偽りの予言、真実の行方

「マ、マギルヴスに会いに行くって...どうして?」

そらじんにそう質問する。

「話は向かいながらでする。だから早く荷物置いて」

じんは荷物を置き、2人にそう言う。

「分かった...」

「は、はい...!」

2人も荷物を置き、じんに着いて行く。

「で、どうしてマギルヴスって人に会うの?」

そらは再びじんに聞く。

「あくまで俺の推測の話だ」

と言う前置きをし、じんはマギルヴスの予言について話し始める。

「マギルヴスの魔法は元素魔法とファルラは言っていた。それは覚えているな?」

ファルラの話を覚えているかどうかじんは2人に確認をする。

「え?う、うん。そう言ってたね」

「確かに覚えてますよ...?」

と2人は言い、じんは良かったと安堵し再び推測について話す。

「おそらくマギルヴスは、国民達に元素魔法を扱えるからその力で予言が出来ると言いホラを吹いている。」

「えっ...?」

「予言出来る事自体が嘘...?」

2人はじんの発言に驚愕する。

「それに100%当たる予言なんて予言じゃないしな」

「確かに。」

じんのその発言に納得するそら

「おそらく、俺たちがこの世界に来た原因は、四星魔導師フィアスターと呼ばれるこの世界の最強の魔法使いのせいだろう。」

四星魔導師フィアスター...?」

「い、いや...そんな事より...2人は異界者イレギュラーなのですか...?!」

テイは四星魔導師フィアスターの話より、2人が転生してきたと言う事に驚く。

「...そういえば言っていいものか分からなくて言っていなかったな。」

「そうだったね...」

2人はテイにだけは言っておくべきだったと若干の後悔をする。そして2人はテイに異世界から来たと言う話をする。

「そ、そうなのですね...」

「と言うより、この世界では異世界から来たものを異世界人とかではなく、異界者イレギュラーと呼ばれるのか...」

「そんなことより、マギルヴスについて、でしょ!」

そらはすぐにマギルヴスの話に戻す。そして、じんは再び話し始める

「...ギルドさんの話を簡潔にまとめると、四星魔導師フィアスターは、世界を破壊する事が出来る程の強さを持つ4人の魔法使い。」

「え...」

「破壊って...」

じんはギルドから聞いた四星魔導師フィアスターの実力を言う。その実力に2人は絶句する。

「ほ、本当なの...?」

そらは質問する。

「それを今から確認しに行くんだよ」

そう言ったじんは立ち止まり、門の前に立つ。

「もう着いた...」

「着いてましたね...」

「ニケロフィア大魔法学園...入るぞ」

じんは振り返り、2人にそう言う。

「はい...っ」

「分かった...」

2人は決意を固め、3人は学園へと向かう。


「いいか2人とも。俺たちは学園長のマギルヴスに会いにいくだけだ。目立つことはするなよ」

そう注意するじん。だが、目立つことをするな。と言われてもじんそらの美貌は異世界でも変わらないため、何もしなくとも目立ってしまう。そのせいで、生徒たちからもう注目されている。

「あの、じんそら様...。あちらこちらから視線を感じるのですが...。」

テイは困惑しながらそう言う。

「えっ?何で...?私達まだ何もしてないよね...?」

目立つ事はしていないはずだけど...と困惑するそら

そらが可愛すぎるから目立ってるんじゃないか?」

じんそらの容姿のせいだと愚痴る。

「いやいや、にぃがカッコよすぎるのが問題でしょ!」

言いがかりをするじんに反論するそら

(いや...お2人が美しすぎるのが問題ですよ...)

