらマイナーな属性を引いてしまったようだ。
俺は魔法の入門書に書いてあったことを思い出す。
付与……付与……確か……。
「付与魔法は、力や速度を強化する魔法ですよね?」
「そうです。ただ、同様の効果は武器、防具、アイテムなど装備品にもあるんです。装備品に付与出来るのは鍛冶スキルだけです」
「え? では、付与魔法の代りは装備品で済むと?」
「そうです。だから
「ああ、なるほど……」
なんだよ。
ガッカリだな。
魔法が使えると思ったら、マイナーな『付与』で、『大事にされない』ときた。
「リョージさん。気を落とさないで下さい。ホワイトポートという
「そ、そっか……。それで、誰に教われば?」
「……」
またか!
マイナー属性だから教えてくれる人がいないのかよ!
「ま、まあ、生活魔法だけでも便利ですし、ひょっとしたら何かの拍子に二人とも属性魔法が使えるようになるかもしれないし……」
「「えー!」」
そんなことはないだろう!
俺とソフィーは、同時に声を上げた。
「とにかく! お二人とも属性魔法が使えることが判明しました! おめでとうございます! 冒険者ギルドに、ぜひご登録下さい!」
「いや、私もソフィーも冒険者になるかどうかわからないですよ?」
「冒険者として活動しなくても構いません。『どの人が、どの属性魔法を使えるか?』をギルドが把握するために、属性魔法に適性がある人には冒険者登録を勧めています。それに冒険者ギルドのギルドカードは身分証になりますよ」
「そういうことなら登録をお願いします。ソフィーはどうする?」
「ソフィーも登録する!」
俺とソフィーは、一応冒険者として登録をしてギルドカードを作ってもらった。
登録は無料で、特に義務も発生しない。
俺は身分証が欲しいと思っていたので、丁度良かった。
ギルドカードは、金属製のドッグタグのような形で、革製のヒモで首から下げておく。
魔法適性あれど、魔法が覚えられない。
俺とソフィーは複雑な思いで教会へ戻った。
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