と心の中でツッコミをするテイ。

「とりあえずこれだけ目立ってしまったんだ。もうコソコソするのは辞めて、正面から行こう。」

「分かった!!」

元々正面からな気もするが、正面から行くことにしたじん達。

「って言っても、職員室みたいなところがどこかわかんないけど、どうするの?」

急ぎ足で向かうじんに合わせて歩きながらそらじんに質問する。

「そりゃ、どこかに地図があるだろ?これだけでかい学園なんだから」

じんは至極まともな事を言う。

「そっか!」

はっとするそら。どうやら地図のことが頭から抜けていたようだ。

「でも...もし、そのマギルヴスさんが面談を拒否したらどうするのですか?」

と、テイもじんに質問をする。するとじんは険しい顔をし

「そこが懸念点なんだよな...。最初は応じてくれたとしても、単刀直入に聞いたら追い出されそうだ。」

しかし、すぐに普通の顔に戻り

「でも、その時はその時で対応するさ。今はマギルヴスに会うことが最優先事項だから」

とテイの方を向き、ほんのり笑顔でそう言う。

「お、もうすぐでニケロフィアの中に入るぞ」

「門と建物までが長いですね...」

「ね〜。遠すぎるよね」

2人は門と学園の長さに愚痴る。すると

「待て2人とも。来る...」

と、じんは2人を止める。

「えっ?」

「な、何が?」

2人が困惑していると、上空からゆっくり人が降りてくる。

「ふむ...魔力も存在も完全に消していたのに気づくとは...。お前何者だ?」

「...テイ、後ろに下がって」

「え...は、はい。」

瞬時、そらは理解した。こいつは異次元に強いと。

「俺が喋っただけで警戒するとは...。お前ら只者では無いな...そしてお前ら双子か。...ふむ、もしやお前らは俺の予言した双子か?」

ソイツはじんそらを睨みつけながら地面に降り立つ。

「...喋っただけで警戒する、ねぇ。見つかって早々威圧感マシマシ、敵意マシマシでこっちを睨みつけてるのはお前だろ」

そらは冷や汗をかきながらソイツに牽制する。

「お前がマギルヴス...だな?」

「そうだと言ったらなんだ?」

眉をしかめ、警戒するじんと、仏頂面のまま質問に答えるマギルヴス。辺りに殺伐とした空気が流れる。それを察知し、周りの生徒たちは4人から離れる。

「マギ...」

上から声がした為、上を見ると別の人が今度はやってくる。

「何をやっているの...」

呆れながらその人はマギルヴスに質問する。

「...こいつらを試していただけだ。ダメか?フリ」

フリと呼ばれる人は深くため息を吐く。

「あのねぇ...マギ...初対面の人にそんな事しないの。ごめんなさい御三方、マギは変人なんだ。気を悪くしないで」

2人はフリと呼ばれる人の仲裁で警戒を解く。

「いや...別にいいけど」

「...こちらこそ学園内で申し訳ない。」

そらはマギルヴスを見ながらそう言う。そしてじんは公共の場でいがみ合いをしてしまったことを謝罪する。

「あ、謝らなくていいの!君たちは何も悪いことはしていないから。悪いのは威圧していたマギの方だからね」

その人はそう言いながらマギルヴスの頭を叩く。

「...痛い。フリ」

「これくらい痛くもなんともないでしょ...ったく」

2人の絡みに呆然としている3人。すると

「おっと...3人を置いてけぼりになっちゃったね。とりあえず一緒に中に入ろうか。」

と、進んでいく。


「えと...あの貴女の名前は...」

歩きながらテイはその人に聞く。

「そういえば名乗ってなかったね!僕の名前はフリート。これでもこの学園で2番目の立ち位置なんだよ」

(一目見ただけでは教員だと気づかなかった。低い身長に青く純粋な瞳。立ち振る舞い。全てを合わせても9歳...いや7歳に見える。)

じんはフリートを見つめながらそう考えていると

「僕は不老長寿の種族の生まれだから7歳じゃないよ、じん君」

ニヤッと薄ら笑いをするフリート。

「っ...心の声も読めるのか...!」

じんに冷や汗が流れる。しかし、それと比例してじんの気持ちは高揚する。

「不老で心を読める種族なの...!?凄ー!」

「心を読めるのなら、色々便利ですね...!!」

テイとそらもフリートに興味津々になる。

「...3人とも僕を差別しないんだね...」

フリートは3人の反応に驚く。

「...え?なんで差別するの...?」

「不老で心が読めるのは羨ましいです!」

「不老ってどんな感じなんだろ...!!」

テイとそらは興奮気味に言う。すると、じん

「まぁ、2人ともそう言うな。過去に何かあったんだろ。」

と、2人を止める。

「...そうだね」

「そうですね...」

2人は察し、話を止める。

「いいや、大丈夫だよ。200年前の話だし。」

「2、200年前!?」

「本当に長生きですね...」

フリートの発言に驚愕する2人。

フリートは無理して笑いながらそう言う。

「フリ。」

マギルヴスはフリートの名前を呼び、2人は声のトーンを落として話し出す。

「...?」

「何を話してるんだろ?」

テイとそらは気になり、聞こうとするが、じんに襟を引っ張られ

「止めとけ。2人とも」

と言われ止められる。テイとそらはなぜ聞いちゃだめなのかと聞く。するとじん

「2人だけの話だ、聞こうとするな。それにもし学校で教員に関してのことで、関係の無い人に聞かれちゃいけない事の可能性もあるだろ。」

と至極真っ当なこと言い、2人はしゅん...とする。

(しかし、こんな状況で2人で内緒話とは...。怪しいことに間違いは無い。)

じんは気づかれない程度に警戒する。

「あ!にぃ!もうすぐ学校内に入るよ!」

そらが嬉しそうに言い、じんの手を引っ張る。

「お、おい...そんな引っ張らなくても学校は逃げないって...!」

じんは困惑しながらも、そらに引っ張られて行く。

「ま、待ってください...!2人とも〜...!」

2人が先に行ってしまったので、焦りながら後を追いかけるテイ。

「っふふ。僕たちもちょっと急ぎ気味で行こう。マギ」

そんな3人を見て思わず笑みが零れるフリート。そしてフリートは笑いながらマギルヴスに手を向ける。

「...うん。行こうフリ。」

フリートの手を取り、一緒に学校内へ向かう。


そうして、じん達は学校内へと入り、フリートの後をついて行く。

「学園長室は最上階の8階にあるんだ。転移魔法陣に乗れば一瞬だけど、どうする?」

フリートは一緒に学園内の探索をするか質問をする。その質問に対しじん

「少し待ってくれ」

と言い、そらとテイとで話をする。

「ん〜...私は賛成だけどなぁ〜...」

そらは学園内の探索に乗り気だ。じんがその理由を聞くと

「だって、この学園内にもしかしたら、にぃが欲してる、重要な情報があるかもしれないじゃん?」

と、そらは言う。

(確かにそうだ。この学園はこの世界の4大魔法学園の1つ。この世界に関するなにか重大な情報があるかもしれない...。そこまで頭が回っていなかった...。いつもこういう時にそらに助けられるな...。)

「んで、テイは...お2人に着いていきます?」

じんは、予言っぽくテイが言うことを聞いてみると

「え、あ、はい!そ、そうです...!!」

テイは驚愕し、目を輝かせる。その様子を見て思わず笑ってしまうじん。そうして、じん達はフリート達の場所に戻り、フリート達に学園内を探索することにしたと伝える。

「了解..っと、じゃあ当たり前だけど...1階から探索しよっか?」

フリートは無邪気に笑いながら言う。

「...フリ。これは探検じゃないよ」

ずっと口を閉ざしていたマギルヴスがフリートに若干呆れながら囁く。

「そうだね...。でも、今日だけは探検だと思って、マギも楽しも?」

フリートは満面の笑みでそう提案する。そんなフリートに対して、仕方ないと思いながら

「分かった、フリがそう言うなら俺もできるだけ楽しむよ。」

と、マギルヴスは目を細める。そんなマギルヴスの表情を見てじんは意外に思う。

(こいつ、今まで表情がそんなに変わらなかったから、アパシーな奴かと思っていたが...。気の許した相手になら表情豊かになるのか...?やはり人じゃないやつは分からんな)

そんなじんの様子を見て、そらは話しかける。

「にぃ、どうしたの?何かあった?」

話しかけてきたそらに、じんは隠すことでもないと思い正直に答える。

「いや、マギルヴスって俺たちの前だと表情変わらないけど、フリートの前だと表情豊かになるから、何が違うのか気になってな」

すると、そらは首を傾げこんな事を言う。

「んー...そうかなぁ。私はマギルヴスの表情、豊かとは思えないよ...」

「え...?そうですか...?テイも表情豊かにしか見えないですが...。」

そらの変な発言に少し驚きながら変に思うテイ。しかし、じん

「そうか...そらがそういうのならそうだろうな...。」

と、再度気づかれない程度にマギルヴスを警戒する。そんな2人に更に不思議に思うテイ。すると、じんはテイに話し出す。

「俺たちは、優れてる部分が正反対なんだ。俺は勉学や記憶力とかだが、そらは運動神経やコミュニケーション...まぁ他にもあるがこの2つだけ上げるか。」

そうやって話すじんに、はいと言いながら理解するテイ。

そらは、運動神経が優れすぎているせいか、表情の動きの些細な違和感を感じることが出来るんだ。そらが言うには気づいた時にはあった能力らしい。だが、年齢を重ね人と触れ合う度、その能力の精度が高くなっていってるんだ。」

テイは、そらが持っている謎の特殊能力をじんから説明され、驚愕する。

「そ、そうなのですか...」

「実は、俺も読心術に近いものを習得してはいるが...そら程の精度は無い。そらは表情がほぼ動かない俺を読み取れるからな、俺はまだ初心者も初心者だ。」

(た、たしかに...じん様の表情を読み取れてる。双子だからだけじゃなく、そら様の高精度の読心術があるから成立するんだ...)

と、今までのそらじんの以心伝心さに納得が行くテイ。

そらの読心術は、もう心が読める能力に限りなく近いよ。本気を出せば、その人が次に言おうとしている事も分かるんじゃないかな...。」

じんは自分でそう言うと、ある提案を思いつく。

そらが本気を出せば、マギルヴスが何を考えているか聞き出せるのでは...?いや、確かそらは、とある日笑いながら言っていた。)

───完全に心を読むには、その人と真正面に立たない限り読めないよ?あ、でもにぃなら完全に分かるよ。ずっと一緒だもん!───

(ならばこの策は愚策か...?)

そう考えているじんを見て、そらは笑顔で親指を出しこう言う。

「にぃ!私の読心術無しでも行けるよ!」

そんなそらを見て、じんはフッと笑い

「そうだな。この問題は3人で頑張ろう」

歩きながらもそんなことを話していると、フリートが立ち止まり喋り出す。

「ここが、魔法の実技の際に使われる場所で、まぁ...普通の学校で言う体育館みたいな所だね。」

「うぉ〜!ひろーい!」

そらはあまりの広さに歓喜の声を上げる。

「凄い...」

テイもその広さに驚きつつ、目を輝かせる。

「ドームくらい広いな...」

じんはぼそっと呟くと、そら

「確かに...それくらい広いね」

そう返答をする。そんな他愛のない話をしていると、こちらに気づいた先生がこちらに寄ってきた。

「学園長と副学長...いらしてたんですね!おはようございます」

そう目の前の先生が言うと、フリートは笑顔に

「おはようございます。」

と答えるが、マギルヴスは表情変わらず無愛想に

「...あぁ」

と相槌を打つ。

「お二方はなぜこちらに...?それとこの方たちは?」

そう質問すると、フリートは笑顔のまま答える。

「僕たちは、この3人が学園内を見て周りたいと言ってくれたので、校舎等の紹介をしながら一緒に見ているんです。」

(...特に嘘をついている訳では無いが...。そらが言ったことを考えながら話を聞くと、マギルヴスだけじゃなくフリートにも何か変な感じがする...。何だ...この違和感は...。)

そう考えながら、フリートと学園の先生の話を聞く。

「なるほど、そういうことだったのですね!」

すると、その先生は頭を下げる。そして

「了解しました。では」

そう言い、その場を離れる。

「では、次はこっちに向かおうか」

フリートはまた歩き始め、じん達もフリートについて行く。


「こっち3年生専用の寮だよ」

そうフリートは言うが、寮室自体がデカすぎる為、その大きさに驚く3人。

「でかぁ...」

「お城みたいです...」

「元々学校にしてはデカすぎるだろとは思っていたが、寮室が通常の学校より大きいとはこれ如何に...」

じんに至ってはあまりの大きさに引いている。

「世界に4つしかない魔法学園だから生徒数が多いんだよね...。だから学園もこれくらい大きくないと人が入らないんだよ...」

フリートは若干困り気味でそう言う。するとフリートが言った言葉が気になり質問をするそら

「生徒数が多いってどれくらい多いの?」

すると、フリートはふっふっふっと笑う。

「質問されるだろうと思っていたさ...!」

と、ドヤ顔で答えるフリート。

(実際、ちょっと気になる。しかしこれだけの学園の大きさ、そして1学年でこの寮の大きさなら1万人は軽く行ってるんじゃないか?)

じんはニケロフィアの全校生徒を憶測する。するとすぐに答えは出た。

「この学園の全校生徒は、6万6618人だよ!」

その数字を聞いて、3人は最初聞き間違いだと思った。学園に6万人も入るのかと。

「えっと...。つまり1学年大体2万人...?」

顔を引き攣りながらもじんは質問する。フリートは笑顔で

「そうだよ。大体2万人。ちなみに先生の数は僕たち合わせて4349人。凄い人数でしょ?」

生徒が多い為、先生も多いという事を分かっていた2人だが、先生の多さにも驚愕する。

「先生と生徒合わせて7万人越え...。」

「凄い...」

(世界一多い学校は6万を超えてはいるが、それは3〜17歳だからで、たった3学年でその学校以上とは...。)

じんはその数の多さに引いているとフリートは続けてこんな事を言い出す。

「ちなみにこの学校は2番目に大きい学校だよ」

「...えっ?」

「この多さで2番目...?」

テイとそらは驚きのあまり目が点になる。

「一番どれだけ多いんだよ...」

一番生徒が多い学校を想像し引くじん。するとマギルヴスが

「あ、フリート。俺、用事あったの思い出したから3人は任せた。」

と言い、急いでどこかへ向かう。

「...行っちゃった。」

その様子にテイとそらはポカーンとしていると、フリートが

「じゃあ僕たちだけで行こーう!」

と腕を上げ、笑顔で言う。

「...おー!!」

「お、おー!」

2人は目を合わせた後、フリートと一緒に腕を上げる。

「...なんかグダグダだなぁ...」

そんな2人を見てちょっと心配になるじん


そんなこんなで学園の探索は終わり、学園長室へ向かっている最中、フリートはふと思い出し若干呆れながら喋り出す。

「と言うか、マギまだ帰ってきてないんだ...」

学園の紹介で少し忘れていたが、フリートの発言のおかげで、マギルヴスが急用でどこかへ行ったことを思い出す3人。

「そういえばそうでしたね...。」

「あの人どこに行ったんだろ...」

「なるべく早く帰ってきてくれると助かるのだが...」

3人はそう話していると、学園長室に着く。

「ここが学園長室。」

そう言い、部屋を開けるといつの間にかマギルヴスは椅子に座って待っていた。

「あ、あれ?いつのまに帰ってきてたの?マギ」

フリートは少し驚きながらそう質問すると、マギルヴスはじん達の方を向き、淡々と答える。

「急用が終わった後、フリを探しに行くよりここに来た方が良いと思ったからここに来た。それだけ」

そう言った後、椅子から立ち上がる。

「確かにそっちの方が良いな。俺たちは学園長のお前に話があるわけだし、学園長室に行くのは確定してたからな」

じんは、マギルヴスの効率の良い行動に納得しその行動を褒める。

「そうだね...。確かにそれが一番良いかも」

フリートも同じく納得する。

「私だったらそこら中探しちゃうかも...」

「テイは人づてに聞いちゃいますね...」

テイとそらも答えると、じん

「いや、そんなことはどうでもよくて。マギルヴス。お前に聞きたいことがあるんだよ」

と、話を本題に変える。

「お前、本当に予言者なのか?」

そう質問すると部屋の空気が一変する。

「...それは、俺の予言能力を疑っている。という事か?それとも...別の意味か?」

殺意にも近い威圧感でじんに対して質問するマギルヴス。その威圧感を感じような殺意で対抗するじん。この圧迫した空気に固唾を呑むテイとそら

「...これ、君たちは部屋から出た方がいいね...」

フリートはそう言い、そら達を部屋から出す。その後フリートは再び部屋に入ってくる。


「...んで、何故お前は俺を予言者じゃないと疑ってんだ?」

じんとマギルヴスは先程と変わらず睨み合いながら話す。

「今まで聞いた予言が100%当たってると言うことに疑問を抱いてなぁ...。それだと予言ではなく、未来予知なんだよ。予言ってのは不確定要素だから予言なんだ。例えば占いとかはそういう系だな...。だが、お前の予言は全部当たっている。どういう事だ?」

じんが話している最中、マギルヴスはどんどんと殺意が増す。

「それに元素魔法が使えるから予言出来るなんて暴論にも程がある...。」

「...お前、勘が鋭いな。いや、賢いと言った方がいいのか?」

そう言いながら、席から立ち上がるマギルヴス。じんはそれに言い返そうとすると

「はぁ...」

フリートが突然深いため息を吐く。

「マギ。真実を話して。やっぱりこの人に隠すこと出来ないと思う」

フリートがそう言うとマギルヴスは圧を無くし、通常に戻る。

「そうだな...。この威圧で隠せると思っていたが...。じん、お前精神強いな」

マギルヴスはじんにそう言い、じんの肩をポンッとする。突然2人の雰囲気が変わったので、唖然とするじん

「やっぱり伝説通り異界者イレギュラーは凄い人なんだね〜。」

フリートは笑顔でそう言いながらじんを四方八方見る。

「フリ。落ち着いて」

とマギルヴスがフリートを止める。ごめんごめんと舌を出す謝る気のないフリート。そんなフリートを無視し、話を始めるマギルヴス。

じん。君には正直に真実を話そうと思う。」

と、マギルヴスは真剣な表情をする。

「...この部屋にテイとそらを戻してきちゃダメか?アイツらにも聞かせたい」

じんは提案する。仲間はずれにするのは嫌だからと。そうするとマギルヴスは睨めつけながら

「そいつらは口外する奴らか?」

と質問する。じんは真面目な顔で

「絶対にしないさ。俺が信頼出来るたった2人の人間だからな」

そうマギルヴスに言うと、マギルヴスは頷き。

「わかった。入れていいぞ」

じんに言う。そして、そらとテイが部屋に戻り、マギルヴスは話を始める。

「よし、全員部屋に来たな。君らには真実を話す。この国の歴史と世界の真相をな」

「国の歴史と世界の真相...?」

「その2つがどう関係しているのですか...?」

マギルヴスのその発言に、疑問を抱くテイとじん。そんなテイを見て

(やっぱりテイ、頭良いよね...。私より理解出来てる。)

と嬉しいような悲しいような複雑な感情になるそら

「まぁその前に、フリート。」

マギルヴスがそう言うと、フリートは頷き、魔法を発動する。

「え...な、何?」

「何でしょうか...」

2人が疑問に思っていると、じん

「...おそらく音の漏れを遮断する魔法だろう?」

とフリートを見ながら言う。

「正解。凄いねやっぱ君。呪文詠唱や僕が魔法名を言ってるわけじゃないのに魔法特定なんて、今まで見たことないよそんな人」

フリートはじんの異常さが完全にわかり、口角が上がる。

「この話を聞かれたくないのなら、音を遮断か、別空間に移動させなければならないが、空間が移動したように見えない。ならば音を遮断以外に無いだろうと推測した迄だ」

じんは、これくらい当たり前だろうと言う顔をしながらそう言う。

「...まぁその魔法の話は一旦置いておこう。とりあえず、これで話せるな...。」

マギルヴスは席に座り、外を見ながら話し出す。

「...君たち2人は異界者イレギュラーだから、この言い伝えは知らないだろう。いや、と言うよりこの世界でも知る者はもう少ないか...。」

マギルヴスは懐かしむような口振りで言う。

「どんな言い伝えなの?」

そらは気になり、そう質問する。するとマギルヴスはその質問に答える。

「魔法を使える者は皆、〝魔帝〟にその存在が認知されていると」

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